【筑波のりもの共和国2012】レポート 日本のグッドウッドを目指す第一回のりもの共和国開催

●開催内容

8月4日(土)コース1000でキャンプ:50名参加

8月5日(日)筑波サーキット全施設を舞台に2輪&4輪イベント、ステージショー等を開催:約3000名参集

 

●イベント概要

そもそも、ことの発端は実行委員長である清水猛彦(モーターマガジン社)が感じた、危機感と期待感であった。「若者のクルマ離れ」という言葉に代表される、クルマへのあこがれや情熱の低迷に、長年自動車メディアに携わってきた清水は心を痛めていた。

しかしながら2011年の東京モーターショーでは、下馬評とは裏腹に一部の会場では入場制限まで行われるほど多くの来場者を集め、クルマ離れには歯止めがかかっているのではないかと思わせる期待感もあった。

清水は2011年のモーターショーで見た人々のクルマに対する情熱がさめる前に、クルマの楽しさや魅力、素晴らしさを伝えようと思い、この「TSUKUBAのりもの共和国2012」を企画立案した。

クルマやバイクの楽しさは見るだけではなく、乗ることで何倍にも広がることを知っている清水は、とにかく触れあえることを念頭に企画を進めた。すると不思議と人が集まり、どんどん話はふくらんでいった。

清水は自分の所属するモーターマガジン社だけでなく、さまざまな媒体へ声をかけ協力を仰いだ。そして多くの媒体が企画意図に賛成し、参加を表明した。

乗れるということが前提ならば、サーキットにしようということで会場には筑波サーキットが選ばれた。

協力を呼びかけた国内自動車メーカーやインポーターも快諾し、車両提供だけでなくグッズ提供や人材提供も行ってくれた。

イベント本番は8月5日(日)であったが、前日には前夜祭的な催しも開催。筑波サーキットでは初となるキャンプもコース1000を使って行われた。

キャンプには50名が参加。5日のイベント本番には約3000名が参加。真夏の暑く、そして熱い1日を満喫した。

少しでも多くの人に集まってもらうため、このイベントの入場料は無料に設定。ただし駐車料金は1000円となっていた。また、キャンプ参加者は6000円(5人までバーベキュー付き)となっていた。

イベントタイトルにあえて西暦年を入れたのにはワケがある。それはこのイベントを今年だけで終わらせないぞという意気込みだ。清水をはじめ実行委員は、早くも来年に向かい動き始めている。清水は語る、「このイベントを日本のグッドウッドに育て上げる」と。

参照:http://www.norimonokyowakoku.jp/gaiyou/aisatsu/

 

●イベント詳細

話題のクルマ同乗試乗会

「TSUKUBAのりもの共和国2012」のメインイベントが行われたのが、コース2000だ。その名のとおり約2kmのコース長を持つテクニカルコースで、かつては4輪の全日本選手権も開催されていた名コース。このコース2000を使って行われたのが、話題のクルマの同乗試乗。その総数、じつに64台。このクルマを一斉に動かすのは、コースのキャパとしても、スタッフの数としても不可能ということで、さまざまなカテゴリーに分けての走行となった。

午前中、まず最初のカテゴリーは「今話題のクルマたち」。発表になったばかりの三菱ミラージュやBMW640iグランクーペなど9台が出走。午前2回目は「かっこよく楽しむSUV」と銘打ち、ニューミニクーパーSクロスオーバーやキャディラックSRXなど8台が出走した。

これらのクルマをドライブしたのはプロのレーシングドライバーと、自動車ジャーナリストの面々。ドライビングテクニックだけでなく、車内のトークもかなりおもしろいと好評であった。

午後にはポルシェ911やマクラーレンMP4/12などの「スーパーカー降臨」に11台、「新生代クリーンディーゼルは速い」にマツダCX5やベンツE350ブルーテックなどが6台。「スポーツカーじゃなくっちゃ」ではトヨタ86やホンダCR-Zなど10台。「やっぱりNAのエコは最高」にダイハツミライースやスズキソリオバンディットなど9台。「直噴ターボが最先端」にはVWゴルフTSIやフィアット500ツインエアなど11台が出走した。

同乗試乗の権利は、受付テントに申し込めば500円(保険料込み)で得られたが、スーパーカーについてのみ、抽選が行われた。

 

ヒストリックカーパレード、F1デモンストレーション走行

コース2000では、「話題のクルマ同乗試乗会」以外にも華やかなイベントも開催された。そのひとつが、地元のヒストリックカーグループ「バックヤードつくば」を中心に集まったヒストリックカー約40台がコース上を占拠したオープニングパレード。

トヨタ200GTやスカイラインGT-Rなど往年の国産名スポーツカーから、フェラーリディノ246GTS、アルファロメオジュリアGTなどのヨーロッパ車、見ているだけでワクワクするような名車がコース2000上を所狭しと走った。

さらにもうひとつ、訪れたお客さんが楽しみにしていたのが、ロータスF1のデモンストレーション走行。今回走ったロータスは78と88B。

このロータスF1はクラシックロータス・チームジャパンが所有するモデル。筑波サーキットでF1がドライブされるのはかなり珍しいこと。静かなクルマばかりのイベントのなかで響いたDFVサウンドは、観客の心を捕らえて離さなかった。

みんから走行会

コース2000では走行会も開催された。これはカービューが行っているSNSのみんカラのメンバーを対象にしたもので、「YOU、サーキット走っちゃいなよ」とネーミングされたプログラム。

