フォーミュラEシーズン8の第5戦は前日の第4戦につづき、ローマの市街地で開催された。コースレイアウトの変更もないため、コースにはラバーも載り、タイムが出やすいコンディションに変わっての第5戦となった。
予選
グループ予選ではA組フラインス、ロッテラー、デニス、バードが勝ち抜けたが、トップのフラインスのタイムは1分39秒416で前日の予選タイムより1秒以上速くなっている。そしてB組は前日優勝のエヴァンスが1位通過、ヴェアライン、ヴァンドーン、ヴェルニューの4台、計8台がQFに進出した。
シリーズのチャンピオンシップをリードするモルタラ、デ・フリースがともにグループ予選で敗退した。また日産のギュンター、ブエミもグループ予選で敗退している。
QFではバードとエヴァンスという同じジャガーTCSレーシングのチームメイト同士がぶつかり、エヴァンスがセミファイナルに勝ち上がった。他にヴェルニューがフラインスを破り、ロッテラーがヴァンドーンを破る。そしてヴェアラインは好調のデニスに敗れる展開となった。
セミファイナルはロッテラーVSヴェルニューでヴェルニューに、もうひと枠はデニスVSエヴァンスはデニスが勝ち、ファイナルはヴェルニュー(DSテチータ)が14回目のポールポジションを獲得した。
スターティンググリッドはヴェルニュー(DSテチータ)、デニス(アバランチ・アンドレッティ)、2列目がロッテラー(タグホイヤー・ポルシェ)、エヴァンス(ジャガーTCS)、3列目バード(ジャガーTCS)、フラインス(エンヴィジョン)という順で日産の2台は15位ブエミ、16位ギュンターと沈んだ。
決勝
続く決勝レースは45分+1周は変わらないものの、アタックモードが8分間を1回というルールに変更。8分間連続使用の使い方が難しい。また8分を使い切る義務もあるため、どのタイミングで使用するのかも見所の一つになった。
スタートではヴェルニュー、デニス、ロッテラーが綺麗にスタートダッシュを決め、ポジションの入れ替えはない状況でスタート。しかしオープニングラップは順位を入れ替えられるチャンスでもあり、ロッテラーは果敢に仕掛ける。だが、順位を上げるまでにはならなかった。
チャンピオンシップではモルタラが10番手、デ・フリースが13番手に沈んでおり、この先の展開が気になるところだ。
スタートから10分を経過した時点まで隊列が綺麗に揃う展開だったが、ついにロッテラーがデニスを交わし2位に浮上。エヴァンスもデニスをパスし、エヴァンスとロッテラーの2位争いが加熱する。争いは続きエヴァンスはロッテラーを捉えて2位浮上するものの、その間にヴェルニューが逃げる展開になる。
シリーズをリードしているモルタラは焦りからか、ダ・コスタに接触しその後ストップしリタイヤとなった。これでチャンピオンシップからは順位を下げることになった。
逃げるヴェルニューを追うエヴァンス。ロッテラーのペースは上がらず後続に蓋をする形で展開。再びデニスとのバトルになっていく。直後にジョビナッチがコース上で停止してしまい、SCが導入されヴェルニューとエヴァンスの距離はなくなった。
残り25分で再開されるが、この時点でアタックモードを使っているのは、ヴェアライン、ローランド、アスキュー、ティクティムの4台だけ。SCが解除され再開した時の順位は、ヴェルニュー、エヴァンス、ロッテラー、デニス、フラインス、バード、ヴェアライン、ヴァンドーン、ディ・グラッシ。
そしてついにエヴァンスがヴェルニューをパスし、ヴェアラインとバードも鍔迫り合いを繰り広げている。フラインスがデニスをパスし、その後バードもデニスをパスする。残り21分となったところで、ようやくフラインスとバードがアタックモードを使うものの上位陣は未使用のままだ。
トップ6台が接近戦のため、アタックモードに入るためのアクティーベトゾーンへラインを外すことが難しい状況が続いた。
残り19分でトップ集団も続々とアタックモードに入り、順位が激しく入れ替わる展開にレースが動いた。それでもフラインス、ロッテラー、エヴァンス、ヴァンドーンは未使用のままだ。上位陣がアタックモードを使う中、エヴァンスは順位を大きくは落とさず4番手をキープしていた。
残り12分でSCが導入された。アタックモードは8分間を使い切る必要があり、またSC導入1分につき45秒のレース時間がプラスされる。結局、オフィシャルからアナウンスがない限り残りのレース時間が見えない中、規定の時間はどんどん減っていくのだ。
残り7分でレースが再開されたが、プラスされる時間はまだわからない。アタックモード8分間を使い切るには限界のタイミングと判断し、エヴァンスがついにアタックモードに入った。この時点で全てのマシンはアタックモードを使い切っており、エヴァンスとしては順位を上げていくことだけに集中できる。
オフィシャルからは5分15秒レース時間がプラスされるアナウンスがあった。エヴァンスには余裕が生まれ、次々に先行車を抜いていく。アタックモードで13%出力向上しているエヴァンスのマシンに、好調のフラインスもあっさりパスされロッテラーも交わし、あっという間のトップ浮上となった。
各マシンは残りの電池容量との調整をしながらの走行となっている中、残量も十分、アタックモードもつかえるエヴァンスには余裕たっぷりの展開になった。残り3分で再びSCが入るもののレース再開は残り1周でグリーンフラッグとなり、エヴァンス、ヴェルニュー、フラインスの順でチェッカーを受け、エヴァンスは前日に続き2連勝を飾った。
これでチャンピオンシップはヴェルニューが60点でトップ、2位58点でフラインス、3位56点でヴァンドーン、4位51点でエヴァンス、5位49点のモルタラ、6位43点でロッテラーとなった。ちなみに、ブエミは6点で15位、ギュンターは2点で17位となっている。
またチームランキングでは11チーム中トップはメルセデスEQチームで94点、2位タグホイヤー・ポルシェ85点、3位DSテチータ80点、4位ロキット・ヴェンチューリ78点、5位ジャガーTCS73点、6位エンヴィジョン68点という結果で、接近戦のなかメルセデスEQがリードを続けいている展開だ。ちなみに日産は8点で8位。ZFがサポートするマヒンドラは4点で10位と低迷している。
次戦第6戦は4月30日モナコ。F-1開催コースとほぼ同じコースを使った市街地レースになる。