ボルグワーナー eFanシステムをグローバル商用車メーカーに供給へ

グローバル・サプライヤーのボルグワーナーは2023年5月4日、ヨーロッパと北米の市場で使用される予定の高電圧イー・ファン(eFan)システムを、世界的な商用車メーカーに供給することが決定したと発表した。ボルグワーナーにとって初めて北米向けに供給するイー・ファン(eFan)システムであり、高電圧・低出力イー・ファのンセグメントにおける初のグローバルな受注獲得となる。電気自動車(BEV)、燃料電池自動車(FCEV)に適用可能なイー・ファン(eFan)システムは、OEMの大型バッテリー駆動の電気トラックに搭載され、最高の冷却性能を実現することができる。

様々な環境、使用条件下でもバッテリーを一定温度に制御する高電圧イー・ファン(eFan)システム

今回商用車メーカーに供給されるのは、ファン、電気モーター、統合高電圧インバーターを含む「イー・ファン(eFan)R10システム」だ。イー・ファン(eFan)R10は、最大10kWの出力と40Nmのトルクを発生し、動作温度範囲は摂氏マイナス40度から80度までをカバーすることができ、バッテリーを一定の温度にキープすることができるのだ。

イー・ファン(eFan)システムは、動作範囲が600Vから850Vまでと広く、さまざまな商用車の高電圧電気系統との互換性を備えている。長期的な信頼性確保を念頭に設計された電気モーターとパワーエレクトロニクスは液冷式となっており、コンパクトでありながら高い信頼耐久性を実現。充電時には騒音を最小限に抑え、高い効率で低速回転するよう最適化されたファンを採用しているのが特長だ。

ボルグワーナーのイー・ファン(eFan)製品群は、低出力セグメントと高出力セグメントの両方に高電圧対応が可能で、出力5 kW、トルク20Nmのものから出力40kW、トルク160Nmのものまでさまざまな出力レベルを持つ、拡張可能なイー・ファン(eFan)システムである。モジュール化設計とすることにより、顧客はオープンファンまたはリングファン、外付け、あるいは内蔵のインバーターを選択することができる。イー・ファン(eFan)のコンポーネントには拡張性があり、インターフェースやコネクターを車両メーカーの要望に合わせてカスタマイズすることが可能だ。

ボルグワーナーは2022年12月にドライブテック社(Drivetek AG)を買収したことにより、インバーターに関する知見やノウハウを強化し、その結果イー・ファン(eFan)事業の成長をさらに前進させた。生産開始は2025年第4四半期を予定しており、初期生産台数は3000台以上、2031年には北米とヨーロッパで7万4000台近くにまで増産する予定となっている。

ボルグワーナー・エミッション/サーマル/ターボ・システムズ社のジョー・ファドゥール社長兼事業本部長のコメント
「ボルグワーナーは、ファンの性能、電気モーター、パワーエレクトロニクスに対する専門性を活かし、さまざまな電気自動車に適合する高効率イー・ファン(eFan)システムを開発しました。今回はグローバルなOEMとの協力関係をさらに拡大し、当社の高性能イー・ファン(eFan)の供給にまでつなげることができました。よりクリーンでエネルギー効率の高い世の中の実現を目指す当社のサステナビリティ戦略をさらに前進させることになりうれしく思います」

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