【ABB FIA フォーミュラEシーズン11】第4戦 ジェッダ・サウジアラビア ローランドの2勝目と脅威の新人バーナードの大活躍

ABB FIAフォーミュラEシーズン11の第4戦は前日の第3戦に続いてのダブルヘッダーで、サウジアラビアのジェッダで2月15日に開催された。

前日の第3戦ではピットで急速充電を行なうピットブーストが、史上初のEVレースとして注目されたが、今回の第4戦は通常のレースフォーマットに戻って開催された。

予選は12分間のグループ予選でA組、B組に別れ、組分けはシリーズランキング順に11台ずつが参加。上位4台が直接対決するデュエルスに進出する方式だ。

シーズン11はマシンもリニューアルされたGen3evoマシンで、AWDを使う場面もあるレースだ。ただこのグループ予選では従来どおり300kWのリヤ駆動でタイムアタックをし、デュエルスは350kWに出力アップし、さらにAWDで競う方式だ。決勝レースでは、スタート時にAWDとなり時速150kmの時点でリヤ駆動に戻す。そしてアタックモード時はAWDの350kWで最大8分間走行することができるというルールだ。

シーズン11でのチーム&ドライバーの注目では、シーズン10で強かったジャガー勢(ジャガー&エンビジョン)、そしてポルシェ勢(ポルシェ&アンドレッティ)が不調なことだ。もっともポルシェのパスカル・ヴェアラインは開幕戦から2戦連続のポールポジション獲得をし、第3戦も2番手なので、ポルシェ勢では唯一といった状況だ。一方、ジャガーのPTを搭載する4台は予選でも上位に入れず、決勝でもいいところがない状況なのだ。

反面、好調なのがNISSANのパワートレインを搭載する4台(ニッサン&マクラーレン)。特にマクラーレンの新人ドライバーテイラー・バーナードは脅威的な速さを見せているのだ。

この第4戦のグループ予選ではグループBをトップ通過しており、デュエルスではなんとポールポジションを獲得した。脅威の20歳。通算7戦目で今季4戦目という経験のない若武者がすごい。グループ予選でも唯一の1分16秒台のタイムを出し、デュエルスでも唯一の1分14秒台を叩き出している。しかも2回14秒台を計測しているのだ。

デュエルスに進出した、ローランドもギュンターも、ヴァンドーン、バードといったドライバーも14秒台を出せていない。まさに頭一つ抜けたは速さを見せつけているのだ。またローランドとは師弟関係で、バーナードが10歳の時、ローランドのカートチームで頭角を表したドライバーで、今回のデュエルス決勝では、師匠のローランドとの直接対決でバーナードが勝利している。しかも同じNISSANのPTを搭載しているだけに、バーナードの才能は紛れも無いことが伝わってくる。

迎えた決勝では、ポールスタートのバーナードは綺麗にホールショットを決め、レースを引っ張るものの、ピットブーストがないため、レースペースは遅い。そのため、いつでも順位を入れ替えることができる展開で始まった。そんな中、前日の第3戦のバーナードは3位表彰台を獲得しており、開幕戦でも3位。期待されるのは、史上最年少のフォーミュラE優勝だ。

そうした周囲の期待を背負いながら、レースを展開するも途中、ローランドと入れ替わり2〜4位付近をキープする。他のエンジン車レースと異なり、序盤のレースポジション争いはあまり意味がないのが現状のフォーミュラEだ。つまり最下位からトップに立つことが難しいレースではないレースなのだ。

その理由は、電欠の危険、SCやFCYにより追加周回数の可能性などから、バッテリー残量を気マネージメントする必要があること。つまり、常に全開走行ができないというレースなのだ。したがってエネマネで速度を落としラップを稼ぐ状況となったとき、バッテリー残量に余裕があるマシンが簡単に先行マシンを交わすことができるというわけだ。

さらに、レース中のアタックモードにより、圧倒的な旋回性&加速力を手に入れることができる、といった要素からポジション争いは終盤だけという展開なのだ。

そうした状況で、NISSANのPTを搭載するローランドとバーナードは、エネマネでも有利に立つことができ、終始上位のポジションをキープできる展開だった。ローランドは19周目付近でトップに立っていたが、この時上位10台はアタックモードの機会を残している。できるだけ遅いタイミングでアタックモードに入った方がトップでゴールできるわけで、そのタイミングを見る終盤となった。

31周で争った第4戦では、ローランドが25周目にアタックモードを使い、逃げる戦略を披露した。その結果2位に3.8秒の差をつける圧勝で、エネマネとストラテジー、そしてテクニックの全てが噛み合う完璧なレースを展開し今季2勝目を挙げた。注目のバーナードも終盤でアタックモードを使い3位のポジションからひとつ順位を上げ2位フィニッシュとなった。

師弟対決はローランドに軍配が上がり、レース後ローランドは「ペースを上げないと後続集団にバーナードが飲み込まれてしまうため、逃げる作戦を取った」とバーナードに話しており、ワンツーフィニッシュのお膳立てをしていたことも分かった。

関連記事:【ABB FIA フォーミュラEシーズン11】ついにピットで充電する「Pit Boost」を次戦のサウジアラビアで導入決定!(2025.02.16)

■【シーズン11】レースリポート

★第1戦 サンパウロ
★第2戦 メキシコシティ
★第3戦 ジェッダ
★第4戦 ジェッダ

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