ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート スポーツ志向を求める人にお勧めの秀逸タイヤ

マニアック評価vol608

プレミアム・スポーツのフラッグシップタイヤ「ポテンザ S007A」の実力vol.2

ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート 佐藤久実

ボテンザS007Aの試乗会は、栃木県那須のブリヂストン プルービンググラウンドと、その周辺の一般道で行なわれた。プルービンググラウンドでは、ポテンザS001とポテンザS007Aの新旧比較テストも行なったので、さっそくレポートしよう。<佐藤久実/Kumi Sato>
ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート ジャガーXE 走行中

最初のメニューは散水してかなりヘビーウェットのコースで、ウェットハンドリングを確認。試乗車は、ジャガーXE。装着タイヤサイズは、S001、S007Aともに225/45R18だ。はじめに、旧モデルであるポテンザS001で走行。コースはアップダウンやアンジュレーションがあり、さらに散水しているため場所によって水深も異なる。だから限界域近くで走っていると、コーナーによってアンダーステアやオーバーステアも見られた。が、ジャガーXEはサルーンカーであり、ステアリングの手応えもあるため、比較的安心して走れた。
ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート ジャガーXE 走行中

続いてS007A装着車に乗り換える。ブリヂストンによればウェット性能はこれまでのS001と同等とのこと。2ラップずつしか走行できていないこともあり、正直、明確な性能差は体感できなかった。定量的なテストをできるコースではないが、新旧のタイヤはまったく同じキャラクターという印象でもなかった。絶対的なグリップはともかく、全般的にオーバーステアが少なく、安定感の高さを感じられた。

続いてはドライのハンドリング路でのテストだ。ここではアウディA4とトヨタ86でテストを行なった。最初の車両はアウディA4で、装着タイヤサイズは225/50R17。ここで、タイヤチョイスの難しさを実感した。アウディA4とS001、残念なほど相性が悪いのだ。A4はドイツプレミアムブランドの名に恥じない良いクルマだし、S001も長年の実績あるスポーツタイヤ。ところが、これが組み合わされると実に印象が悪い。

ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート 装着イメージ アウディA4
S001を装着したアウディA4

まずコーナーでステアリングを切り込むも手応えが薄く、初期応答も悪い。サルーンカーのゆとりとはいえない感じで、操舵の切り足しや戻しがあったりでステア操作がスムースではなくなる。結果的に、クルマの姿勢もますます作りにくくなるという負のスパイラルにハマって行く。そのせいもあるのだろうか、グニャグニャと剛性感もなく、足元のしっかり感や安心感もなかった。

ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート 装着イメージ アウディA4
S007Aを装着したアウディA4

一方、S007A装着車に乗り換えると、明確な違い、そして明らかな進化が感じられた。A4がクルマ本来のキャラクターを発揮しながら生き生きと走る。ステアリングの手応えがあり、切り始めの初期から穏やかながらも応答するため、コーナー進入で姿勢が作れて無駄な操舵がない。クルマもタイヤもお互いに、特性を発揮している感じで、ドライバーにとっても乗りやすく快適だった。

次に乗ったのはトヨタ86。アウディA4とはまったくキャラクターの異なるクルマだが、こちらは新旧タイヤともに相性は良い。とはいえ、特性の違いは感じられた。S001はコーナーの入り口でステアリングを切り込むと、シャープにノーズが入り込み、ヨーが発生し、そのフロントに追従するように自然な動きでリヤもロールしていく。
ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート 走行中

一方、S007Aはドライバーの入力に対し、フロントからリヤへの伝達が早く瞬時に向きが変わるような印象。一体感があり、まるでクルマのボディ剛性が上がったかのような感覚だ。旋回性能が高いので、結果的に立ち上がりでアクセルも早く開けられる。テストコースで速度制限もあったため、正確なタイム差はどの程度なのかわからない。もちろん、絶対的なグリップも向上しているが、応答性やコントロール性が良くなった分、速さにつながるというのが体感的な印象だった。

86に対してはS007Aはややオーバークオリティとも言えるタイヤチョイスではあるが、「大人のスポーツ」を楽しみたい方にはオススメだ。

テストコースでは、主に限界域でのグリップやハンドリング特性が確認でき、S001に比べてS007Aの進化を実感できた。
ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート 運転中 佐藤久実

さて、午後は一般道試乗で快適性を確認した。試乗車はメルセデス・ベンツEクラスとジャガーXEで、装着サイズはEクラスが225/55R17、ジャガーXEは225/45R18だった。

ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート 装着イメージ メルセデス・ベンツ Eクラス
225/55R17サイズのS007Aを装着したメルセデス・ベンツEクラス

ラグジュアリーなEクラス、プレミアムながらもスポーティ感を強めたジャガー。それぞれのクルマのキャラクターを尊重しつつ、S007Aは縁の下の力持ちとしての役割を発揮した。

ブリヂストン ポテンザS007A試乗レポート 装着イメージ ジャガーXE
225/45R18サイズのS007Aを装着したジャガーXE

荒れた路面でも角がなく快適な乗り心地だ。その一方で、良くも悪くも路面からの入力がダイレクトに伝わる。この辺りがタイヤチョイスのポイントになるのではないだろうか。サルーンカーとはいえ、しっかりした手応えやドッシリしたグリップ感、そしてキビキビとスポーティに走りたい志向の方にとってはスポーツタイヤのS007Aがオススメ。

一方、より快適性重視ならプレミアム志向をチョイスとなるだろう。新しくなったポテンザS007Aは、さらに高いドライ性能を得て、クルマを気持ち良く走らせてくれるタイヤだと思った。

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