セレンス 車載OSに依存しない車載音声アシスタンスを提供。生成AIがアプリを横断し、感情にも対応する人間らしいシステムを開発

セレンス・ジャパンは2024年2月22日、セレンスのステファン・オルトマンCEOが来日し、現時点のAI化した大規模言語モデル(LLM)の状況と今後のロードマップを発表した。

セレンスのステファン・オルトマンCEO(右)と松尾大樹リージョナル・バイスプレジデント

セレンスは、自社で開発した大規模言語モデルによる車載の自然会話・音声操作システムの世界的なリーダーで、世界の自動車メーカーはもちろん、ティア1のグローバルサプライヤー、ナビゲーションメーカーにシステムを提供している。ティア1企業で80社以上、世界の乗用車の54%、4億7500万台以上がなんらかのセレンスの技術を搭載している。そしてグローバルに展開するため、70ヶ国以上の言語に対応している。

そのため、開発の拠点はアメリカではボストン、デトロイト、ドイツではアーヘン、ジンデルフィンゲン、ウルム、イタリアのトリノ、アジアでは北京、成都、上海、そして東京など17ヶ所に置かれ、世界の市場をカバーしている。

セレンスのミッションは、現在から未来へ、すべての交通手段全体で、世界で最も魅力的で没入感のある体験を創造することだと、オルトマンCEOは説明する。

現時点ではNVDIA、マイクロソフトなどとの共同開発により、従来の自然会話型の操作システムに生成AIを組み込み、より自然でより幅広い会話が可能な音声アシスタントを実現している。

つまり、没入型の車載アシスタント・システムを作り込んでいくことを目標にしており、そのために車載システムとして各自動車メーカー、各車両ごとにカスタマイズし、ドライバーの感情にも対応できる、より人間らしいシステムを目指しているわけだ。

言い換えれば、大規模な言語モデルと生成AIを組み合わせ、ドライバー個人の行為、会話を行なうために、Chat GTPのような各種のアプリと連携した車両システムとの会話ができることを目指し開発を進めている。

そして今後は多数のアプリを横断し、車載センサーからの情報や乗員のジェスチャー、あるいは感情に対応した、より進化した車載コンパニオン・システムの実現を目指している。

1月にラスベガスで開催されたCES 2024

フォルクスワーゲンはCES 2024で、そのセレンスの最新技術である生成AIのChat GPTを車載音声アシスタントシステムをニューモデルに順次搭載することを発表した。フォルクスワーゲンが新採用するシステムはセレンス Chat Proと名付けられ、汎用のAIであるChatGPTとLLMを統合したシステムで、自然会話によるアシスタント・システムの幅が大幅に拡張されている。この発表は、日本の自動車メーカーに大きな衝撃を与えた。

車載システムと従来の常識を超えた会話が実現する

セレンス Chat Proにより、従来の音声による車載アシスタント・システムは自動車関連以外の幅広いカテゴリーの会話、質問と回答がカバーされることになり、例えば乗員が希望するコーヒーショップやレストラン、ガソリンスタンドを検索し、ルート案内をすることもできる。

なお、セレンスとフォルクスワーゲンはわずか3ヶ月間で、Chat GPTを搭載した最新のインフォテイメント・システムを作り上げたという。

この最新システムの特長は、車載OSや電子プラットフォームに依存せず、車載システム、通信によるクラウド接続に対応し、マイクロソフト・アズールによる生成AI機能を活用している。また、乗員のプライバシーを守るために、車内での会話の内容はクラウドにはアップロードされない仕組みとしている。

これらを実現したのは、セレンスの20年以上に及ぶ業界や自動車に関する知識の蓄積により、絶えず進化したクルマように最適化された自然言語理解 (NLU)力によるもので、例えばクルマに関連する単語文字列は600億個以上も蓄積されているという。

そのため、車載アシスタントを使用すればクルマの「取扱説明書」もすべて会話化させることも可能で、「クルーズコントロールの使い方は?」といった車両の使用に関する問いかけも会話で即座に返答すことができる。

日本においては、ごく近い将来に日本の自動車メーカーでもChat GPT、生成AI、あるいはサードパーティのLLMをセレンス Chat Proに組み合わせて搭載する車載アシスタントシステムが登場すると想定されている。

セレンスの今後の戦略では、クルマ業界以外の分野にも技術を提供することを模索しており、モトローラとはウェアラブルデバイスの分野や医療機器分野なども進出したいとオルトマンCEOは語っている。

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