フォーミュラEシーズン7 第3戦 第4戦ロックダウン中のローマで開催

フォーミュラEシーズン7のスケジュールが変更され、第3戦、第4戦のローマは4月10日(土)、11日(日)のダブルヘッダーで開催された。

新しいスケジュールは
Rd5:4月24日 バレンシア スペイン
Rd6:4月25日 バレンシア スペイン
Rd7:5月8日 モナコ モナコ公国
Rd8:5月22日 マラケシュ モロッコ
Rd9:6月5日 サンティアゴ チリ
Rd10:6月6日 サンティアゴ チリ

上記が新日程となったが第11戦以降は今後決定となっている。コロナ禍の影響で、今後も予定は変更される可能性が残る。そうした中、イタリア ローマでの開催はロックダウン中で無観客はもちろん、街中に人が全くいないゴーストタウンのような環境の中で行なわれた。

ロックダウン中にも関わらず開催された第3戦は無人の街ローマ

第3戦予選

開催エリアはビジネス街ということもあり、余計にひっそりとした印象ではあるが、そうした中でも開催できるプロモーターの腕力にも感心。

さて、コースは新しいレイアウトになりシリーズ最長の3.3kmをレイアウト。レース距離は変更なく45分プラス1周で争われた。また路面状況は非常に荒れた状態で、ひび割れがあちこちにあり、段差もあり、そしてアンジュレーションもあるコンディションで、ストロークのあるサスペンションと、ある程度の車高の高さがなければ走行できないようなコンディションだ。

またアクティベートゾーンの設定がヘアピンの外側に設置され、相当な遠回りになるように設置されているため、混戦状況であれば大きく順位を落とすことが必至という設定。さらにコース幅がいつにも増して狭くしてあるため、マシン同士の接触やウォールへのヒットも余儀なくされるレイアウトになっていた。

予選後のスーパーポールでは日産のローランドが最後に出走し、セクター1、2で全体ベストを記録し、ポールを獲得するかに見えたが、フィニッシュライン直前でウォールにヒットし3位フィニッシュとなった。ポールはメルセデスEQのヴァンドーン、2位ポルシェのロッテラー、4位アウディのディ・グラッシ、5位DSテチータのヴェルニュー、6位BMWギュンターという順になった。

2連覇中のチャンピオンチームDSテチータは、投入の遅れていた新パワートレーンをこのレースから投入し、ヴェルニュー&ダ・コスタの上位進出は間違いないと予測された。また日産も新パワートレーンへと変更されている可能性も高く、期待される。

Rd3決勝

決勝は小雨まじりの中スタート。フォーミュラEではレインタイヤはなく、ドライ、ウエットともに同じタイヤで走行する。ミシュランが提供するワンメイクタイヤで、市販タイヤのパイロットスポーツ4Sをレース用にモディファイした専用タイヤが各チームに配られている。

サム・バードは今季ジャガーへ移籍し、ポイントリーダー。決勝は2位に入る

さらに路面コンディションの悪さ、アンジュレーションが大きいなどもあり、レースでは壁にヒットするマシンが続出したことも第3戦を象徴していた。

スタート直後、ポールのヴァンドーンのイン側に入ったロッテラーが接触し、2台共大きく順位を落とす荒れたスタート。その間トップを奪った日産ローランドは快調に走行するかと思えたが、なんとパワーオーバーの違反があり、ドライブスルーペナルティを受け、戦線離脱となってしまった。おそらく、ホイールスピンをしたときにオーバーシュートしたのではないかと想像できる。

つまり、スタート直後でトップ3が消えるという異常な展開となった。レースはディ・グラッシ、ヴェルニュー、フラインス、そしてデ・フリース、ヴェアライン、バード、セッテ・カマラが上位を占める。

11位スタートだったサム・バードは、マシンダメージを持つロッテラーを交わし、徐々に順位を上げて6位まで浮上している。

レース中盤になるとアタックモードを消費する義務があるため、アクティベートゾーンを走行することになるが、やはり大きく順位を落とす。10周を過ぎたあたりで2位走行中のヴェルニューがアクティベートゾーンへ入ると5位まで順位を落としてしまう。その後、どこまで回復できるかということと、ライバルもアクティベートゾーンを使う必要があり、順位は目まぐるしく変わっていくことになる。

そうした混乱の中でもアタックモードが終わってからでも順位を落とさない走行や、アタックモードでは必ず順位を上げるドライバーなど、レース展開の上手さが順位に現れることになる。

その結果、優勝はヴェルニューが飾り、やはりDSテチータとベテランのレース運びが勝利し、2位もサム・バード、ミッチ・エバンスとジャガー勢が占めた。4位がフラインス、5位ブエミ、6位ラストという順位となった。

