ボッシュは2019年3月4日、SBI損害保険株式会社とSB C&S株式会社(旧社名:ソフトバンク コマース&サービス)が2019年2月から行なっている車載テレマティクスサービスの提供を目的とした実証実験にeCall(自動緊急通報)用デバイスを提供すると発表した。
実証実験では、ボッシュが開発したeCall用デバイスが収集した運転行動データをもとに、ドライバーの安全なカーライフをサポートする各種テレマティクスサービスの検証が行なわれる。
SB C&Sが実施する今回の実験環境では、ボッシュのeCall用デバイス「テレマティクスeCall プラグ」と、ソフトバンク・テクノロジーが提供するIoT活用に必要なサービスをつなげるプラットフォームサービス「IoT Core Connect(アイオーティーコアコネクト)」が採用される。
欧州連合(EU)では、新たに登録される乗用車に事故発生時に自動で支援を要請する緊急通報サービス「eCall(イーコール)」の装備が2018年3月末から義務化されており、eCallにより欧州で毎年約2500人の命が救われると試算している。
「テレマティクスeCallプラグ」には、3軸の加速度センサーと検知したデータを計算するアルゴリズムが組み込まれており、衝突の強さだけでなく、ブレーキ、加減速、ハンドル操作といった運転行動データも検知することができる。
専用のスマートフォンアプリとeCallデバイスが通信することで、収集されたデータがアプリ経由でサービスプロバイダーのもとへ送信され、これにより、eCallやドライバーの運転行動情報をもとにしたテレマティクス保険などのモビリティサービスの提供が可能になるわけだ。
一部の自動車メーカーは、すでに数年前から車載ナビゲーションシステムやインフォテインメントシステムの一部としてこのeCallを提供している。ボッシュの「コネクティビティ コントロール ユニット(CCU)」は、eCallを含むコネクテッドサービスの通信を担う通信ユニットだ。
エアバッグやシートベルトプリテンショナーが作動した場合には、このCCUがその衝撃を記録し、 数秒以内に救急サービスまたはボッシュのコールセンターに通報される。CCUは、GPS位置情報だけでなくシートベルトの着用状況から乗員数を自動で送信するため、必要な救急車両の台数を事前に予想することもできる。
ボッシュは、eCallシステムの他に、幅広いeCallソリューションを提供している。ボッシュのeCallシステムは、ボッシュが運営する年中無休24時間体制のコールセンターで通報を受け取り、ナビゲーションシステムの言語設定をもとに、ドライバーがどの言語を使用しているかを判定し、ドライバーと同じ言語でコミュニケーションをとることができる。
このため、特に事故のような深刻な状況でもコミュニケーション上の問題が発生することはないのだ。ボッシュのeCallサービスはヨーロッパだけでなく、日本、ブラジル、北米など、世界の50以上の国々で提供されている。多言語に対応したボッシュのeCallサービスは、すでにメルセデス・ベンツをはじめとした数多くの自動車メーカーで採用されている。