2012年3月25日、運営法人のインタープロト・モータースポーツが、2013年から富士スピードウェイで、新たなプロトタイプ・レーシングカーによるシリーズ戦「インタープロト・シリーズ」を開催することを発表した。なお運営法人となるインタープロト・モータースポーツはこの4月に株式会として設立される予定としている。 発表会では、富士スピードウェイの加藤社長が、2013年からシリーズ戦をインタープロト・モータースポーツと協力して開催することを表明。続いて、3年間にわたるこのレースの構想立案を行い運営アドバイザー役も果たすなどプロデュース全般を担当したレーシングドライバー、レースチーム監督の関谷正徳氏が、新シリーズのコンセプトなど概要を説明した。
シリーズ戦は「インタープロト」シリーズと名付けられ、新たに専用開発されたプロトタイプ・レーシングカーによるワンメイクレースで、モータースポーツの「スポーツ性」を軸にして、ドライバー、観戦ファン、レースガレージなどが楽しめるレースとすることをコンセプトとしている。
このため、レースカーは専用設計された同一マシンによるワンメイクレースとされ、エンジンなども封印することで、マシン、エンジンの競争ではなく純粋にドライバーの運転能力によって競い合うレースを目指している。またレースは、マシンを購入したアマチュアドライバーとプロドライバーがペアで同じマシンを使用し、アマチュアによるジェントルマンレースとプロドライバーレースの2戦を同日開催する。世界初のプロ・アマレースとするいう点も大きな特徴になっている。また、この日、富士スピードウェイで、このレースのために開発されたマシンのデモ走行も行われた。
このレースに使用されるレーシングカーのデザイン・モックアップモデルは、東京オートサロンにも出展されており、クローズドボディのプロトタイプスポーツカーで、車両規則的にはフォーミュラー・リブレに相当する。なお車名は現状では「クルマ」というのみで、購入者が自由に車名を付けられるようにしているという。
ボディ骨格はスペースフレームとカーボンを組み合わせている。ボディサイズは、全長4410mm、全幅1950mm、全高1150mm、ホイールベース2800mm、トレッド(前後)1660mmで、車両重量は1100kg程度。ミッドシップとなるエンジンは自然吸気のV型6気筒4.0Lで、ベースはほぼノーマルエンジンだが、吸排気系はレース用に変更している。このため出力は345ps/6400rpm、最大トルク45kgm/4000rpmというスペックだ。エンジンメーカーは公表されていないが、トヨタ1GR-FE型と推測され、ドライサンプ化されている。エンジンの組み立て、性能確認はトムスが担当するということだ。
↑Inter Proto Motor sportブログに掲載されたインテーク・サージタンク(左)と別体タンク式ダンパー(右)
トランスミッションはイギリスのリカルド製シーケンシャル6速で、ギヤシフトはコスワース製電動パドル式だ。クラッチはオグラ製トリプルプレート。燃料タンクは100Lの安全燃料タンクで、耐久レースマシンと同様に車載エアジャッキを装備する。燃料タンク容量や車載エアジャッキなども備えることから、耐久レースににも十分使用できるはずだ。
サスペンションのダンパーは戸田レーシング製の別体タンク式、スプリングは東京発条製で、サスペンションはプルロッド式と本格的。ブレーキはエンドレス製のキャリパー&ディスクで、AP製のブレーキバランサーを装備。ホイールはBBS製のセンターロック式(11×18インチ)、タイヤはヨコハマ製とされる。またメーターはPi製ディスプレー&データロガーを装備している。
このようにマシンは、本格的なレース専用車として開発されていることがわかるが、このマシンはキット状態で出荷され、メンテナンスを担当するガレージで組み立てるシステムになっている。価格は2000万円を少し超える価格になる予定だという。またこのマシンの発注は6月末が締め切りとされている。
レース内容、車両の問合わせ先:インタープロト・モータースポーツ事務局
電話 0550-84-0512
メール ipms_monsieur@yahoo.co.jp