フォーミュラEのシーズン10では、ドライバーの移籍が活発に行なわれたので、各チームのドライバーを紹介しておこう。そしてシーズンカレンダーが発表され、1月13日のメキシコから始まり、第6戦3月30日に東京・お台場で日本ラウンドが行われる。そして全16戦で最終戦は7月21日のロンドンということになった。
シーズン10ではインドのハイデラバードが初開催で、さらに第14戦がアメリカのポートランドでも開催される。そして上海も復活し2レース開催されるスケジュールだ。
★シーズン10レースカレンダー
★マヒンドラ
2021年フォーミュラEシーズン7でシリーズチャンピオンを獲得したニック・デ・フリースは、2023年にチームを離れF-1へ挑戦していた。角田が走るアルファ・タウリに加入したものの、結果に結びつかずシーズン途中で解約されていた。そのニック・デ・フリースがフォーミュラEに復帰する。
2024年シーズン10ではマヒンドラからのエントリーが発表され、チームメイトはエドアルド・モルタラだ。モルタラもマセラティでシーズン9を走っていたがマヒンドラへ移籍。またマヒンドラはZFのパワートレインを使用していることから、かつてモルタラはモナコのヴェンチューリではZFのユニットを使用しており、その関係性もあったのかもしれない。
★アプト
シーズン3チャンピオンのルーカス・ディ・グラッシが、ドライバーズタイトルとチームタイトルを獲得したチームと同じABT CUPRAに戻ってシーズン10に挑む。新シーズンを前にディ・グラッシはマヒンドラとの決別を発表し、すべてが始まった古巣に戻ってきたわけだ。
ルーカス・ディ・グラッシは「ABTに戻れて本当にうれしい。このチームで2つのタイトルを獲得できただけでなく、情熱を持って働いているすべての人々との思い出も尽きない」と語る。
そしてディ・グラッシはシーズン10をABT CUPRAでニコ・ミューラーとともにレースをすることになる。
★アンドレッティ
ノーマン・ナトは日産からアンドレッティに移籍し、シーズン9の世界チャンピオン、ジェイク・デニスに帯同する。この移籍は、アンドレ・ロッテラーがシングルシーターでの活動に終止符を打つという発表を受けてのものだ。ロッテラーは6シーズンにわたりフォーミュラEで戦い、その間、テチータ、タグ・ホイヤー・ポルシェ、アンドレッティなどでレースをしてきた。
その穴を埋めるのが、シーズン9に日産でフルシーズンを戦ったナトだ。ローマでは見事2位表彰台を獲得し、ドライバーズランキングでも10位に入っている。ナトはフォーミュラEの優勝経験者でもあり、シーズン7ではヴェンチュリーとともに最終戦ベルリンで優勝して表彰台の頂点に立っている。今回のアンドレッティ移籍は、デニスとともに並ぶナトにとって大きなチャンスとなるだろう。
★マセラティ
マセラティMSGレーシングにフレッシュなルーキーが加わった。シーズン9はマヒンドラのリザーブ・ドライバーを務めていたジェハン・ダルバラが、フルタイムのレースシートへとステップアップしたのだ。
マキシミリアン・ギュンターとともにレースをするダルバラは、デビューシーズンでこれまでのドライバーたちと同じような成功を収めることを望んでいる。昨シーズンのルーキー、NEOMマクラーレンのジェイク・ヒューズと日産のサッシャ・フェネストラズは、ともにジュリアス・ベールのポールポジションを獲得する活躍をしているからだ。
「マセラティのように象徴的で伝説的なブランドを代表することは、とても光栄なことです」と25歳のダルバラは語り、「ここ数年、ジュニア・シングルシーター・カテゴリーに参戦してきたので、世界選手権にステップアップすることは僕にとって大きな瞬間です」と語っている。
★日産
ヨークシャー出身のオリバー・ローランドが、2024年のフォーミュラEシーズン10に向けて日産チームからフォーミュラEにカムバックする。初年度に印象的な走りを見せたサッシャ・フェネストラズとコンビを組むローランドは、日本チームと親交が深い。シーズン5からシーズン7まで日産チームでレースをし、5回の表彰台、5回のポールポジション、そして2020年のベルリンE-Prixでの優勝を達成している。
