2018年1月25日、ボルグワーナーは、よりクリーンで高効率な電動化をサポートするために、世界中の自動車メーカー向けにハイブリッド車(HEV)向けの「P2モーター・モジュール」をラインアップしたと発表した。
「P2」とは、トランスミッション側にレイアウトされるモーターの位置を示している。つまりエンジンとトランスミッションの間に配置され、通常はエンジンとの間にクラッチがある。このモーターにより、減速時の回生と駆動アシストを行なう。またトランスミッション側にもクラッチを装備すれば、バッテリーの電力に余裕がある場合は、このモーターのみでのEV走行も可能になるシステムだ。
こP2モーター・モジュールは、オンアクシス(エンジン出力軸と同軸)とオフアクシス(オフセット)のいずれにもレイアウトできるため柔軟性に優れており、停止、始動、回生ブレーキ、エンジンのモーターアシストなどのハイブリッド機能だけでなく、ピュアEV駆動も可能で、従来のエンジン車を簡単にハイブリッド化できるユニットだ。自動車メーカーにとっては迅速で電動化に対応できるユニットだ。
ボルグワーナーのP2モーター・モジュールは、必要な全てのコンポーネントを小型パッケージにまとめているので既存ドライブ・トレインに容易に組み込むことができ、自動車メーカーの既存設備の稼働率とハイブリッド車生産量の柔軟性を向上させることができる。またこのP2モーター・モジュールは、他のハイブリッド・システムより少ない追加コストでCO2排出量を大幅に削減することができる。
ボルグワーナーのハイブリッド化ユニットはハイブリッド用のパワーエレクトロニクス、電動モーター、駆動チェーン、クラッチシステム、制御装置といったすべての必要部品が組み込まれているのも大きな特長だ。
内燃エンジンとトランスミッションの間に配置されるボルグワーナーのP2モジュールは、EV走行時にはエンジンを停止させることができる。さらに、高電圧(100V以上のハイブリッド・システム)だけでなく、48V電源を使用する低電圧のマイルドハイブリッドとしても使用できる。
もうひとつの特長は、高効率の電気モーター、パワーエレクトロニクス、エンジン遮断クラッチ、クラッチ制御モジュール、デュアルマスフライホイールなどのパーツを、軸方向の距離を最小限にした小型モジュールとして設計していることがあげられる。そしてより広範囲の車種に適合できるようにするため、オンアクシスとオフアクシスの2種類をラインアップしている。
オンアクシスでは、電動モーターがエンジン主軸上に直接配置されるため、システム統合が容易で、ハイブリッドパッケージ全体が小型化できる。この構造はシングル、ダブルのクラッチ選択が可能で、出力密度が高く、燃費と動力性能を向上させることができる。
オフアクシスは、電動モーターをエンジン主軸とオフセット配置とすることができ、左右軸方向のパッケージ幅がさらに縮小でき、既存エンジン、トランスミッションのスペースに余裕が少ないクルマも最小限の変更で実装することができる。このオフアクシス・レイアウトの場合はモーターのトルクは、高効率で耐久性の高いチェーンを介して出力軸に伝達される。
この設計は、AT、MT、デュアルクラッチ(DCT)などすべてに適合でき、またさまざまなギヤ比の組み合わせや、エアコン・コンプレッサーなど他のチェーン駆動部品の追加統合も可能になっている。
なお電気モーターは油水冷式を採用し、高い効率を備えている。またモーターの最高出力は330Nm以上/108ps以上。オンアクシス型の場合のユニットの厚さは167mmとなっている
ボルグワーナーの社長兼CEOのジェームズ・R・ベリアーは、「当社は、順応性に優れた革新的なP2モジュールの発売により、各自動車メーカー独自の要件に対応したオーダーメイドのソリューションを提供することができます。最適なハイブリッド・ソリューションを提供できるように日頃から世界中の自動車メーカーと協力しています。この度、オンアクシス式のユニットが中国の自動車メーカーと総合開発の契約を締結できたことを大変うれしく思います」と語っている。