自動車メーカーの生産・販売実績をウォッチ 3月期から徐々に影響拡大へ【新型コロナウイルス】

トヨタを筆頭に、国内の各自動車メーカーの2020年3月期の生産・販売実績速報が発表されました。3月は中国がほぼ全面的に自動車産業の経済活動を停止したのに対し、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本の自動車メーカーやサプライヤーは、3月下旬から4月中旬にかけて工場の操業停止の対応を取っていたため、3月期の生産状況はまだ極端なダウンには至っていない結果でした。

トヨタの生産・販売

トヨタの中国での生産は約12%ダウンに留まっています。アメリカでは17%ダウンで、こちらは生産調整の他に工場停止の影響が加わっています。ヨーロッパでは工場停止の影響が最も大きく、−38%という結果となっています。そして国内では生産調整の影響で−13%でした。

販売では、グローバルで28.3%の減少で、中国−16%、アメリカ-9%減、ヨーロッパでは-2.3%で、生産の減少に比べ、まだそれほど大きな影響が出ていません。販売に関しては販売店の営業活動がほぼ停止した4月以降のデータが心配されます。また、中国は、徹底した都市封鎖や移動禁止が行なわれた割には、需要の回復が早い結果となっていますが、東南アジア圏は軒並み40%以上のダウンとなっています。

日産の販売と生産

日産が発表した3月期のグローバル販売台数は-42.6%となりました。国内販売は-19.0%ですが、海外販売は-46.2%と大幅に落ち込んでいます。アメリカでは-48.2%、ヨーロッパでは-50.8%、中国では-44.9%と強いブレーキがかかっており、唯一14.9%とプラスを維持しているのは日本市場の軽自動車のみとなっています。

グローバル生産は-41.4%で、6か月連続で前年同月実績を下回っています。国内生産は-28.9%ですが、海外生産は-44.0%と大幅な減少となっています。特にアメリカでは-47.4%、イギリスで-45.8%、スペインで-74.4%、中国は武漢工場の長期停止の影響で-59.4%と大幅に生産が低下しています。

このような危機的な状況のため、2020年度(2019年4月〜2020年3月)の決算はついに赤字転落となる模様です。その赤字も業績低下以外に、2020年夏以降の大幅なリストラのための引当金も必要で、想定以上の額になるのでは?と予想されています。

ホンダの生産

ホンダも中国・武漢に生産工場があるため、生産に関してはかなりの影響を受け、中国では-70%となり、グローバル生産台数は-42.6%となっています。アメリカでは-36%、国内は-10%で、中国・武漢工場での長期の生産停止がダイレクトに響いています。

しかし武漢工場の操業も再開されると同時に、販売に関しても中国での需要回復のスピードは速いと予想されており、中国での4月以降の販売が注目されます。

その他のメーカー

スズキ、マツダ、スバル、三菱の4社の3月期の生産台数は最大でも-20%、スバルは-0.3%、三菱は-4.1%という範囲にありますが、4月以降は各社ともに工場の停止が行なわれているため、生産台数は大幅に落ち込む予想となっています。

そして世界の全自動車メーカーでは、グローバル生産台数が500万台以上の落ち込みになると予想されています。アメリカにおいてもGM、フォード、FCAはそろって労働組合の合意が得られず生産再開の見通しが立たないため、その他の自動車メーカーのアメリカ工場の操業も不透明で、自動車産業全体の危機は4月以降より深刻化すると予想せざるを得なくなっています。

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COTY
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