自動車業界向けにAI・音声会話の技術を提供するセレンスは2023年3月17日、セレンス・アシスタンスにAIベースの次世代バイオメトリクス(生体認証)エンジンを搭載し、モビリティ体験のレベルをさらに高めるパーソナライゼーションとセキュリティ機能を可能にしたと発表した。
最新のAIで強化された「セレンス・ボイスバイオメトリクス」は、一人ずつのドライバーのプロファイルをより正確に生成し、ユーザーを識別することで、各個人に応じた車載アシスタントとの安全でセキュアなコミュニケーションを実現することができるのだ。なおこの「セレンス・ボイスバイオメトリクス」は、すでに複数の世界の大手自動車メーカーが導入する契約を結んでおり、ごく近いうちにニューモデルに搭載されてデビューするだろう。
自動車やモビリティ向けに最適化され、多言語で利用が可能なセレンスの次世代バイオメトリクスは、高度で正確な認識機能を備えた、省スペースの車載搭載ソリューションで、ユーザーに最先端の利便性を提供することができる。
マルチモーダル(多様な伝達手段)キャビン・バイオメトリクスは、音声だけでなく、キャビン全体のマルチモーダルIDをサポートするように設計されており、より便利で安全なIDおよび認証プロセスを可能にしている。
これにより、ユーザーは好みの生体認証方式(モダリティ)で自動的にログインし、機密性の高い情報操作にはステップアップ認証を設定することでスムーズな認証、また場面に応じた認証ソリューションを利用できる。たとえば、ドライバーはクルマの発進時に顔認証を利用して自身を識別し、運転中には音声による支払い認証も行なうことができる。
セキュリティと利便性の向上を目指し、車載組み込み用に設計された「セレンス・ボイスバイオメトリクス」は、セレンスのマルチモーダルバイオメトリクスの中核として以下のさまざまな認証機能を提供し、パーソナライズされた操作や情報提供が実現する。
■ 声紋による透明性の高い事前登録と簡単なサインイン
車載アシスタントは、わずか数回のやり取りでユーザー固有の声を学習し、識別に十分な音声データを収集することで、声紋を作成し、事前に登録。これによりドライバーと同乗者は、決められたフレーズを発声する個人プロファイルの設定が不要になる。ユーザーは乗車時に「おはよう、セレンス」や「オフィスに行く」などの最初の発話で音声アシスタントに認証される。
■ 車外からの認証対話
セレンス・エクステリア・ビークル・インタラクション(EVI)により、ドライバーが車外から自分のクルマとやりとりできるAIで強化された音声イノベーションスイート製品。セレンスEVI は、安全性とセキュリティ確保のために、「セレンス・ボイスバイオメトリクス」によって承認されたユーザーのみに特定機能の利用ができるようになる。たとえばクルマのロックを解除したり、トランクを開けたりする場合など、「セレンス・ボイスバイオメトリクス」でユーザーを確認し、より高い保護とセキュリティを実現。
■ 便利で安全な支払い処理
車内での支払いアプリを「セレンス・ボイスバイオメトリクス」に統合することで、手間をかけずに支払いを承認できる効果的なツールになる。音声対話でパッシブ認証(ユーザーの操作が不要な認証)されるので、運転中でも妨げにならない、安全な支払い処理が可能となる。
■ 高度なコントロール機能
年齢を検出する機能を使用することで音声対話によるペアレンタルコントロール(親が子どものネットアクセスを制限/監視する機能)が可能。車内でのセレンス・ブラウザー経由の安全なウェブ検索など、子どもが利用できる機能やアクセスできるコンテンツを制限できる。同様に「ガレージのドアを開けて」などのスマートホーム音声コマンドも、ドライバーのプロファイル、ユーザー、年齢、ユーザーのIDによって制限・許可が可能。
■ 簡単な言語切り替え
「セレンス・ボイスバイオメトリクス」を使用することで、セレンス・アシスタントとの対話、インフォテインメント・システムの言語を自動的に切り替えることができる。車載アシスタントとの自然な対話により、シームレスでパーソナライズされた利便性が実現する。
セレンスの最高技術責任者プラティーク・カトパルは下記のように語っている。
「バイオメトリクスは、複数のユーザーが単一のアシスタントと対話する場合に特に重要な要素です。セレンす・アシスタントのAIで強化された次世代バイオメトリクスエンジンは、ユーザーの負担を最小限に抑えつつパーソナライゼーションとセキュリティの面で最大の効果をもたらし、スムーズなエクスペリエンスを提供します。このソリューションによって、自動車メーカーとドライバーは当社の先進的な技術を実感されることでしょう」