2016年8月3日、都内で「ロボレース(ROBORACE)」の発表会が行なわれた。ロボレースとは聞きなれない名称だが、今年、2016年後半から開催される無人・完全自動運転車のレースのことだ。
このロボレースは現在各国で開催されている、電気駆動のフォーミュラカーレース「フォーミュラE シーズン3」のサポートレースとして開催予定なのだ。
ロボレースの規格やレース構想は2015年11月に発表されたが、今回はより具体的な内容が公表された。
そもそもこのレースの企画は、イギリスのベンチャー企業「キネティックス(KINETIK)社」が発案している。そしてドライバーがステアリングを握ることがない完全自律・自動運転のレースカーなのだ。
このEVレースマシンのデザインはフリー自動車デザイナーのダニエル・サイモンが手掛けている。そして、完全自律の自動運転システムは、アメリカの半導体&IT企業「NVDIA(エヌビディア)社」が担当する。
NVDIA社は自動運転システム、高度ドライバー支援システムのための専用マイコンやソフト開発を手がけている企業だ。
そして、NVDIA社はこの企画のために、自動運転車向けシステム「Drive PX 2」を開発。このマイコン・システムは、小さな弁当箱のサイズにApple MacBook Proの15台分の能力を詰め込んでいるとされ、毎秒24兆回という超高速の演算能力を持っている。
■NVDIA社が開発した自動運転レースカーとは?
ロボレースカーは、前後に長距離ミリ波レーダー、フロント左右、両サイド、リヤに合計5個のレーザースキャナー、360度カメラ、近距離の物体を検知する超音波センサー、GPSセンサーを搭載しており、NVDIA Drive PX2はこれらのセンサーからの情報により自律・自動運転を行なうという。
レースカーはリチウムイオン・バッテリーを搭載し、4輪に配置されたインホイールモーターを駆動するシステムだ。
ではどのようなレースをイメージすればよいのか? レースカーそのものはキネティックス社が開発したロボカーによる完全なワンメイクでのレースとなる。
自動運転のソフトウエアはオープン・プラットフォーム化され、チームごとのソフトウエア・エンジニアがサーキットに合わせてソフトウエアをチューニングして速さを競う。
ということは、レースの優勝者は無人のマシンではなく、チームのソフトウェア・エンジニアという、なんともオタクなレースなのだ。イメージ的にはラジコンカーレースのような感じだが、プログラムされた車載コンピュータによる自動運転という点が斬新とは言えるが、自律的な自動運転のレース自体はすでにアメリカのDARPA主催によるレースが2004年~2007年に開催されており、ロボレースのコンセプト自体は目新しくはない。
とは言え、日々、進化の激しい分野だけに、これまでとは異なる面白さや興味深さはある。したがって、どこまで注目を集めるのか?気になるレースだ。