【ABB FIA フォーミュラEシーズン11】第2戦 メキシコ・メキシコシティ NISSAN ローランドが優勝

ABB FIAフォーミュラEシーズン11の第2戦メキシコ・メキシコシティで開催されNISSANのオリバー・ローランドが今季初優勝、通算4勝目を挙げた。

メキシコシティの中心街にあるパーマネントサーキット「エルマノス・ロドリゲスサーキット」を使って開催。1周2.630kmを36周するコースだ。

今季のGen3evoは、スタート時とアタックモードの時に300kWが350kWの出力にアップし、前輪も駆動するAWDに変わる。スタート時はスタートから150km/hに達すると自動で300kWに出力ダウンし、RWDへと切り替わる仕組みになっている。

また、アタックモードでも同様にアクティベートゾーンを通過すると350kWに出力がアップしAWDとなり、合計8分間その状態が続くが、2回に分けて使う必要があり、かつ、レース終了までに使い切る必要もある。パターンとしては2分+6分、4分+4分、6分+2分の3パターンから選択してアタックモードを使うことになる。

前シーズンのシーズン10では、このアタックモードはレース展開に影響せず、消化試合的な存在になってしまっていた。またレース自体もスタートからエネルギーを抑えるためラップタイムを落として走行し、ラスト10周で勝負をするような展開となり、見る側の興味が失われるようなレースも多々あった。

しかしシーズン11になり、AWDとなったことで、350kWの出力アップが追い抜きに使われるようになり、また序盤のレースコントロールも極端なスローペースではなく、通常のレースのように見えた。ひとつにはパーマネントサーキットという条件もあるのだろうが、エネマネのレベルアップとともに、消費電力を削る進化があったことは間違いない。

今回の第2戦もシーズン10では35ラップだったが、シーズン11では1周多くなっている。もちろんバッテリーサイズに変更はなく、ラップタイムも遅くなっていないので、そうした進化が顕著になっているわけだ。

予選方式は従来と変わらず、最初にグループ予選がA組、B組で行われ、各組上位4台がデュエルスへ進出し、その先は1対1の対決方式でポールポジションを決める。そしてデュエルスでは、やはり350kWの出力にアップしてのアタックとなっている。

第2戦ではジャガーのパワートレインを使うチームの低迷が気になった。開幕戦ジャガーのミッチ・エバンスが優勝をし好調な印象を受けたものの、デュエルスに進出したのは、エンビジョンのブエミとジャガーのエバンス、キャシディの3台。しかもブエミとキャシディはテクニカル違反があったため、タイムを抹消されているのだ。

この傾向は決勝レースでも同様で、エバンスは上位を狙えるポジションにいたが、先行するマシンに追突しリタイヤしている。ブエミやフラインス、キャシディもまったく上位には顔を出さなかったのだ。

この技術違反は、アクセルペダルの開度と出力トルクのズレがあったようで、AWDになった時に使用可能となるトラクションコントロールが出力ダウンしたときも、わずかに稼働していた違反のようだ。ちなみに許容量はあるようで2KJ(キロジュール)以内であれば、違反とならないレギュレーションということだ。

こうしたことで、決勝では最下位がキャシディ、21位がブエミというポジションからのレースになった。

一方、好調な印象を受けたのがポルシェのパワートレインを使うチームだ。グループ予選ではヴェアライン、ダ・コスタのワークス、アンドレッティのデニスがデュエルスに進出し、デュエルス決勝ではポルシェワークスの2台が競い、シーズン10のチャンピオン、ヴェアラインがポールポジションを獲得している。

一方のNISSANでは、ローランドは好調を維持し、グループ予選は2番手で、デュエルスでは準決勝でヴェアラインとあたり敗れたものの4位からのスタートとなった。チームメイトのナトーがいまひとつなのは気になるところだ。またNISSANのパワートレインを搭載するマクラーレン勢も予選は速くなく気になる。しかし、新人の20歳バーナードの元気のいい走りは今後に期待が持てるし、開幕戦で3位表彰台は周囲を驚かせている。

決勝レースでは、シーズン10のように序盤はエネマネしてタイムを大きく落とすようなことはなく、通常のレース展開で始まった。ただ、順位争いは激しく、またアタックモードを使うと1周で2秒ほど速いタイムとなるため、順位展開をレポートする意味はない。

逆に、ポジション争いは、レース展開を有利に進めるためにチーム戦略が重要となり、予選1、2位を占めたポルシェが優位にたってレースをリードしていた。そのため、開幕戦のように最下位スタートのエバンスが優勝という展開にはならず、予選順位どおりの展開で、カオス状態になるようなことはなかった。

レースは終盤、アタックモードを6分残していたローランドが5位付近から上位を狙い、ポルシェ・ワンツー体制を撃破する走りを見せた。じつはこの6分間の間にセーフティカーが入り、ローランドはトップとの差を詰めることができていた。一方、SC中にアタックモードの終了時間がきてしまえ追撃は終わるところ、SCがピットに入った時点で1分ほど350kWで走行できる時間が残っており、そのため、トップのダ・コスタまでかわすことができ、残り6ラップを逃げ切って優勝している。

1位ローランド(NISSAN)、2位ダ・コスタ(ポルシェ)、3位ヴェアライン(ポルシェ)、4位デニス(アンドレッティ・ポルシェ)、5位ヴェルニュー(DS)、6位ギュンター(DS)という順位だった。

次戦はサウジアラビア・ジッダで初開催されるWヘッダーで、ついにピットブーストが導入されれる。ピットストップ30秒で10%エネルギーをチャージできる仕組みだ。どんな展開になるのか、各チームともシミュレーションの精度に差があるのかも見どころと言える。次戦第3戦は2月14日(金)、第4戦は15日(土)に行われる。

■【シーズン11】レースリポート

★第1戦 サンパウロ
★第2戦 メキシコシティ

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