みなさん、こんにちはFMヨコハマ「ザ・モーターウィークリー」DJ&モータージャーナリストの高橋アキラです。
さてさて、韓国・ヒョンデに関連する情報をお伝えしていますが、今回は先進的な空飛ぶクルマ事業の話です。
インスター国際試乗会のあと、あるビルに案内されました。そこはヒョンデグループの中でMaaS事業を進めている会社があるビルです。
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ミーティングホールに案内され、紹介されたのは先進航空モビリティ(Advanced Air Mobility)企業のスーパーナル合同会社(Supernal LLC)。その副社長がプレゼンテーションを行ないました。
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すでに2024年1月の北米・ラスベガスで開催されたCES2024で、コンセプトを発表しており、その内容は電動垂直離着陸(eVOTL=Electric vertical take-off and landing)が可能な「空飛ぶクルマS-A2型」です。乗客4人、パイロット1名という構成の空飛ぶタクシー事業ですね。
eVOTL S-A1型は2020年にビジョンコンセプトとして発表され、S-A2がついに実機になりました。コンセプトは都市間の新たな移動手段で、まずは北米から事業を始める予定ということです。まだまだ旅客航空旅行を商業化するにはたくさんの壁があると話してましたが、その壁を一つずつ乗り越えている最中でもあると。目標は2028年の市場参入という説明でした。
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ヒョンデのS-A2は8つのプロペラを持つドローン型で量産を目指しているということで、技術ハイライトは高度1500フィート(約450m)で120mile/h(約192km/h)の巡航速度で飛び、移動距離は25〜40マイル程度(約64km)という航空機です。スカイツリーより低い高度を200km/h近い速度で飛ぶのを想像するだけで楽しみですよね。
そしてとても静かに飛ぶということもUSPになっていました。垂直離着陸時で65dB、水平巡航では45dBという静粛性です。スーパーナル社は「食洗機と同じくらい静かに動作する」と話してましたが、コンパクトEV車両の走行音はやはり50dB前後なので、同等の静粛性ということですね。
北米での運用イメージは、ハブ空港からダウンタウンまでの移動をまず考えています。まだ垂直離着陸する場所の確保などは進行中というが、韓国国内を見渡すと、高層ビルが非常に多い。日本の比ではなく50階前後のビルが一般的で、住宅マンションも同様です。そして、その屋上はヘリポートになっている建物がたくさんありました。
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そのことから金浦空港や仁川空港からソウル市内までクルマで1時間ほどの移動時間がかかりますが、S-A2が事業化されれば15分程度での移動が可能になるというわけ。またKTXという日本の新幹線と似たような超高速鉄道もあり、鉄道ステーションにヘリポートがあれば、目的のビルまであっという間に到着できるというMaaSビジネスということです。
言うまでもなくスーパーナル社はヒョンデグループの航空事業を手掛ける会社であり、自動車メーカーから移動のためのモビリティカンバニーであることがよくわかる一例でした。
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