ニュアンス・コミュニケーションズ 視線検出を統合し対話型AIを搭載した「ドラゴン・ドライブ」が登場

2018年1月10日、ニュアンス・コミュニケーションズは、ラスベガスで開催された「CES 2018」で、同社が開発するコネクテットカー向けプラットフォーム「Dragon Drive(ドラゴン・ドライブ)」の人工知能(AI)を活用した新機能を発表した。

ドラゴン・ドライブは、トヨタ、アウディ、BMW、ダイムラー、フィアット、フォード、GM、ヒュンダイ、上海汽車など2億台以上の自動車に搭載され、40以上の言語で対話型サービスを提供しているが、今回の新機能追加で一段と進化を遂げている。

ドラゴン・ドライブの新機能は、対話型人工知能と視線検出などの非言語モダリティ(ユーザーの判断や感じ方の検知)の統合により、ドライバーは車外にある対象物を見るだけで情報を得ることができるだけでなく、スマートホーム、バーチャル・パーソナル・アシスタント、人工知能による案内機能など音声アシスタントとの相互運用性をさらに強化している。

発話ボタンを押したり、ウェイクアップ・ワード(対話開始のための音声キーワード)を使うことなく車載アシスタントを起動させる「Just Talk」機能なども含まれている。ニュアンスのAI搭載式ドラゴン・ドライブの革新的な新機能は自動車のインテリジェンス&自動運転技術部門でCES 2018 イノベーション・アワードを受賞した。

ドラゴン・ドライブが提供するAI機能搭載・対話型車載アシスタントは、ドライバーの音声指示を理解して適切に応答し、AI搭載のコネクテッドカーの実現を可能にしている。つまり、ドライバーや乗員のニーズや好みを理解・学習し、エンターテインメント、ナビゲーション、POI(関心地点)、ニュースフィード、冷暖房など、車載機能へのアクセスを含む、パーソナライズされたユーザーエクスペリエンスを提供できるのだ。

ニュアンス・コミュニケーションズ 視線検出を統合し対話型AIを搭載した「ドラゴン・ドライブ」

新機能の具体例は以下の通りだ。
・マルチモーダル機能:対話型AIと融合された視線検出機能を活用し、ドライバーが車外の物体や場所を見て質問したり対話したりすることができる。例えば、ドライバーがあるレストランを見て、「あのレストランに電話して」、「あのレストランの評価は?」と訊ねたり、「あの駐車場の駐車料金は?」など、施設情報に関するドライバーの質問に答えるなど人間のような応答を提供できる。

・並行認知機能による高度な相互運用性:スマートホーム機器や、ニュアンスがエンタープライズ向けに開発した「Nina(ニナ)」を含むバーチャルアシスタントとのシームレスなコミュニケーションを可能にしており、他の一般的なバーチャル・アシスタントやサービスを利用し、ユーザーにより幅広いデジタル世界へのアクセス性を提供する。そのためドライバーは銀行口座間の送金、家庭の暖房、照明、セキュリティシステムの管理に至るまで、さまざまな重要行動を車内で管理できるようになっている。

・車載センサーと統合したAI機能:AIを自動車の主要機能に適用し、今までにないレベルのパーソナライズ化と文脈的に関連した結果の提供ができる。例えば、雨が降っている時に「駐車場を探してほしい」とリクエストを発声すると、ドラゴン・ドライブは言語情報だけではなく文脈上の情報も考慮し、ワイパーのセンサー情報から雨が降っていると推察し、駐車場リストから屋内駐車場を優先して提案する。

・多乗員に対応した対話機能:声紋認証と高度な音声信号処理を活用することで、複数の乗客の声を認識し、相互に干渉することなく車載アシスタントと同時に対話することを可能にしている。例えば、乗員の1人が「少し寒い」といった場合、座席認識と声紋認証の機能により、ドラゴン・ドライブは特定されたユーザーの要望に応じた関連ゾーンでのみ温度を調節する。

・純粋音声操作:乗員がより迅速に、自然で直感的にオートモーティブ・アシスタントと対話することができる。この機能を使えば、ドライバーは発話ボタンを押したりウェイクアップワードを発話することなく、人間と会話する時と同じ要領で、車載アシスタントとの会話を始められる。

ニュアンスのオートモーティブ事業担当シニア・バイスプレジデントであるアーンド・ヴァイルは、「コネクテッドカーや自動運転車の実現が近付くにつれ、クルマは急速に主要なAIプラットフォームになりつつあります。対話型AIを車載センサーやデータと組み合わせて活用することで、ニュアンスは車載アシスタントの認識力、理解力、そして究極的にインテリジェンスを向上させ、ドライバーにとって真に包括的でシームレスなユーザーエクスペリエンスを提供することができます」と語っている。

ニュアンス・コミュニケーションズのドラゴン・ドライブは今後のコネクテッドカーには不可欠であり、グローバルで唯一無二の対話型人工知能に成長しており、今後も注目する必要がある。

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