走行会参加車両は、すべて自分の所有車。EV&HVやスポーツカー、ミニバンなどカテゴリーに分けられて、コース上をペースカー先導によって走行した。

走行スピードは80km/h程度とサーキットランとしては速いほうではなかったが、初めてサーキットを走るというオーナーもいて、かなり満足できた様子だった。

この走行会に参加料は駐車料金(1000円)込みで3000円とリーズナブルな設定となっていた。

 

EV/HV(含PHV)/体験試乗&ぶつからないクルマ体験試乗

筑波サーキットのなかには普段は一般には開放されていないコースがある。それがオーバルコース。じつは筑波サーキット内には、オートレースのレーサー養成施設があり、オーバルコースはその訓練のために使われている。

そんなオーバルコースを利用して行われたのが、ハイブリッド車とEV(電気自動車)の試乗。この試乗はプロのドライバーやジャーナリストによる運転のクルマに同乗という形式で行われ料金は無料、受付は先着順となった。

日産のリーフやトヨタのプリウスなどおなじみのクルマに混じって、ポルシェのカイエンSハイブリッドなどのハイパワーなハイブリッド車も用意。参加者はエコだけじゃないハイブリッドやEVの魅力を満喫していた。

さらにキットカーのEVとして話題沸騰中のモディーPIUSを自分で運転する試乗体験も行われた。また、オーバルコースの中央部分を使い、スバルレガシィを用いて、ぶつからないクルマの体験試乗を実施(ボルボ・シティセーフティ体験試乗はジムカーナーコース)。こちらも自動車ジャーナリストの運転で行われ、試乗後には詳しい解説もあった。

 

最新オートバイ試乗、ライディング教室

筑波サーキットのコース1000は、本コースの東側に位置する全長約1kmのショートコース。このコース1000を使って行われたのが二輪関係のインベント。

訪れたライダーたちに大きな反響となっていたのが、最新バイクの試乗コーナー。クルマと違ってディーラー試乗などが難しいバイクだけに、これはなかなかない機会。

今回、協賛のあったホンダ、スズキ、ハーレーダビッドソン、BMWモトラード、トライアンフの各社から最新のバイクが提供された。

試乗料金は1回500円で、そのほかに保険料として1名につき500円が必要であった。つまり1台だけ乗るなら1000円、2台乗るなら試乗料金500円×2回に保険料で1500円という計算。

また、試乗会だけでなく、ライディング講座も開催。雑誌などで活躍する二輪ジャーナリストがインストラクターとなって、ていねいにライディングを指導。インストラクター先導によるコース1000内の走行も行われた。

さらに日本屈指のエクストリームチームである「NO LIMIT JAPAN」が来場。コース1000とコース2000の両方で、バイク&軽トラックのアクロバティックランを見せてくれた。

コース2000とコース1000は隣接しているものの、人が歩いてのアクセスは距離が長くなってしまうため、無料のシャトルバスが用意された。

ステージ、花火

筑波サーキットの第2ヘアピン内側には芝生の広場があり、そこへステージカーを持ち込んでのステージイベントも開催された。

地元、下妻のご当地アイドルである「しもんchu」や映画の下妻物語にちなんだゴスロリアイドルの「小林梓」のミニライブを始め、豪華賞品のあたるジャンケン大会やクイズ大会なども開催。

二輪ジャーナリストの松井勉による超初心者向けのワンポイントレッスンや、女性評論家4名によるトークショーも行われた。

ステージイベントのトリは、ホンダの名物開発者「繁浩太郎」が率いるグループサウンズのコピーバンドのライブで締めくくられた。

すべてのイベントが終わりサーキットは静まりかえっていた。そのころオーバルコースでは、地元の「皆葉お囃子会」の演奏する太鼓と横笛の音色がゆったりと流れていた。

やがて始まったのは「手筒花火」。最初は片手で持てる程度の小さな花火から始まり、徐々に筒が大きくなる。最後は1mはあろうかという大型の筒を男衆が抱え、火の粉を浴びながら勇壮に火花を吹き上げる。暑く、そして熱かった筑波の一日をしのびつつ、真夏の夜の夢へといざなう一瞬。来年への橋渡しとなる火柱が漆黒の空を赤く染めた。

 

キャンプ、特殊車両展示、安全体験コーナー等

「TSUKUBAのりもの共和国2012」では、コース2000、コース1000、オーバルといったコース上やステージ上以外でもさまざまなイベントが開催された。

本番イベント前の前夜祭として行われたキャンプには50名もの参加者を集めた。キャンプにはバイクジャーナリストで、今回二輪のインストラクターも務めてくれた山田純も参加、話に花が咲いた。

本番イベント中は、パドックには協力してくれた自動車メーカーなどが特設ブースを開設。クルマに対するちょっとした質問などにも答えてくれた。なかでもキットカーのEV、PIUSを出展したモディーは、実際にPIUSの組み立てを実施。子ども達にレンチを持たせて作業を行うなどしていた。

また、入場門のある広場では消防はしご車を展示。シートベルトメーカーのタカタは、クルマが横転したときの状況を再現できる「ロールオーバーシミュレーター」を展示。JAFは低速での衝突を再現する「シートベルトコンビンサー」などを出展した。

ダカールラリーに出場した日野のトラック「レンジャー」は当初展示だけの予定だったが、サプライズで走行を披露。

ありとあらゆる場所で、さまざまなイベントが開催されていた。

 

 

 

 

 

COTY
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