いよいよ今週末2019年7月13日(土)、14日(日)、アメリカ・ニューヨークで行なわれるフォーミュラEシーズン5の最終戦でチャンピオンが決定する。フォーミュラEは1Day開催のイベントなので、ニューヨークは2日間で第12戦、第13戦の2レースが行なわれ、チャンピオンが決定する。
最後まで混戦
混戦を極めたシーズン5 2018/2019だが、第11戦のスイス・ベルン大会でDSテチータのヴェルニューがシーズン3勝目をあげシリーズチャンピオンに王手をかけている。また、チームランキングもDSテチータがトップをキープしている状況だ。日産チームは終盤にきてセバスチャン・ブエミが好調で、地元スイスでも3位に入り2戦連続表彰台に上っている。日産はチームランキングも4位におり、ドライバーのチャンピオンシップでもブエミは7位まで上がってきている。
そのスイスラウンドはコース幅が狭く、市街地レースらしいといえばそうなのだが、抜くポイントが本当に少なく、その分、フォーミュラE独特のアタックモードがいい仕事をしたレースでもあった。
荒れる予選、入れ替れない決勝
予選はパナソニック・ジャガーレーシングのミッチー・エバンスが初のスーパーポール進出で、ヴェルニュー、ヴェアライン、ブエミ、ギュンター、サム・バードという順。日産のローランドは13番手と少し精彩を欠いている状況だ。
決勝はスタート直後のシケインが極端に狭いため、スピンしたクルマがコースを塞ぎ通れなくなる珍事が起きた。当然赤旗中断となり、その後セーフティカーからのローリングで再スタートをし、45分プラス1周のレースが始まった。
レースはヴェルニューとエバンスのトップ争いが終始続き、また、アタックモードを有効に使ってロッテラーとサム・バード、ディ・グラッシが順位をあげる展開をしていた。またレース残り2分と1周というところでスコールがあり、緊迫したレースになったが、ドライ、ウェットともに同じタイヤで走るフォーミュラEはそのまま滑るマシンをコントロールしながらレースは継続された。
インテリジェンスなレースがFE
コース幅が狭いためなのか、全周で順位争いが繰り広げられ、見る側は手に汗握る興奮のレースになった。こうしたレース展開からもフォーミュラEのエンターテイメント性は高く、またマシン開発が並行して行なわれているため、カーメーカーのワーク参戦が目立つことなど、見どころは満載だ。さらに、アタックモードやファンブーストといった特異な趣向も凝らしてあり、深く知れば知るほどインテリジェンスのあるレースであることがわかる。
マシンはフォーミュラ形状だが、カナードなどはボルトで固定してあるなど、空力パーツというよりデザインパーツで構成されていて、フルコンタクトに対応できるようにアッセンブリー交換にも対応するボディになっている。またバッテリーは共通で自由に開発できるのは、モーター、インバータ、減速機があり、それがリヤセクションに搭載しているため、リヤヘビーの重量バランスになっている点も興味深い。
パドルシフトはミッションではなく回生ブレーキパドルになっている。フットブレーキとこの回生ブレーキをうまく使いこなしながら、荷重移動と減速、回生を行なっている。ドライバーも単純に速く走るだけでなくエネルギーマネージメントをすることが要求されているため、闘争本能だけでは勝てないレースになっているというのも新しいモータースポーツだ。
ヴェルニューとDSテチータがリード
このスイスではポイントリーダーのヴェルニューが3勝目をあげ、エバンス、ブエミ、ロッテラーの順でチェッカーを受けている。しかしその後ロッテラーは審議対象となっており、14位へ降格、得点はゼロとなってしまった。一瞬チャンピオンシップで2位浮上し、期待が膨らんだものの、結局は4位へ後退してしまった。
これでチャンピオンシップはヴェルニューが130点でトップ。つづくディ・グラッシが98点、エバンス87点、ロッテラー86点、ダ・コスタ82点、フラインス81点、ブエミ76点、アプト75点という順番で、最終戦2連戦を連勝するとこのダニエル・アプトまでがシリーズチャンピオンの可能性は残していることになった。
チームランキングではDSテチータ216点でトップ。つぐアウディスポーツ アプトシェフラーが173点、エンビジョン ヴァージンレーシングが150点、そして日産が139点で4位、5位にマヒンドラ117点、BMW アンドレッティが106点の6位となっている。
シーズン5はマシンもジェネレーション2へと進化し、第8戦まで毎レース優勝者が変わるという見るものを飽きさせない混戦レースを展開してきたが、いよいよ大詰めだ。最終2連戦をお見逃しなく!