PHEVの航続距離を延ばす革新的技術 オンセミ社が開発した次世代パワー半導体「エリートSiC」とは

グローバル規模の自動車、産業向け半導体メーカーのオンセミ社は2025年7月29日、シェフラーとの協業を拡大し、次世代パワー半導体「エリートSiC(シリコンカーバイド)」を搭載するインバーターを実現し、PHEVの航続距離の延長と信頼性の向上を行なうと発表した。

オンセミ社が開発したエリートSiCテクノロジーは、極めて低い導通損失と卓越した短絡耐量を実現しており、システム全体の性能を向上させ、より小型で熱効率の高いインバータが可能になる。

この最新のSiC(シリコンカーバイド)をベースにした次世代パワー半導体は、同クラスの他のSiCソリューションと比較して、より抵抗が低く、最高のピーク電力を供給できる。このような利点により、シェフラーは自動車メーカーに対して、革新的な駆動用インバータシステムを提供することができるとしている。

新たなSiCインバーターは、高いエネルギー変換効率を持ち、航続距離を延長でき、信頼性が向上するため少ないメンテナンスで安定的な動作を実現し、PHEVの車両設計での柔軟性を高めることが可能になる。

なお、オンセミとシェフラーの協業関係については、シェフラーが2024年に買収したVITESCOテクノロジー(旧コンチネンタル社の電動パワートレイン部門)とオンセミが協業関係にあり、VITESCOがシェフラーに買収された現在ではオンセミとシェフラーの協業関係が継続しているのだ。

自動車メーカーはよりエネルギー効率と性能を重視する傾向が強まっており、従来のHEV、PHEVはコストを重視し、シリコンを使用する絶縁ゲートバイポーラ・トランジスタ(IGBT)が主流であったが、これからの電気駆動プラットフォームは、より高度なハイブリッドアーキテクチャへの移行が進むことになる。

オンセミはSiCの業界リーダーとして、この変革の最前線に立っており、新世代のエリートSiCを搭載するインバータによりシェフラーは、より性能やパッケージングに優れた電気駆動システムを自動車メーカーに供給することができるようになる。

オンセミのパワーソリューション・グループのサイモン・キートングループCEOは、「このプログラムにおけるシリコンカーバイドの独占的サプライヤーとして、オンセミは世界の主要自動車メーカーから信頼される、イノベーション・パートナーとしての地位をさらに強固なものにしていきます。業界をリードするオンセミのシリコンカーバイド半導体技術は、電気自動車はもちろんPHEVプラットフォームにおいても、次世代電動パワートレインシステムを開発する上で鍵となる、比類のない効率、熱性能、電力密度を実現します」と語っている。

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