スーパーGTとDTM混走のワールドファイナルに向けてマシン共通化を2019年から導入

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スーパーGT500 とDTMのマシン規則の共通化プロジェクトの推進に合意したGTAの坂東正明代表とDTM(ITR GmbH)のハンス・ベルナー・アウフレヒト代表

2016年5月11日、スーパーGT主催団体のGTアソシエイションと、DTM(ドイツツーリングカー選手権)を運営するITR GmbH、両シリーズに参戦する日本、ドイツの6メーカーの代表が第5回ステアリング・コミッティを東京で開催し、2017年8月をめどに両レースシリーズ共通の「クラス1規定」の完成を目指すと発表した。

日本のスーパーGT選手権とドイツで開催されているDTMの接点の始まりは、2009年にDTMの代表らが日本のスーパーGTシリーズを訪問し、GT500クラスとDTMのレース車両の統一規格化を検討するプロジェクトがスタート。プロジェクトの検討会議は「ステアリングコミッティ」と名付けられ、GTA(日本)、ITR(ドイツ)、IMSA(アメリカ)の各国GTレースシリーズの持続的な発展を目指し、各プロモーター、各国自動車連盟、参戦自動車メーカー各社の代表者らによる運営委員会として、2013年7月に設立された。

この会議はこれまでに4回開催され、まず2012年からDTMで統一規則を盛り込んだマシンが登場し、日本では2014年からスーパーGT500クラスはDTM規格のボディフレームを使用したマシンが使用されることになった。この時点からボディフレームだけではなく多数のパーツがDTMとの共通部品となっている。

今回は、日本自動車連盟(JAF)とGTアソシエイションの坂東正明代表、ITRのハンス・ベルナー・アウフレヒト代表、さらに日本メーカーからはニスモの片桐隆夫社長、トヨタの高橋敬三モータースポーツマーケティング部主査、ホンダの山本雅史モータースポーツ部長、さらにドイツからはメルセデスベンツのウルリッヒ・フリッツ、BMWモータースポーツのイェンス・マルカルト、アウディモータースポーツのディーター・ガスという各メーカーの活動を担う代表が顔を揃え、具体的な協議が行なわれた。

そして協議の結果、坂東GTA代表とアウフレヒトITR会長は「統一技術規則 クラス 1規則」を2017年9月に公表することで合意し、合意書の調印を行なった。坂東代表は「今回の会議では、我々とITR、参加メーカー各社で活発な意見交換が行なわれました。そしてクラス1規則を2019年シーズンから両シリーズに導入する、クラス1規則の作成、公表を2017年9月までに行なうことを合意、調印しました」と話した。

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クラス1とは、スーパーGTとDTMがより大幅にマシンの共通化するための車両規則だ。しかし現在、スーパーGT500クラスは2.0L・4気筒直噴ターボのNRE(日本レースエンジン)で統一されているが、DTMは4.0L・V型8気筒が搭載されており、レース形態もDTMはスプリントレース、スーパーGTはタイヤ交換や給油もあるセミ耐久レースとして行なわれ、かなり状況は異なる。

そのため坂東代表は「クラス1規則の導入について、双方のレースフォーマットの違いを尊重しながら、可能な限り両シリーズの技術規則を統合していくことを確認し、車両規則の共通化の目的は日本とドイツメーカー/チームが一緒に走行する機会、ワールドファイナルの実現することと確認しました。そして、現在の60品目を超える共通部品に加え、アップライトや空力部品等の共通化も検討し、共通部品の一層の拡大を図る予定です」と語っている。

もちろん、日独米のマシンが混走するレースの実現以外に、共通部品を拡大することでレースにかかるコストを削減し、その一方でメーカーチームはマーケティング活動を活発化し、国際的に拡大させるという目的もある。

今回の合意で、DTMとスーパーGTのより大幅な範囲にわたるレース車両規則の共通化の道筋はついたが、今後は日本、ドイツ、アメリカの間でレース形態をどのように統一化を図るか、あるいは世界チャンピオン決定戦をどのように企画するかが課題となってくる。

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