現実化してきた自動運転 ボッシュのオートパーキングシステムを考察 動画つき

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駐車時の自動運転化「ホームゾーン駐車支援システム」

世界的システムサプライヤーであるボッシュは、自動駐車の技術とサービスという新たな市場を切り拓こうとしている。そのために市場開拓の基礎となる研究からスタートし、簡単な駐車スペース探しや駐車プロセスの自動化の実現を目指している。2016年4月8日の発表からこれまでの最新情報をまとめてみた。

ボッシュ取締役会メンバーのディルク・ホーアイゼル氏は、「未来のモビリティの実現はスマートパーキングの実現により、今、始まったと言えるでしょう」と語る。

インテリジェントな駐車システムは、世界中の自動車メーカーや駐車場の管理者、世界中の地方自治体や地域コミュニティにとっても有効なソリューションになると考えられているからだ。

■道路での駐車を支援するコミュニティベース・パーキング

ドイツでの新車登録統計をボッシュが分析したところ、2015年に新車登録された約300万台のうち、ほぼ半数(52%)の車両に駐車支援システムが搭載されていることがわかった。

こうした傾向は他の国でも同様で、ベルギーとオランダでは、2014年に登録された新車全体の半数(50%)に駐車支援システムが搭載され、イギリスでは19%が搭載している。これらの駐車支援システムは、主に1993年から量産されている超音波センサーを使用している。

こうした背景のもと、完全自動駐車の実現の一過程として、ボッシュは今後数年の間にさまざまな駐車支援システムを市場に投入することを計画している。これらのシステムはドライバーが事故なく駐車できるよう支援し、最終的にはボタンひとつで車両を目的の駐車スペースに収める自動駐車システムとなるのだ。

ボッシュの自動駐車システムは、車両に搭載するシステムとしてその開発がスタートした。しかしこれからはその概念を打ち破るレベルになりつつある。

■ボッシュの駐車スペース探しは2つの手段で

ドイツでは、駐車スペースを見つけるのに平均して約10分が必要だという。ボッシュは、駐車場探しにかかる時間を2つの方法で短縮させる。そのひとつは、車両の有無を感知する特殊なセンサーを駐車場やガレージに埋め込み、このセンサーが空いている駐車スペースを検知・報知するシステムだ。

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走行中のクルマが路肩駐車スペースを検出し、そのデータをクラウドに送信。クラウドがマップ上にその情報を反映する
コネクテッド・システムを持つ駐車場は、空満情報をクラウドに送信し、マップ上に反映する
コネクテッド・システムを持つ駐車場では、駐車スペースの空満情報をクラウドに送信し、マップ上に反映し、走行中のクルマに表示

もうひとつは、多くの車両で標準装備となりつつある各種のセンサーの活用による駐車場探し、というものだ。

車両から集められた情報は「ボッシュ IoT クラウド」で処理され、駐車スペースのデジタルマップが生成される。ドライバーはインターネットや車載のナビゲーションシステムなどを介してこのマップにアクセスし、空いている駐車スペースがあるエリアへ直接向かうことができる。

ホーアイゼル氏は、「ドイツでは、駐車スペース探しのために平均4.5kmも毎回無駄な走行が発生しています。空いている駐車スペースにすぐに到着できれば、無駄な走行が減り、環境に与える負荷も軽減できます」と語る。

■リアルタイム情報はIoTで

このシステムはコミュニティベース・パーキングと呼ばれ、1台、1台の車両がIoTのセンサーとなり情報を収集する。現在、新車の約3分の1に駐車支援機能が装備されているため、この支援機能に含まれる超音波センサーを活用し、空いている路肩の駐車スペースを探すよう指示。

この機能を搭載した車両は、50km/h以上で走行中でも路肩に空きスペースがあれば、それを的確に検知し、この情報はボッシュのコネクティビティ・コントロール・ユニット(CCU)などの通信用インターフェースを介して各自動車メーカーに送られ、匿名化された状態で ボッシュIoTクラウド(BIC)に転送される。

車両から送られてきたデータをクラウドに集め、道路マップをベースにしたデジタルパーキング・マップを作成し、自動車メーカーに配布。そして自動車メーカーはこのマップを自社のサーバーにつながっているすべての車両と共有することができるのだ。ボッシュは、主要市場で2020年までに新規登録されるすべての車両がこのようにしてネットワーク化されると予想している。

