ABB FIAフォーミュラEシーズン9第16戦ロンドン ニック・キャシディが優勝し、ジャガーのサテライト「エンビジョンレーシング」がチャンピオンチームに輝く

ABB FIAフォーミュラEシーズン9の最終戦が7月30日、英国・ロンドンのエクセルロンドン展示場の特設コースで行なわれた。前日の第15戦でアバランチ・アンドレッティのジェイク・デニスがシリーズチャンピオンを獲得している。最終戦での見どころはチーム・チャンピオンということになるだろう。

第15戦の終了時点で、エンビジョンチームとジャガーチームが268点の同点で首位。つづいてポルシェが27点差で3位、そしてアバランチ・アンドレッティが32点差で4位という順で、この上位4チームでチャンピオンが決まる状況だ。以下は5位にDSペンスキー、6位マセラティ、7位マクラーレン、8位日産という順だ。

最終戦でシリーズチャンピオンチームとなったエンビジョンレーシングの監督シルバン・フィリッピと2位フィニッシュのエバンス

トップのエンビジョンはジャガーパワートレインを使うカスタマーチームで、4位のアンドレティもポルシェのパワートレインを使うカスタマーチーム。ジャガーVSポルシェのカスタマー対決という構図になっている。

最終戦の予選グループAでは、ニック・キャシディ(エンビジョン・ジャガー)、デニス、セバスチャン・ブエミ(エンビジョン・ジャガー)、サム・バード(ジャガー)の4名がデュエルスに進出。グループBではミッチ・エバンス(ジャガー)、ニコ・ミュラー(アプト・ZF)、ノーマン・ナトー(日産)、そしてストフェル・ヴァンドーン(DSペンスキー)がデュエルスに勝ち上がった。

そしてQFではデニスとキャシディ、ナトーとエバンスが勝ち上がり、キャシディとエバンスはドライバーズランキング2位を争うことになった。そしてSFではキャシディとエバンスが勝ち上がり、デュエルス決勝では前日の第15戦と同じ顔合わせだ。前日はエバンスがポールポジションを獲得したが、第16戦ではキャシディが雪辱を晴らし、ポールポジションを獲得した。

最終戦はジャガーパワートレインのワンツーフィニッシュとなったキャシディ(左:エンビジョン・ジャガー)とエバンス(ジャガー)

その結果、エンビジョンチームに3ポイント入り、マニファクチャラーはエンビジョンチームがポイントリーダーとなって、最終戦を迎えることになった。

ポイントはワンツーフィニッシュをし、ファステストラップを取れば最大44点獲得できるため、この上位4チームがチャンピオンの可能性があるという状況だ。

決勝

予選では雨がパラパラ降る場面もあったが、決勝のタイミングでは完全なウエット路面に変わった。このロンドンのコースはエクセルロンドン展示場の屋内と屋外の駐車場を使った複合コースなので、タイヤの内圧セッティングが難しくなる状況になった。また周回数は前日より2周少ない34周で行なわれるため、エネルギーマネージメントのシミュレーションは別なシナリオを使う必要がある。

最終戦4位の日産ノーマン・ナトー。日産チームはシーズンを7位で終えた

SCのリードで始まった最終戦は激しい雨に変わり、SCでの周回が重なる。周回するたびにレースコントロールからは「もう一周」のアナウンスが繰り返され、5周した時点で赤旗中断となった。小雨になるのを待ち、ドライバーはマシンから降りレース再開を待つ。そして再開後も再びSCリードでのローリング中に2度目となる赤旗中断になった。

そして1時間後に雨は止み再開。レースは7周を消化した計算で8周目からの再開になる。スタートはローリングスタートが選択され、ポールのキャシディがそのままトップをキープしてレースが始まった。

トップを走るキャシディ(エンビジョン・ジャガー)は今季4勝をあげた

雨は止んではいるものの路面はウエットであり、トップのキャシディ以外は視界が悪く、なかなかオーバーテイクはできない状況のレースだ。そんな中、アタックモードを積極的に使うチームが大半で、順位の入れ替えを目指すものの、アクティベートゾーンの通過でロスするタイムは約0.8秒程度なので、思うように順位の入れ替えもなく、おとなしい展開となった。

26周を終えるとキャシディはエバンスに2.6秒のリードを保ち、そのまま最後まで順位は変わらず、2位エバンス、3位デニスという順でフィニッシュした。その結果エンビジョンチームがシリーズチャンピオンに輝き、2位がワークスジャガー、そして3位にポルシェのサテライトであるアバランチ・アンドレッティチームが獲得。ワークスポルシェは4位でシーズンを終えた。

最終戦はニック・キャシディがポールto ウインを決めた

このレースでシーズン9を終了し、Gen3マシンのデビューイヤーを終えた。ドライバーズチャンピオンは英国人ドライバーのジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ・ポルシェ)、チャンピオンチームはジャガーパワートレインを使うカスタマーチームのエンビジョン・レーシングがチャンピオンになり幕を閉じた。

左から今季のドライバーズチャンピオンは、キャシディがシーズン2位、シリーズチャンピオンのデニス、3位のエバンス(ジャガー)

シーズン10では3月末に東京ラウンドが組み込まれている。ビッグサイト周辺のお台場エリアだが、インドアを組み合わせたコースを期待し、シーズン10を楽しみに待ちたい。

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