このほど、ドイツの大手マーケットリサーチ&コンサルティング会社「GfK」が2020年11月に取りまとめた「クルマの購入に関するモニター調査の結果」を発表しました。調査方法はWEBを使用し、調査対象は今後1年以内の自動車購入意向者。調査地域は日本とタイでは各1000サンプル、中国とインドでは各3000サンプルです。ここでは日本での調査結果を見てみました。
調査対象者のプロフィールは、男性が約70%、年齢別では20歳~45歳が約70%で、クルマの購入意向者としては比較的若い層が対象になっています。調査対象者の居住地域では、関東が33%、関西が22%、東海が11%がトップ3で、大都市部重視の調査結果となっています。そして調査対象者の世帯年収は900万円以上が44%、500万円~900万円が34%で、つまり年収500万円以上が77%となっています。
調査対象は都市部の在住者が多く、一般的なアンケート調査より高収入層であることを考えると、1年以内のクルマ購入意向者にとって、軽自動車は購入対象にならないことが想定できます。
調査の内容
実際の調査データを見ると、平均して新車にかける予算は約330万円、新車購入検討者の半数が同じブランドの車を購入する傾向。
半数近くがハイブリッド車の購入を検討、電気自動車(EV)の購入検討はわずか4%。そして32%が最新のデジタル機能を搭載したクルマの購入を検討する、と回答し「安全技術」、「インフォテインメントシステム」、「ADAS」が搭載されたクルマを購入したいと考えているという結果が出ています。
そして約6割が今後登場する「完全自動運転」、「ほぼ完全自動運転」のクルマの購入に興味があると回答しています。
日本でのこの調査では、ADAS、自動車運転に対し、「安全」「楽しい」ことを望んでおり、ハイブリッドや全自動運転車など新しいタイプのクルマにもとても興味を持っているとしています。
次世代車について
この調査結果では、半数が新車購入時に次世代車を選択する中で、大半はハイブリッドエンジン(PHEV含む)に集中し、電気自動車(EV)は、わずか4%に留まるというのは実際の販売動向と合致しています。
EVの障害になっている理由は、「値段が高価」、「充電インフラの欠如」、「充電に必要な時間」など、周知の理由が挙げられています。
運転中のドライバーが改善したい要素として「渋滞」が45%、「わき見運転車からの事故防止」が45%と比率が高く、音声アシストでナビ操作等を行なうインフォテインメントシステムや、事故を回避する安全技術など、最新テクノロジーの搭載は運転中のドライバーのストレスを軽減するのに効果的という結果も明らかになっています。
そのため、新車購入を検討している調査対象者の32%が最新のデジタル機能を搭載したクルマを「確実に検討する」と回答。運転ストレスを改善するために「安全技術」、「インフォテインメントシステム」、「ADAS(高度運転支援システム)」が搭載されたクルマを購入したいと考えていることになります。
また、日本ではADASや今後の自動運転に対する信頼感が高く、45%が自動運転の安全性・信頼性を評価しており、全体の約60%が「完全自動運転」、同じく約60%が「ほぼ完全自動運転」のクルマに興味があると回答しています。
最後に日本における新型コロナの影響は、家計への影響を懸念している調査対象者は90%に上り、うち60%は「非常に懸念している」と答えています。
そして1~2年のうちにクルマの購入を検討している対象者のうち、28%が「時期を遅らせる」、23%が「購入予算を減らす」と回答しており、購入時期を遅らせると回答した者のうち、65%が3か月以上購入時期を遅らせると回答。
一方、46%が購入計画に変更なしと回答しています。購入検討者の34%が付加される無料の新車メンテナンスプログラム、31%が一定期間ゼロ金利のローンなど、購入サポート制度が購入を後押しすると答えています。
新規購入希望者の3割がメーカーのWEBサイトからオンラインで直接車を購入することに「興味がある」、「とても興味がある」と回答。また、デジタルショールームやオンライン上での書類作成、自宅への購入車の納品など、ディーラーを訪問することなくに購入ができる方法を希望しているという結果になっています。
他の調査会社のデータでも、日本と中国市場は突出してADASや今後の自動運転に対する関心が強い傾向で、逆にヨーロッパやアメリカではADASや自動運転に対して対価を払うことに抵抗感があるようです。一方、EVに関しては中国、ヨーロッパで急速に受容性が高まっていますが、日本においてはまだ道のりは遠いといわざるをえない結果になっています。