ボルグワーナー 電気自動車用の高出力/高密度インバーターの研究開発がスタート

グローバル・サプライヤーのボルグワーナー社は2021年10月26日、同社が開発に取り組むSUPER(Scalable Ultra Power-dense Extended Range)と名付けられた「拡張可能・超高密度・高航続距離インバーター」の開発で米国エネルギー省(DOE)から指定を受け、開発支援金497万ドル(5億7000万円)を獲得したことを発表した。

この研究開発プロジェクトは、運輸部門から排出されるCO2削減に向けて、産学が主導する24のプロジェクトのうちの1つだ。

ボルグワーナーは、今後39ヶ月にわたるこのプロジェクトをまとめる中核企業に選ばれ、インフィニオンテクノロジーズアメリカ社(Infineon Technologies Americas Corp.)、ポリチャージアメリカ社(PolyCharge America, Inc.)、国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy Laboratory)、バージニア工科大学(Virginia Tech)をパートナーとして、SUPERインバーターの実現に向けて開発に取り組んでいく。

ボルグワーナーが開発した800V用のシリコンカーバイド製スイッチング半導体

このプロジェクトの目標は、現在市販されているものよりも小型で高効率、かつコスト効率に優れた先進的なインバーターを開発することで、DOEの指定目標値である1.0Lあたり100kW以上の電力密度を800V型電動車両でも達成する目標となっている。

またこのプロジェクトの計画では、100kWから300kWの間で電力幅における高出力密度を可能にし、単独でも、あるいはモーターやギヤボックスを含むドライブユニットに一体化した状態でも使用できる設計になっているのが特長だ。

10月から活動が本格的に開始されるこのプロジェクトの1年目には、SiC(シリコンカーバイド)を用いたインバーターシステム全体のコンセプトを構築。2年目にはパワーモジュールやコンデンサーなど、インバーターを構成する重要な部品をすべて製作し、インバーターの設計を最終仕様にまとめ上げる計画になっている。

そして最終年には、コンポーネントとSUPERインバーターの検証を行なうことになっている。完成時には、開発から量産移行まで比較的短時間で進められる見通しだという。

ボルグワーナーSUPER (=Scalable Ultra Power-dense Extended Range)インバーターの開発目標は、現在市販されているものよりも小型で高効率、かつコスト効率に優れた先進的なインバーターを実現することで、これが実現することで電気自動車のパワーや航続距離は一段と向上することになる。

ボルグワーナー・パワードライブ・システムズの社長兼事業本部長であるステファン・デメール博士は、「電動化を重点的に進める、システムインテグレーションおよび高電圧インバーターのリーディングカンパニーとして、電気駆動システムを飛躍的に革新し、電気自動車の性能と可能性を高める次世代インバーター開発において、DOEに選定されたことを誇りに思います。今回のプロジェクトを推進するにあたり、業界の素晴らしいパートナーやテクノロジーリーダーとチームを組むことができました。このプロジェクトでは、当社独自の高性能な800Vヴァイパー・シリコンカーバイドベースのインバーターを開発した経験を活かし、部分構造合成法によりコンセプトを進化させ、コンポーネントの集積度を高めることで、より高い性能目標を達成し、最終的には商業的な成功に向けて製品としてのポテンシャルを高めます。今後数年間で、高電圧EVが急速に増えると予想していますが、このスケーラブルで高出力密度のインバーターがその普及をさらに促進することになると期待しています」と語っている。

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