2017年5月29日、音声認識技術の世界的なリーディング企業、ニュアンス・コミュニケーションズは、人工知能(AI)の技術、応用に関する世界最大の研究機関「ドイツ人工知能研究センター(Deutsches Forschungszentrum fur Kunstliche Intelligenz:DFKI)」との提携を拡大すると発表した。
ニュアンスとDFKI は以前から、自動運転の自律システムのための認知型・会話型AIの適合に取り組んでいる。自動運転では、オートモーティブ・アシスタント(ニュアンスが提唱するドライバーのためのパーソナル・アシスタント機能)は、自動運転からドライバー自身の運転に切り替えの場面で効果的に連携するために必要だ。
自動運転中はドライバーはハンドルを握らずに済むため、走行中に映画鑑賞、最新ニュースの確認、アプリやサービスを使っての仕事など、長い通勤時間を有効に活用できるようになる。しかし、ドライバーによる運転が必要となる場面では、素早くシームレスに運転の権限をドライバーに戻す必要があるので、運転権限の移行タイミングとシナリオを理解するためにニュアンスとDFKI は、被験者によるユーザビリティ調査を行ない、ドライバーの注意を引くために最も効果的な方法を特定したという。
この調査によればドライバーが本を読む、音楽を聴く、メールを書く、映画を観るなど、自動運転中のさまざまな状況下での行動中に、自律システムは、振動(触覚)、視覚、聴覚による刺激で警告し、どの刺激によって被験者のドライバーが一番早くハンドルを握ることができたかを観察。
また、この調査では、厳しい気象条件、システムの自己診断による警告、センサー不具合、交通渋滞、一般交通規則など多様なシナリオが実行され、快適性、ユーザビリティ、情報への信頼度および情報の有用性などについて被験者のドライバーの意見を確認した。
この調査は、ニュアンスがアメリカとイギリスで約400 名のドライバーを対象に実施し、自動運転中にどんな行動をするかのリサーチも行なっている。例えば、1人で長距離運転をする場合、車中での行動のトップ5は、ラジオを聴く(64%)、リラックスする(63%)、電話で会話(42%)、インターネット閲覧(42%)、メッセージの送受信(36%)で、すべて視覚、聴覚、触覚を使った行動を組み合わものだ。
また複数人で乗車している場合は、電話で会話(19%)やメッセージの送受信(23%)よりも、会話をする(71%)、ラジオを聴く(58%)などとなることもわかった。
こうした調査を元に、新たな対話型AIを使用した車載対話ロボットの開発を進めていくことになる。
ニュアンスのCTO(最高技術責任者)のブラッド・セノハ 氏は、「当社とDFKIとの提携により、医師、医療機関のための医療用の対話ロボット、自動車メーカー、カスタマーケアの各分野における最先端AIソリューションの発展に繋がります」と語っている。
ニュアンス・コミュニケーションズはDFKIと認知・対話型のAI技術の応用を進めるために、ドイツ・ザールブリュッケンにあるDFKIのキャンパスに新たにオフィスを開設した。
ドイツ人工知能研究センター 公式サイト
ニュアンス コミュニケーションズ アーカイブ
ニュアンス コミュニケーションズ 公式サイト