2011年9月3日、茨城県の筑波サーキットで恒例の自動車メディア対抗ロードスター4時間耐久レースが開催された。そこに参戦してきた我らが「ザ・モーターウィークリー」チームの模様をご報告したい。
22回目を迎える伝統の媒体対抗レース
このレースはマツダ・ロードスター(当時は初代のNA型ユーノスロードスター)がデビューを飾った1989年に、自動車メディアが率先してレースを楽しみ、ロードスターの楽しさをユーザーに伝えようというコンセプトのもとで開催された。その後もマツダや関係者のサポートを受けながら、以後22年間も続けられている。
2005年からは現行モデルのNC型が使用され、4時間の走行で燃料の総量は90Lに制限されている。また前年のレースの上位入賞チームには強制ピットストップのハンディキャップが課せられなどの特別ルールもある。
「ザ・モーターウィークリー」は、以前からこのメディア対抗ロードスター4時間耐久レースに参戦してきたが、今年は津々見友彦、桂伸一、石井昌道という番組レギュラー・コメンテーター陣とニスモの五十嵐光男氏、学生ジムカーナチャンピオンの西山猛氏という5名のメンバーが、チーム名「モタモタ」を冠して臨むことになった。
昨年の3位入賞で120秒のハンディを課される
車両は2010年に使用したクルマと同じだが、他のレースでもこのクルマは使用されているとあって、いささかコンディションが気になるところ。ちなみにザ・モーターウィークリーチームは前年のレースでは優勝争いを演じていた最終ラップでガス欠したものの、最後は惰性でゴールして3位入賞。したがって今年は120秒のピットストップ、つまり2周遅れのハンディを課せられているのが厳しいところだ。
作戦的には、筑波サーキット・スペシャリストでもある桂選手が予選を担当し、決勝では津々見、桂、石井、西山、五十嵐という順番でステアリングを握ることにした。なお決勝レースは、スタート前に満タンにした燃料タンクの50Lと補給用の燃料20L×2回の合計90Lで4時間を走り切る必要がある。総周回数を180周(約360km)として、燃費は4.0km/Lを上回る必要があり、ドライ路面では180周以上の周回数は必至となるから、ゴール時の燃料残量の確保を考えると燃費は4.2?4.3km/Lが要求される。
このため、レース用に追加した燃費計で燃費を確認しながら、ある程度のエコランを行う必要がある。その方法とは、エンジン回転数を6000rpm以下にキープするというのが有効だ。このエンジンの最高出力は6700rpmだが、それを10%ほど下回る回転を使用するわけだ。ただし、2本のストレートの後半をニュートラルで空走するといった技を使えば、燃費はより向上させることができる。その一方で、エコラン的な要素が入るとはいえ、コーナリング速度はできるだけ高く保つ必要があることは言うまでもない。
目まぐるしく変わる天候にも翻弄される
この日の午前中は基本的に晴天で気温、湿度ともに高かったが、正午を過ぎると台風の影響で、時々スコールのように強い雨が短時間コースを濡らすというコンディションになった。予選で桂選手は他車との間隔を得るためにクルージングをすると言う定石で待機し、3周目にベストラップの1分11秒049を記録したが、予選順位は14番手にとどまった。
クルマがオーバーステア傾向であったことがタイムアップできなかった原因なのだが、予選上位の多くは幌を被せた状態で走っており、こちらの方がオーバーステアを消す効果があったようだ。また後に判明したように、エンジンの伸びも今ひとつということも影響したのだろう。いずれにせよ、例年より遅いタイムであった。
決勝は、スタートドライバーになった津々見選手はクールスーツ、ドリンクボトル装備でレースに臨んだ。気温、湿度ともに日中の一番高い時間帯だったためだが、スタート後は集団の中での走行が続き、津々見選手は50分間の走行でドリンク、クーリング用の冷却ガスを使い果たしたほどだった。津々見選手の奮闘の結果上位に浮上したが、ハンディキャップを消化するために2分間のピットストップを行った後に桂選手にステアリングを渡したので、順位は大きく沈んだ。
桂選手は6000rpmシフトで1分13秒から14秒台だ。この間にスコールが襲ったり、コースアウトした車両を引き出すためセーフティカーが入るなどでレースのペースは遅くなる。3番手の石井選手の時にもスコールが降り、この時もコースアウトするクルマが出てセーフティカーが導入された。
3度のセーフティカー導入が明暗を分けた
レースとしては、3度目のセーフティカーが入った時にドライバー交換と給油を行い、ピットからコースに支障なく復帰できたチームが大きなアドバンテージを得た。なかでもCar Viewチームが大きなアドバンテージを得てトップに立ち、初優勝を遂げた。なお3度もセーフティカーが入ったほか、途中の降雨によりラップタイムが大幅に落ちる時間が長かったために、最終スティントでは例年のような燃費の心配がなくなった。最後の1時間はエコランではなく全車が全開の走行となり、ガス欠するクルマは皆無であった。
ザ・モーターウィークリーチームの決勝レースは、トップから3周遅れの170周を走破し、12位でゴールを迎えた。
文:編集部 松本晴比古
撮影:伊濱順一ほか