シーズン8からはマヒンドラ・レーシングに移籍したが、2023年のモナコE-Prixを最後に、マヒンドラからは離脱。
ローランドは「フォーミュラEで、多くの成功を収めた場所に戻るのは、僕にとってちょっとした里帰りなんだ。チームは昨年から素晴らしい軌道を描いていて、パフォーマンスも向上している。仕事に戻るのが楽しみだし、準備もできている。”チームとして何ができるか、待ちきれないよ」と話す。
★NIO
NIO 333は、ダン・ティクタムとセルジオ・セッテ・カマラの若く才能あるコンビを続投。フォーミュラE参戦3シーズン目となるティクタムは、昨シーズンの最後の3レースでトップ10に入る好成績を残した。チームメイトのセッテ・カマラもハイデラバードで5位入賞を果たし、チームランキング9位という過去5シーズンで最高の成績を収めている。
★DSペンスキー
DSペンスキーは、2人の元チャンピオンを擁する経験豊富なコンビを起用した。フォーミュラEで唯一のダブルチャンピオンに輝いたジャン-エリック・ベルニューは、シーズン8のチャンピオン、ストフェル・バンドールンと再びコンビを組む。グリッド上でも最強のコンビのひとつだ。
「ストフェルとのコンビは強力だ。「僕たちはいいレースをいくつかしたし、トップに返り咲くために懸命に努力している。もっといいレースをしなければならない。僕の絶対的な集中力と決意は最高で、モチベーションはまったくそのままだ」と語る。
★エンビジョン
ロビン・フラインスは8月、シーズン10での移籍をいち早く発表し、エンビジョン・レーシングに再加入した。E-Prixで2度優勝している彼は、フォーミュラEのシーズン5からシーズン8にかけて、チーム世界チャンピオンに輝いたエンビジョンチームでレースを経験している。
手の負傷でシーズン序盤を棒に振るなど、厳しい1年を過ごしたフラインスは、ABT CUPRAを去り、シーズン2チャンピオンのセバスチャン・ブエミとパートナーを組んで、シーズン10を迎える。
★ジャガー
最大の話題のひとつは、シーズン9のチャンピオン候補であるニック・キャシディが、ミッチ・エバンスとともにジャガーに移籍するというニュースだ。以前はエンビジョン・レーシングの代表としてチーム・チャンピオンの獲得に貢献したキャシディは、シーズン10からはジャガーに移籍する。
エンビジョン・チームにパワートレインを供給するジャガーは、キャシディとエヴァンスのオール・キウイ・ドライバー・ペアで非常に強力なラインナップを揃えることになる。ロンドンE-Prixのフィナーレ直後に発表されたこのニュースについて、キャシディは次のように語っている。
「ジャガーのようなモータースポーツの成功の歴史を持つチームでレースができることを楽しみにしている。シーズン9はこれまでで最も成功したシーズンだったので、ジャガーI-TYPE 6のステアリングを握り、ポイント、表彰台、そして勝利を目指して戦うのが待ちきれない」と語った。
★マクラーレン
同じ国籍のドライバー・デュオを擁するもうひとつのチームがNEOMマクラーレンで、2人のイギリス人がチームメイトのコンビを完成させている。ジェイク・ヒューズはマクラーレンの強力なルーキー・シーズンを終え、新しいチームメイトはサム・バードだ。
フォーミュラEで11勝、26回の表彰台、112レースを経験したバードは、チームにとって有望な選手だ。バードはフォーミュラEの全シーズンに参戦しており、ジャガーでのシーズン8で経験したような、チャンピオンシップの全シーズンで優勝するという不本意な結果に終わった時よりも良い結果を出したいと考えているはずだ。
★ポルシェ
ポルシェチームはドライバー変更はなく、パスカル・ヴェアラインとアントニオ・フェリックス・ダ・コスタの2名でシーズン10に参戦する。