
カヤバが新たに開発した「サステナルブ®」ダンパーは、2025年9月19日に当サイトで記事公開をしている。その新しいダンパーの搭載技術や開発プロセスについて解説を既報しているが、今回その新ダンパーを装着し、これまでのダンパーとどれほど違うのか、また体感するのか、実際に試乗してきたのでお伝えしよう。
【9月19日公開記事】【カヤバ】作動油の開発に着目した新技術「サステナルブ®」のいま

テスト車はトヨタ・ヤリスで、ヤリスの標準ダンパーにはカヤバのProsmoothが採用されている。そのプロスムースと新しいサステナルブ®との違いを乗り比べしようという企画内容だ。条件を揃えるため、テスト車のタイヤはすべて同じサイズのヨコハマ・ブルーアースで統一し、ダンパーのみ異なる条件を作った。
サステナルブ®の特徴は微低速域での乗り心地の良さであり、フリクションを感じないスムースさが特徴になる。また直進時のハンドルの座りや初期からの減衰感、ストローク感などにも違いがあるとされているが、その違いは作動油が作り出しているとしている。

サステナルブ®はダンパー内のオイルに着目して開発されたダンパーで、作動油をカヤバ内で研究し、添加剤を加えることでオイルの成分変化をさせ、理想の数値となるように作られている。添加剤は複数あり、それぞれが化学反応をして成分変化をさせたものであり、カヤバだけが知るトップシークレットの作動油ということになる。
乗り心地の違いをテストするのは、一般道と駐車場内に障害物を設けたコースを作り、そこを15km/h程度で乗り越える時の違いを体感するテストだ。一般道では微低速域での違いを見るため、良路を選択している。路面状況が良ければダンパー内のピストンは激しくは動かず、ゆっくり、あるいはわずかに上下に動く、つまり微低速で動くわけで、違いがわかりやすいというわけだ。
テスト車に乗り込み、駐車場から出るが、すでにステアリングの重さの違いを感じたり、わずかな入力が丸くなっていることに気づく。車道に出て周囲の交通の流れに乗って走行する。路面にはうねりが多少あり、またツブザラな路面もある。特にトンネル内のツブザラ路面では車内に入り込む音の違いも感じられ、作動油の威力を実感する。

テストに使ったProsmoothとサステナルブ®の作動油の粘性は同じであり、違うのは作動油成分だけなのだが、ドライバーはシートやステアリングを通してその違いを感じることができるほどなのだ。
前述のように、ステアリングの座りは良くなり、直進性が高くなる。操舵フィールも異なり、滑らかな操舵フィールとカドのあるフィールの違い。ただし、しっかり感という意味ではProsmoothのほうがあるので、好みの差になるかもしれない。
入力に対しては明らかに滑らかな乗り心地になるため、車両がひとクラス上級になったかのように、高級に感じることができるのだ。
Bセグメントの量販モデルでテストを行なっているため、最良の結果と言えそうだ。つまり、サステナルブを装着するだけで上質な乗り心地になり、車両がグレードアップするからだ。
さて、カヤバではOEMへの採用を今後進めていくことになるが、1日でも早くマーケットへ投入したい意向もあり、現在アフターパーツとしての提供も視野にいれているという。またさまざまな車両への装着に関し、スペックを変更した多種類のサステナルブ®が必要になるのか尋ねると、かなりの許容範囲を持つダンパーであることから、多くの車種に装着して、その効果が得られる製品であることも説明していた。
したがって、車重やボディサイズの違いでは異なるタイプが必要になるが、それほど多くのバリエーションを作らずとも、このサステナルブ®の高効果を多くの車両へ提供できそうなのだ。さらに、既存ダンパーの作動油をこのサステナルブ®に交換すると、同様の効果が得られるというチューニングの可能性もあるわけで、今後のKYBの動きには注目される。