2017年6月19日、ドイツで積極的な設備投資を続けるボッシュは、ドレスデンに新しいウエハ製造工場を建設すると発表した。
モノのインターネット化(IoT)とモビリティ アプリケーション分野の半導体製品需要の増加に応えるため、新工場では12インチウエハからチップを製造する。新工場の建屋は2019年末に完成する見込みだ。
2020年から設備の設置、試験操業などを経て、2021年末には本格的な製造を始められる見通しだという。このプロジェクトのための投資額は約1285億円に達する。
「新しいウエハ製造工場は、創業以来130年を超えるボッシュの歴史において最大の単独投資案件です。半導体はあらゆる電子装置の基本コンポーネントです。ネットワーク化と自動化が進展する中、半導体の用途はますます拡大しています。私たちは自社の半導体製造能力を拡充し、将来のための健全な基盤を築くとともに、私たちの競争力を強化します」とボッシュ取締役会会長のフォルクマル・デナー氏は語る。
ボッシュはこの新工場で12インチ・ウエハ技術を実現する。半導体チップの製造プロセスは、ウエハと呼ばれるシリコンディスクから始まる。ウエハの径が大きくなれば、1工程サイクルで製造できるチップの数が増加し、12インチ径のウエハは、従来の6インチあるいは8インチウエハでは得られない効率が実現できる。
ボッシュは過去45年以上にわたり、各種の半導体チップを製造してきた。ASIC(特定用途向け集積回路)やパワー半導体、マイクロエレクトロ・メカニカルシステム(MEMS)などだ。ボッシュのASICは1970年から自動車に使用され、カスタマイズされたASICは、エアバッグの展開など、機能の実現などに欠かすことのできない存在となっている。2016年に全世界で生産された新車に、1台平均で9個強のボッシュ製半導体チップが搭載されているのだ。
またMEMSセンサーでは、ボッシュは世界をリードする有力メーカーだ。20年以上前に「ボッシュ・プロセス」と呼ばれる微細加工技術を開発し、この技法は半導体製造にも採り入れられている。
ドイツのロイトリンゲンにあるウエハ製造工場でボッシュは、6インチおよび8インチウエハをベースに、1日あたり約150万個のASICと、約400万個のMEMSセンサーを生産している。ちなみに1995年以降のMEMSセンサーの累計生産量は80億個を超え、そのMEMSセンサーの75%はスマートフォンに使用され、世界で生産されるスマートフォンの4台中3台にボッシュのMEMSセンサーが組み込まれている。