スカイアクティブGとトヨタの提携に思うこと
世の中ハイブリッドじゃなきゃ売れなくなっている。そう感じてしまうほど、ハイブリッド車の販売好調がある。逆にいえば、「ハイブリッドが買いやすい」というのが本当だろう。2月末に発売されたCR-Zも目標月販台数の10倍も売れたのだから需要は確実にあり、潜在的な需要はくすぶっている状態なのではないか。
ジュネーブショーではハイブリッドが多く出展されていた。その中身を覗いてみると、フライホイールを使ったKERSとパラレル式のハイブリッドに集約される。実際の市販車両ではKERSは、まだ、実用域ではないようだが、パラレル式はベンツ、BMWに採用されたZF社製などがその方式で、つまりホンダと同じ方式だ。
このことは、トヨタのTHSⅡのように、複雑なシステムを作り出し、他の追従をゆるさないようなシステムに注力するより、今の段階では、エンジンのサポートをし、省燃費をすぐに手に入れられるパラレル方式のほうが実用的と考えるのがナチュラルなのかもしれない。
実際、欧州車はコンベンショナルなエンジンを見直し、徹底的に無駄・ロスを排除することに力点を置き、結果排気量を小さくする方向に進んでいる。失ったパワー、トルクはターボなどの過給器で補い、遜色ない走りを維持し、省燃費をかつてより進ませている。だから、この優れたコンベンショナルなエンジンがあれば、過給器がモーターに変わるということもあり得ると思う。
技術へのこだわり
マツダのスカイコンセプトは、新しい高効率のエンジン(スカイアクティブG)らしいが、そのエンジンにトヨタからの技術ライセンス供与されたハイブリッドシステムが組み合わされるという。発売は2013年が目標というニュースがあったが、出遅れてしまう気もする。つまり、他社は従来のエンジンにボルトンしたハイブリッド車が続々登場してくることが予想されるからだ。
トヨタ方式はエンジンだけ、モーターだけ、その両方で走るシステムで、世界中でもこの複雑な機構を市販レベルにまで引き上げている企業はない。が、反面、もっとシンプルで省燃費にできるものでもいいのでは?と考えても不思議はない。その答えのひとつがパラレル式。エンジンを中心に走り、モーターはあくまでもサポートに徹する。
結果的に、重量物であるバッテリーのサイズを小さくでき、エンジンもモーターのサポートがあるから小排気量で済む。実際プリウスのバッテリーとCR-Zでは、約半分の大きさのバッテリーで済んでいる。そしてエンジンにも工夫が加えられ、省燃費を実現している。
10・15モードで比較すればプリウスが圧倒的優位な数字だが、実際、大都市の渋滞以外ではモード燃費ほどの差がないというのが現実のようだ。
メーカーとしてはその基幹部品であるパワーユニットをサプライヤーに依存するということに、抵抗があるのかもしれないが、BMWやベンツはサプライヤーからハイブリッドシステムを購入しているのである。一見驚くかもしれないが、考えてみれば、ドイツらしく合理的な思考がそうさせた、ともいえるのではないだろうか。<文:高橋アキラ/Akira Takahashi>