社団法人・日本流行色協会(JAFCA)が主宰する自動車のカラーデザインコンテスト「オートカラーアウォード2012」の最終選考会が2011 年12月14日に東京・渋谷区の文化学園大学で行われ、総合的に最も優れたカラーデザインに贈られる「グランプリ」には、日産自動車の「スカイラインクロスオーバー(外装色:セラミックブルー/内装色:ブラウン)」が選出された。
このコンテストは自動車のカラーデザインに焦点を当てたユニークな顕彰制度として1998年に誕生。当該年に日本国内で販売されたクルマであれば輸入車にも門戸が開かれており、実際にフォルクスワーゲンのルポとニュービートルがグランプリを過去に受賞している。また14回目を迎えているが近年は日産車が優勢で、今回は2年ぶり通算6度目のグランプリ獲得を果たしている。
スカイラインクロスオーバーのカラーデザインは、「セレブリティ&ラグジュアリー」をイメージに、華やかなコーディネートに仕上げたとのこと。外板色は青磁をモチーフとした、光り輝く気品あるライトブルー。内装色は艶やかなレディッシュブラウンで、平安貴族の女性たちが愛したと言われる着物の「襲ね(かさね)の色目」の葡萄(えび)色を表現したものだそう。
有元正存(千葉 匠)委員長をはじめとする審査委員からは「他のハイブリッド車に多かった冷たい印象のブルーとは違って、ほっとする、ぬくもりのある色合いが新しいカラー表現と感じられた。クロスオーバーは男性的で力強いカラー設定が多かったが、まったく違う印象を与えることにも成功している」という評価が寄せられた。
また同車は、審査会場の文化学園大学の学生代表によって選ばれる「文化学園大学セレクション」も併せてのダブル受賞。学生たちは「ぱっとみて、キレイな色!と単純に思える色。男性が乗るとセクシーに、また女性が乗るとかっこいいというイメージで、男女ともに合うカラーだと思った」とコメントしている。
時代の価値観やライフスタイルを先鋭に表現した優れたカラーデザインに贈られる「ファッションカラー賞」には、トヨタの「ヴィッツ(外装色:チェリーパールクリスタルシャイン/内装色:トリュフ)」が選ばれた。審査委員長からは「震災後の価値観について議論が交わされる中で、なにかふっきれた、元気さ、思いっきりのよさのある色が良いのではないかという話になった」という内幕が披露された。
さて、審査委員会が決めるグランプリやファッションカラー賞とは異なり、各自動車メーカーの代表(デザインの専門家)が投票しての得点制で決定しているのが、3部門の「オートカラーデザイナーズセレクション」だ。つまりプロ同士での評価が直結している賞だけに、こちらのバリューも高い。
投票の結果、エクステリア部門賞にはトヨタの「レクサス CT200h(外装色:ファイアーアゲートマイカメタリック/内装色:アイボリー/写真下左)」が、インテリア部門賞にはスバルの「レガシィ アウトバック2.5i Eye Sight EX Edition(外装色:ブリリアントブラウンパール/内装色:アイボリー/写真上の2カット)」が、企画部門賞(これのみ毎回サブネームが付き、今回は艶女香奈〈アデジョかな?〉賞)にトヨタの「ヴィッツ(ファッションカラー賞とダブル受賞)」が選出された。
また今回より、家電などのプロダクツメーカーのデザイナーにより選ばれる「プロダクツCMFデザイナーズセレクション」が新設され、これにはトヨタの「レクサス CT200h(外装色:フレアイエローマイカメタリック/内装色:ブラック/写真上右)」が選ばれた。レクサス CT200hの場合は、異なるカラーの組み合わせでのダブル受賞となった。