グローバル・サプライヤーのボルグワーナーは2024年5月9日、吉利グループ傘下でEVメーカーのポールスター社とヨーロッパの大手自動車メーカー向けに、EV用の電動トルクベクタリング+ディスコネクト(eTVD)システムを初めて市場に供給すると発表した。
eTVDは、ボルグワーナーの電動トルクマネージメント・システム(eTMS)製品ライナップの一つで、各輪に配分される駆動トルクをインテリジェントに制御して安定性を高め、優れた運動性能を実現し、発進・加速時のトラクションを増強する設計になっている。 eTVDは現時点では、SUVのEV「ポールスター3」に搭載され、2024年後半にはヨーロッパの主要自動車メーカーのEV向けに生産を開始する予定だ。
高性能なeTVDはEV用のデファレンシャル・ギヤに代わる3-in-1システムで、左右輪のトルクベクタリングとオンデマンド・ディスコネクト(断続)機能の両方を備えているのが特徴。ブレーキ制御によるトルクベクタリング・システムとは対照的に、このトルクベクタリングはブレーキ介入が不要で、積極的なトルク配分機能を持ちハーシュネスと振動を低減させることができる。さらに、ブレーキとタイヤの摩耗を減らし、摩耗粉排出量を減らすという利点も備えている。
EVは車両重量が重いために俊敏性が低下する傾向にあるが、ボルグワーナーのeTVDシステムは、3 in 1のユニットにまとめているため、コンパクトで軽量化に貢献する。スマートな設計と直感的なソフトウェアにより、好ましくない運転特性のリスクを最小限に抑え、路面や天候条件にかかわらず優れたトラクションを実現。また多様な路面に対してトルク応答性が瞬時であるためスムーズで安全な走行を実現することができる。