2012年9月3日〜7日、静岡県の小笠山総合運動公園(エコパ)で第10回 全日本学生フォーミュラ大会(主催:自動車技術会)が開催された。第10回にあたる今大会は書類審査をパスした76チームが参加。海外からはタイ、インド、インドネシア、エジプト、中国の大学から参加している。
大会期間の参加者数は3136名、各チーム人員、運営スタッフ、ゲストなどを加えたイベント参加延べ人数は1万名を超えた。
学生フォーミュラ大会はアメリカのフォーミュラSAE(自動車技術会)の規則に準拠し、世界各国の大学生が共通のルールで開催されるデザイン(設計)コンペティションであり、車両の企画、プレゼンテーション、量産を前提としたコスト管理、造形、設計、製造、ダイナミック性能、燃費などの総合力が競われる。
大きくいえばプロフェッショナルなモノづくりの習熟度が競われる競技のだ。もちろんそのためには、自動車メーカーやパーツサプライヤーなどからのサポートや援助が不可欠であることはいうまでもない。その一方で、学生フォーミュラのプロジェクトを経験した学生達の一部は、自動車メーカーやパーツサプライヤーなど企業側の人材確保の対象になっていることも事実である。
5日間に渡る大会の流れは、車検(技術審査、傾斜試験、騒音計測、ブレーキ性能試験)→静的審査(コスト評価、設計評価、プレゼンテーション能力審査)→動的審査(加速性能、コーナリング性能→複合コース走行性能→耐久・燃費性能)という多くの関門を各チームは潜り抜けることになる。
各審査を経るごとに獲得ポイントによる順位が付けられるので、後半の実走行審査において、出走の順番にも影響し最終的なコースでの走行審査や耐久走行審査を時間切れで受けられないケースも出現する。
今回の大会では、従来から実績のある上位を狙うチーム、上智大学、横浜国大などがメカニカルトラブルでリタイヤするという波乱があり、総合優勝はコンベンショナルな設計の京都工芸繊維大学が初優勝という結果になった。
技術トレンドとしては、トップレベルのチームは従来からの鋼管チューブラーフレームからカーボン・モノコック構造へと変更するケースが前年より増加している。
海外から参加したチームの中にも、中国の威海工科大学がフルカーボン・モノコックを採用していた。
なお、今回は2013年に正式スタートするEVフォーミュラのプレ大会とされ、7台がエントリーしたが、実際に審査を受けることができたのは4台のみで、最後の耐久走行を完走できたのは、鉛電池を使用する大同大学のみ。来年の正式大会実施のハードルの高さが実感された。