2017年6月1日、ボッシュは東京で開かれた「オートサービスショー」で、交通事故前後の車両情報を記録するイベントデータレコーダーから車両情報を読み出す「クラッシュデータ・リトリーバル(CDR)」を発表し、2017年夏に発売する。
クラッシュデータ・リトリーバルとは、クルマのエアバッグ制御ECUに内蔵されているイベントデータレコーダーに記録される事故データを読み出すツールだ。ボッシュのクラッシュデータ・リトリーバルは17年の実績を持ち、現在17メーカー・51ブランドに適合する世界No1の事故解析ツールとなっている。
イベントデータレコーダーは、アメリカ、ヨーロッパ、そして今後は韓国、中国でも法規により車両に装備が義務付けられているが、残念ながら日本では装備が義務付けられておらず、現在の装着はホンダ、マツダ、トヨタ、日産、スズキに限られている。
イベントデータレコーダーは、交通事故の発生と同時にエアバッグやベルトシステムが起動するのに合わせ、事故発生5秒前から車速、エンジン回転数、ステアリング切り角、アクセル開度、ブレーキの作動状態、ベルトの作動、エアバッグの作動、車両の受けたGなど車両の情報を記録する装置だ。
クラッシュデータ・リトリーバルは、事故後にイベントデータ・レコーダーに記録されているデータを読み出し、解析用のデータとしてパソコンで見ることができるようにするツールだ。
これを利用すれば、多数のクルマが絡んだ事故でも、どのクルマが原因となっているかを事後に正確に判断することができるわけだ。
このため、クラッシュデータ・リトリーバルは海外では保険会社の事故調査員、警察、自動車メーカー、多数の車両を保有する企業などが導入しており、日本でも同様のユーザーが想定されている。
なお、クラッシュデータ・リトリーバルから得られる車両データは専門的な項目のため、これらのデータを解読するために、専門のトレーニングを受けた「CDRアナリスト」が必要となるため、ボッシュはトヨタ、科学警察研究所などと協力してまずCDR認定トレーナーを養成し、そのCDR認定トレーナーがユーザーであるCDRアナリストを養成するという計画だ。