2年連続チャンピオンのDSテチータのヴェルニューが勝利した

第4戦決勝

翌日は第4戦が行なわれたが、フリープラクティス、予選が雨で路面コンディションが目まぐるしく変わり、特にブレーキコントロールが難しい中で行なわれた。また第4戦の決勝ではアタックモードを通常2回使用が義務付けられているが、3回の義務付けに変更されており、より順位混戦が生じることになる。

日本でも馴染み深いニック・キャシディがスーパーポールポジションを獲得

予選結果は、新人のニック・キャシディ(エンビジョンヴァージン)がポールを取り、セカンドローもヴェンチューリのナトという新人二人がフロントローを独占した。キャシディは、すべてのセクターで全体ベストを記録しており、文句なくトップタイムと言える走りを見せた。

決勝は曇天ではあるもののドライコンディションでスタート。スタート方法は、前日と同様にセーフティカーリードによるローリングスタートで始まった。

キャシディは国内のスーパーGTでもローリングスタートを数多く経験しており、ホールショットを決め、レースをリードするかと思われたが、そのオープニングラップで単独スピンを喫し、順位を落としてしまった。代わってセカンドローのナトがトップでリードすることになる。ナトは今季、フェリペ・マッサに代わりロキット・ヴェンチューリに新加入したドライバーだ。

3番手はヴェアライン(ポルシェ)、以下ヴァンドーン(メルセデス)、ギュンター(BMW)、シムス(マヒンドラ)、モルタラ(ヴェンチューリ)、ローランド(日産)と続いた。ロッテラーは決勝前にパーツ交換をしたため10秒のピットストップペナルティを受け、戦線離脱になった。

3周目、ナトのペースは上がらず、トップはヴェアライン、ヴァンドーン、ナト、ギュンターに順位は代わり、キャッシディはスピンからすぐに復帰し、8位まで回復していたが、その後他のマシンに接触しクラッシュしてしまう。

ヴァンドーンはこの日安定して速く、リードを大きく広げた

3回使用が義務付けられたアタックモードは、最初にヴェアラインがアクティベートゾーンへ向かうとその隙にヴァンドーンがトップに立つ。ヴァンドーンは順調にリードを広げ、一時8秒までリードを広げる速さがあった。そのため、アクティベートゾーンを通過したとしても後続に抜かれることなく、ぶっちぎりの体制を築いていった。

残り15分の順は、ヴァンドーン、シムス、ヴェアライン、ナト、モルタラ、ギュンター、ダ・コスタ、ローランドで、その後ナトがヴェアラインを交わし3位に浮上する。が残り8分でアウディのラストがクラッシュしFCYではなく、SC導入がされた。

そのため大きなリードを持っていたヴァンドーンのリードは消えてしまう。マシン回収に時間がかかりそうなため、前日につづいてSCのまま終了かと思われたが、なんと45分を経過し、プラス1周の、その1周だけグリーンフラッグとなりレースが再開された。

しかしながらファンブーストも持っていたヴァンドーンはそのままトップをキープし、2位にシムス、3位ナトでゴールをした。ナトは最後エネルギーが0%だったが、レース後「Energy over used」ということでバッテリー切れを起こしてのチェッカーだったため失格となってしまった。

優勝は通算2勝目、今季初優勝のストフェル・ヴァンドーン メルセデスEQチーム

またランキングトップのサム・バードと3位のデ・フリースが最終ラップにカラミ、お互いリタイヤという結果になってしまった。

第4戦は審議やペナルティが多いレースだったが、正式結果は、ヴァンドーン(メルセデス)、シムス(マヒンドラ)、ヴェアライン(ポルシェ)、モルタラ(ヴェンチューリ)、ギュンター(BMW)、エバンス(ジャガー)という結果になった。

第4戦を終えた時点でドライバーランキングは、バード43点、エバンス39点、フラインス34点、ヴァンドーン33点、デ・フリース32点、ヴェアライン32点となっている。日産のブエミは11点で16位、ローランドは15点で12位。ニック・キャシディはポールポジションポイントの3点のみで21位、ロッテラーも0ポイントが続いている。また昨年のチャンピオンチームDSテチータの二人はヴェルニューが25点で8位、ダ・コスタが21点で10位につけている。

チームランキングはジャガーがトップを快走し、82点。2位メルセデスEQ65点、3位DSテチータ46点と続き、日産は26点で9位と低迷している。

次回はスペイン バレンシアで第5戦4月24日(土)、第6戦25日(日)にWヘッダーが再び行なわれる。

COTY
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