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この技術のポイントはデータの処理方法にある。走行中の車両から路肩に空きスペースがあるという報告が入ったとしても、それを無条件に駐車スペースとして利用できるという確証はない。それが私道の入口やバス停である可能性もあり、駐車禁止区域の可能性もある。

そこでボッシュは、見つかった路肩のスペースが間違いなく駐車スペースであることを確認するためにデータマイニングの手法を採用している。

たとえば、複数の車両が繰り返し同じ場所を空きスペースとして報告してきた場合、そのスペースは駐車スペースとしては利用できない可能性が高いと判断するのだ。ユーザーの数が一定のレベルに達すると、さらにスペースの奥行きと幅に関する情報も提供できるようになる。これが実現すれば、キャンピングカーやコンパクトカーなど、特定の車両に合った空きスペースも探すことができるようになる。

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ボディに組み込まれる超音波センサー

ボッシュのコミュニティベース・パーキングでは、その前提条件として、路肩の空きスペースの一定数以上のデータを集めることが重要だ。そのために、ボッシュはミュンヘン工科大学と共同研究を行ない、幹線道路、支線道路といった道路の種類によってややばらつきは見られものの、通行車両全体の1%強からデータを集めることができれば十分なデータになることがわかった。

より多くの都市でこのサービスを提供するために、複数の自動車メーカーの協力を得たいとボッシュは考え、オープン・サービスプラットフォームとして構築し、複数の自動車メーカーが同時に使用できるものとしている。

■ホームゾーン駐車支援システムによる自動駐車

「今日私たちが当たり前のように行なっている駐車は、今後なくなるでしょう」とホーアイゼル氏は言う。

2020年までに車両は駐車スペースに入るまで自動で走行するからだ。ドライバーは目的の駐車スペースから離れたところにある降車ゾーンで車両から降り、駐車スペースを探すよう車両にスマートフォンで指示をする。そして、再び車両に乗る時は同様の操作で、降車したその場所に車両を呼び戻すことができる。

これは車両と駐車スペースそれぞれに組み込まれたシステムと、両者をつなぐネットワークにより実現する。ホーアイゼル氏は「完全自動運転が実現する前に、完全自動駐車の量産化が整うと予想しています」と語る。

ドイツの保険会社の2015年のデータによれば、駐車時の物損事故は乗用車の物損事故の約40%を占めているという。この10年間で、駐車時の事故件数は30%以上増加しているが、その理由は視界の悪い車両が増えたことにある。つまり駐車時の操舵にストレスを感じている人が多くなっているのだ。

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物損事故の40%は駐車時に発生
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若年層より熟年層のドライバーのほうが駐車は迅速

自動駐車支援機能があれば、ボタンを押すだけで車両を駐車スペースに誘導でき、その際に事故を起こすおそれもない。また、ドライバーはスマートフォンを使って車外から駐車プロセスを制御することもできる。

ボッシュのホームゾーン駐車支援システムは2019年には量産の準備が整う見通しだ。この支援システムは、最大100m離れた場所から駐車スペースまで車両を誘導することができ、全自動での操作も可能となる。

このホームゾーン駐車支援システムは、部分的に自動化するシステムで、自宅のガレージや契約駐車場の指定区画など、同じ駐車動作を繰り返し行なうケースに合わせて設計され、システムが個々のドライバーの操作を一度学習し記憶する。つまり、いったん覚えさせてしまえば、その後はシステムが働きクルマは無人で駐車できるようになり、ドライバーが行なうべき操作は、ボタンを押すことだけになるのだ。

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このシステムは車両の超音波センサー、レーダー、カメラなどの情報から、自車の位置をコントロールして走行する。そして所定の場所まで移動し、駐車するというものだ。

システムは最初の走行ルートの記憶のために、沿道にある電柱や立木などの物体を記憶する。そしてシステム作動時には記憶した車両周囲の物体の位置と自車の位置を常時比較照合する。

静止している未知の障害物、たとえば車両の走行ルート上に放置されたゴミ箱などは、センサーが検知すると車両は自動的に完全に停止する。そして、あらかじめ設定されたルートから少し逸れるだけで障害物を回避できる場合には、車両は自動的に迂回動作を取ることができるのだ。

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ホームゾーン駐車支援システムは1回学習させるだけで、その後は無人駐車、無人呼び出しが実現

これからの新型車にこうした自動駐車のシステムを導入することについて、法的な要件が緩和され、その実現が早まりそうだ。法規制の整備については、ドイツではウィーン交通条約(人間による運転の義務付け)の改正が進められており、世界でもこの件は政治的な検討課題にもなっている。

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