【フォーミュラE】シーズン8 第11戦ニューヨーク ニック・キャシディ初優勝

FIA IAAフォーミュラEシーズン8の第11戦ニューヨークE-Prixは、アメリカ・ニューヨークのブルックリンエリアの特設コースで開催された。

全16戦で戦うシーズン8も終盤に入り、ここまでのチャンピオンシップでエドアルド・モルタラ(ロキット ヴェンチューリ)がトップで139点。2位にジャン・エリック・ヴェルニュー(DSテチータ)が11点差の128点。3位にストフェル・バンドーン(メルセデスEQ)125点、そして4番手がミッチ・エバンス(ジャガーTCS)の124点とつづき、この4名が少し抜け出している。

モルタラ、エバンスともに今季3回の優勝を飾り、2位のヴェルニューは優勝はないもの、5回の表彰台を獲得。一方、昨年のシリーズチャンピオン、ニック・デ・フリースは2度の優勝があるものの、安定したポイントが取れず7位という順位になっている。

第11戦、12戦はニューヨークのブルックリン地区のハーバーで開催

第11戦のニューヨークでは、予選ポールでのポイントやレース中のファステストラップなどにポイントが加算されるため、上位陣は少しでもポイントを稼ぎたい状況になってきた。

予選はいつものようにランキング奇数順位がグループA、偶数順位がグループBの2グループに分かれ、220kWの出力で12分間走行し、タイムを競う。そして上位4台が次のステージデュエルスに進出できる。

グループAではロビン・フラインス(エンビジョンレーシング)、キャシディ、バンドーン、セバスチャン・ブエミ(ニッサン・e.ダムス)が勝ち上がり、エンビジョンのワンツーを決めてデュエルスに進出した。

またチャンピオンシップをリードするモルタラはグループ予選敗退の苦しい展開に。さらにデ・フリース、ジェエイク・デニス(アヴァランチ・アンドレッティ)、マキシミリアン・ギュンター(ニッサン・e.ダムス)、アンドレ・ロッテラー(TAGホイヤーポルシェ)らが敗退している。

エンビジョンレーシングはAudi e-tronFE07のパワーユニットを使用する

一方グループBは途中で雨が降ってきたこともあり混乱する結果になった。予選開始4分経過あたりで雨が降り出し、早めにタイムを出したチームが上位に進出。ルーカス・ディ・グラッシ(ロキット・ヴェンチューリ)、アレキサンダー・シムス(マヒンドラレーシング)、サム・バード(ジャガーTCS)、パスカル・ヴェアライン(TAGホイヤーポルシェ)がデュエルスに進出した。

デュエルスでは250kWにセットアップが変更され、最初にヴェアラインVSフラインスが競い、ヴェアラインがクオーターファイナルに。バードVSキャディはキャシディが今季初勝利を収めQFに進出した。そしてバンドーンVSシムスはバンドーンが、ブエミVSディ・グラッシはディ・グラッシがそれぞれQFに進出した。

そして勝ち上がったヴェアラインとキャシディ、バンドーンとディ・グラッシがセミ・ファイナルで争い、ファイナルはキャシディVSバンドーンとの対決となった。

その結果ニック・キャシディが0.008秒差で今季初のポールポジションを獲得し、通算3回目のポールポジションとなった。

予選結果はポールポジションがキャシディ、フロントローにバンドーン、3番手ディ・グラッシ、4番手ヴェアライン、5番手ブエミ、6番手シムスという顔ぶれになった。またチャンピオンシップを争うモルタラは9番手スタートで、ヴェルニューが16番手、エバンスが14番手となり2番手からスタートするバンドーンが圧倒的に有利な展開となった。

残り10分で…大波乱の決勝

迎えた決勝では降雨による大波乱が起きてしまった。

決勝レースはいつも通り45分プラス1周で、アタックモードは4分間2回を使い切るのがマスト条件で始まった。

スタートでバンドーンが少し出遅れ、抜群のスタートダッシュを決めたキャシディがリード。2番手にディ・グラッシ、ブエミの順に続き4番手バンドーンという展開で始まった。一方チャンピオンシップ2位のベルニューがオープニングラップで接触しスピン。最下位まで順位を落としてしまった。

序盤アタックモードを使いながら順位を入れ変える展開をしつつキャシディ、ディ・グラッシのトップ争いをし、チャンピオンシップリーダーのモルタラは10番手、エバンスは15番手と低迷している。

残り23分を切り後半に入ると2回目のアタックモードを使い始め、キャシディ、ディ・グラッシ、バンドーン、ブエミ、フラインスでトップ集団を構成。残り17分の時点で上位陣はアタックモードを使い切り、順位が落ち着くかに見えた。

が、ファンブーストを残しているディ・グラッシがFBを持たないキャシディに襲いかかるも交わすことができず順位をキープ。すると3番手のバンドーンがFBを使い、そのディ・グラッシを抜き2番手に浮上した。

この時点でレースが終了するとチャンピオンシップは1位がバンドーンになり、2位モルタラ、3位ベルニュー、4位エバンス、5位フラインスとなる。が、残り14分でモルタラがアタックモードに入り10番手から順位を上げる走りを見せ、6番手にまで急上昇し、チャンピオンシップも混戦に持ち込まれた。

ところが残り10分となったところでコースの一部、ターン11で激しい雨が降りだし、部分的に大雨とドライコンディションが混在する難しいレースに変わった。すると、トップ争いを演じていたキャシディ、ディ・グラッシ、バンドーンが次々にハイドロプレーンを起こし連続クラッシュ。あちこちで多重クラッシュが発生し、FCYから赤旗中断というレースになってしまった。

コース上の壊れたマシンを回収している間にレースダイレクターから、赤旗となった周回の前の周のコントロールライン通過順位でレースを終了するアナウンスがあり、その結果キャシディのフォーミュラE初優勝が決定した。

日本でも馴染みの深いニック・キャシディがついにフォーミュラE初優勝をした

2位ディ・グラッシ、3位フラインスでエンビジョンがダブル表彰台を獲得。4位バンドーン、5位モルタラでモルタラはファステストを刻みポイント獲得した。6位ブエミ、7位ヴェアライン、8位デニス、9位バード、10位デ・フリースという順位になった。

チャンピオンシップでは1位モルタラで変わらず149点、2位バンドーン137点、3位ヴェルニュー128点、4位エバンス124点、5位フラインス96点、6位ディ・グラッシという順位で第11戦を終了した。ちなみに、使用するパワートレインはモルタラ、バンドーン、ディ・グラッシがメルセデス、ヴェルニューがDSで、エバンスがジャガー、フラインスがアウディとなっている。そして意外にもポルシェパワートレインのベアライン、ロッテラーが、そしてニッサン勢も苦戦している。

次戦の第12戦は翌日、同じニューヨークの会場で行なわれる。シリーズチャンピオンシップはますます混戦し見逃せない展開が続くことになった。

COTY
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