ABB FIAフォーミュラEシーズン11の第8戦、第9戦は東京でのダブルヘッダー開催。東京ビッグサイトの特設コースは、前年度マシンがジャンプしてしまう場所があり、部分改修をしている。またシケインを無くしたことで、全体にハイスピードなレイアウトになっていた。

2025年5月17日(土)に行なわれた第8戦は雨と風の影響が強く、フリープラックティス2回目は行なわれたものの、予選は中止となり、FPのタイムでグリッドが決まる変更がされた。その結果オリバー・ローランド(ニッサン)がポールポジションとなったが、ローランドは予選が行なわれない可能性を考慮し、フリープラックティスでアタック走行していたという、計算づくでポールを獲得した。

予選はローランド、エドアルド・モルタラ(マヒンドラ)、ノーマン・ナトー(ニッサン)、テイラー・バーナード(マクラーレン/ニッサン)、ニック・デ・フリース(マヒンドラ)、セバスチャン・セバスチャン・ブエミ(エンビジョン/ジャガー)という顔ぶれになり、逆にアンドレッティのジェイク・デニスとニコ・ミュラーは350kWでの走行をしないなど、雨中のフリープラックティスをほぼ走ることなく、最下位からのスタートとなってしまった。

決勝レースもSCの先導で始まったもののローリングスタートではなく、4周SC走行をしてからのスタンディングスタートとなった。混乱が予想される1コーナーではあったが、予測に反し、クリーンなスタートを切り、混乱なくレースは始まった。
そしてこの第8戦ではピットブーストが採用されるレースで30秒間の急速充電が義務付けられており、マシンの電池残量が60%未満40%以上のタイミングでピットインできる。
そのピットブーストをうまく利用し、アンダーカットに成功したストフェル・ヴァンドーン(マセラティ/DS)が東京E-Prixを制したのだ。

ヴァンドーンは6周目にアタックモード4分間を使い、バッテリーを消費しているが、他にもブエミ、ダ・コスタ(ポルシェ)、ミッチ・エバンス(ジャガー)、モルタラ、デ・フリース、ロビン・フラインス(エンビジョン/ジャガー)がアタックモードを使っている。しかしながら11周目にピットインが可能となったのはヴァンドーンだけで、すぐさまピットインをして充電を行っている。
ヴァンドーンは最下位でレースを周回し、トップは安定してローランドが走行。ローランドは途中ファステストもマークするなど好調ぶりが伺えた。
15周目にマキシミリアン・ギュンター(DS)のマシンがトラブルでコース上でストップしたため、赤旗中断となり、マシン撤去作業が行なわれ、再びSCで周回後、スタンディングスタートで再開された。
そして24周目、ローランドはピットに入り充電を行なった。そして8位でコースに復帰。充電済の中では2番手で、トップはヴァンドーンだった。この時のギャップはなんと28秒もあり、残りの周回数が14周程度だとすると、追いつくのが不可能なほど、ヴァンドーンはリードをしていたのだ。

そして終盤、14秒差まで詰めるものの、ヴァンドーンは逃げ切りローランドは2位。3位バーナードという順で、キツネにつままれたような展開でレースを終えている。その結果、2年連続でマセラティが優勝し、ローランドは2年連続2位という結果になった。
しかし、ローランドは8戦終了して6回の表彰台に登り、バーナードも今季レギュラーデビューにも関わらず3回目の表彰台という驚くべき20歳は結果を残している。
翌日の第9戦ではピットブーストは行われないため、通常のアタックモード8分間というレースで行われる。