日産は2020年9月16日、日産パビリオンで歴史あるスポーツカーの「フェアレディZ」7代目のプロトタイプを公開しました。またオンライン・イベントとして、アメリカのフェアレディZファンが参加するなど、アメリカ市場を意識し、ブランド復興のシンボルとなっていることを表しています。
コンセプトとエクステリア
7代目となる新型フェアレディの登場は、日産再建計画ニッサンNEXTにある、「今後18ヶ月間の2022年までに12車種のニューモデルを市場投入」という中での、象徴的なモデルと位置付けられ、デビューが予告されていました。
またこの新型フェアレディZは、日産の再建計画の中でも最大の課題であるアメリカ市場でのブランド価値再構築のためのシンボルとなっているため、プロトタイプの状態でも一刻も早く市場にアピールする必要があったと考えられます。
内田誠CEOは、「ピュアスポーツカーのZは、日産のスピリットそのものです。そして今取り組んでいる事業構造改革ニッサンネクストの、とても重要なモデルでもあります。ニッサンネクストは、AからZ、つまり他がやらぬことをやる、私たちの姿勢を表しています。Zのファンである私が、今日、この「フェアレディZプロトタイプ」を発表できることを誇りに思います」と語っています。
新型フェアレディZのデザインは、レトロモダンとフューチャリズム追求しており、デザインには初代フェアレディ240Z(S30型)のディテールを取り入れています。初代S30型のフォルム、フロントとリヤのモチーフを継承し、カラーは歴代Zの持つ黄色をイメージしながらソリッドパールというカラーを開発し、再現させました。そして現代的なブラックルーフとの組み合わせた2トーンにより、モダンさを盛りこんでいます。
ディテールでは、LEDヘッドライトの2つの半円のデザインは、1970年代に販売された「240ZG」をイメージした造形です。
なおサイドシルやリヤバンパー、フロントバンパー下のチンスポイラーはカーボン製でスポーツカーらしさを強調。カーボン素材は先日発表された新工法で作られたCFRPを採用しているのが想像されます。ホイールは19インチサイズ、マフラーは左右2本出しとしています。
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インテリア
コックピットは、正統派スポーツカーらしさと最新のデジタル技術を融合したデザインとなっています。
その象徴が12.3インチのフルデジタルメーターディスプレイで、タコメーターの針が真上を示し、シフトアップインジケーターが点滅、ドライバーにシフトアップを促し、スポーツドライビングをアシストします。
その一方で、クルマの状態を示す計器類は小型円形の計器を運転席周りに多数配置したクラシック・デザインとなっているのも注目です。
シートやインスツルメントパネルにはボディカラー同色の黄色のステッチを採用。シート中央部はグラデーション加工された黄色いストライプ模様がデザインされています。
エンジンはV6ツインターボ
時代をリードするパワフルなエンジンとし、長いボンネットの下にはV6ツインターボエンジンが搭載され、6速マニュアル・トランスミッションと組み合わされています。パワーユニットは現在のスカイラインGT 400Rに搭載されている3.0L V6ツインターボ「VR30DDTT型」(405ps/475Nm)と考えられます。
新型フェアレディZプロトタイプのボディサイズは、全長4382mm、全幅1850mm、全高1310mm、タイヤサイズはフロントが255/40R19、リヤが285/35R19と発表されていますが、現時点ではデザイン決定段階でのプレ・プロトタイプのため、実際の量産段階でのスペックは確定しているとは考えられません。
日産は、今回の公開では新型フェアレディZの正式発表時期には触れていませんが、早くても2021年後半と想定されます。