国交省 バックミラーの代わりにカメラでOK 国際基準に合わせ保安基準を改正

雑誌に載らない話vol149
kokkousyou2016年6月17日、国土交通省は道路運送車両法の保安基準の改正を行なった。これは日本が1998年に国際連合の「車両等の型式認定相互承認協定」に加 入し、相互承認協定に基づく規則について段階的に採用を進めることの一環で、自動車の安全基準について国際的な整合を図ることを目的としている。

今回は、国際協定規則のうち、新たに水素燃料自動車の安全基準に係る規則、衝突安全試験でのフルラップ前面衝突時の乗員保護に係る規則、間接視界基準に係る規則を採用することになった。

■フルラップ前面衝突時の乗員保護に係る規則

高齢の乗員などの保護性能を高めることを目的に、フルラップ前面衝突時の乗員保護基準をより厳しくするため、試験時に助手席には女性ダミーを搭載、新たに頸部の傷害基準を追加、胸部傷害値を加速度(g)から胸たわみ量(mm)に変更、運転者の男性ダミーの胸部傷害値は、高齢者に対応した基準値に変更。

■オフセット前面衝突時の乗員保護

高齢乗員の被害軽減を目的とし、オフセット前面衝突時の乗員保護のため胸部圧縮の基準値を50mm以下から42mm以下に強化。

歩行者脚部保護

■歩行者脚部保護

バンパーコーナーから42mm 内側のエリア、バンパービームの両端から42mm 内側のエリアという2種の寸法で、広い方を脚部保護試験範囲とする。(平成30年1月から適用)

・突入防止装置に関する改正:車両総重量3.5トンを超えるトラック、トレーラーの後部への突入を防ぐ、後部突入防止装置(RUP)、突入を防止する構造(RUPD)の取付高さ、車体後端からの位置等を変更。さらに突入防止装置の強度試験を強化。(新型車への適用は平成31年9月から)

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■バックミラーに関する改正

間接視界基準に係る国際規則の採用に伴い、以下の改正となる。
・間接視界に係る協定規則では、ミラーごとの視界範囲が規定されているが、新保安基準では、いずれかのミラーにより定められた視界範囲が確認できれば良いこととする。一方で、日本が独自に定めている車両の直前直左の視界基準は、引き続き継続する。
・歩行者や他の交通との衝突時の衝撃を緩和するためバックミラーの衝撃緩和試験(動的試験)を行なう。
・カメラ・モニタリングシステム(CMS):現在、設置が義務付けられているバックミラーと同等の視界が確保されるCMSが許される。つまり従来のバックミラーに替えて、画質、取付位置、表示時間(タイミング)、倍率(後写鏡の曲率に相当)、個数要件に適合するカメラモニタリングシステム(CMS)を備えることができる。

■速度計などに関する改正

走行距離計は、二輪自動車は5桁以上、自動車は6桁以上の走行距離を表示することに改正。(平成29年9月1日)

■自動操舵機能に関する改正

自動操舵機能の近年の急速な技術開発の進展を踏まえ、国連において「ステアリングに係る協定規則」の改正の議論が行なわれているが、10km/h超での自動操舵機能の使用に関する規定の適用について、次のように改正。

国連での最終結論が出るまでの間、ドライバーがオーバーライドできることを前提に、10km/h制限に関する基準の適用を当分の間猶予する。つまり速度に拘らず自動操舵が認められる。(適用期間は平成28年7月1日~平成30年7月1日)

■その他の改正

ドライバー異常時対応システム(ドライバーモニタリングシステムなどの装備)を搭載した自動車について、ドライバーが異常時における他の交通に対する効果的な車外報知を可能とするため、異常の電光表示器を設置や、緊急停止時に限ってブレーキランプを点滅させることができる。

ミラーレス

 

さて、我々にとって一番大きなトピックは、バックミラーの代わりにカメラが認められことになったことだろう。現在のところ、SUV、クロスオーバーなどではクルマの左直前の視界を確保するために、第3の追加ミラーが使用されているが、まずこれらはカメラに変更されるはずだ。また次世代のクルマはドアミラーの代わりにカメラに採用されることも予想される。現在のカメラはきわめてサイズが小さいため、デザイン的な自由度が増すことや、空気抵抗の低減に効果がある。

国土交通省 公式サイト

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