日産は、2019年12月1日付けで新たに専任された内田誠CEO(代表執行役社長兼最高経営責任者)と、チーフパフォーマンス・オフィサーのアシュワニ・グプタCOO、執行役副最高執行責任者でグローバル商品企画やパフォーマンスリカバリーを担当する関潤副COOがそれぞれ就任し、12月2日グローバル本社で記者会見が行なわれた。
合議制企業運営
新体制では、内田CEOが最高経営責任者となり、日産としてのビジネス全体はグプタCOOが担当。そして関潤副COOが、商品企画、商品開発、CASE対応など車両開発全体の責任者という役割分担を持つ「三頭体制」であり、いわば合議制の企業運営となる。
この体制は、外部取締役が多数を占める取締役会とルノー側の承認により決定された。これまでのトップダウン・タイプのゴーン体制から合議体制に舵が切られた。ただ、こうした合議制で重大な事業方針などの決定に果たして迅速に対応できるかどうかは今後、見極められることになる。
内田CEOは、これまでのルノーとの共同購買プロジェクトを担当し、成果を上げた実績を持ち、ルノー、三菱自動車とのアライアンスについては高く評価。今後の課題としては「いかに早く3社アライアンスによりそれぞれが新たな利益を生み出せるかどうか」と語っており、短期的な目標でアライアンスのプラス効果を狙う方針だ。
もちろん直近の最大の課題は、現状の経営的な危機をいかに乗り切るかということだ。「信頼の回復と業績の立て直しを形にして実行することだ」と語り、特にアメリカ市場でのビジネスの再構築には、既に着手しているとしている。
とはいえ、アメリカ市場における過度なフリート販売(企業向けの大量値引き販売)依存、過大な販売奨励金によるビジネスを短期間で変えることは困難で、少なくとも数年間を要することになる。
また内田CEOは、従来の達成不可能な事業目標が社内で大きな歪みを生み、業績悪化にもつながったとして、達成可能な目標を改めて掲げる必要があるとしてる。このあたりはグプタCOOの手腕に依存しているといえる。
さらにビジネスの停滞の原因の一つとなっているニューモデルの開発スピードをアップし、魅力的なニューモデルを次々に投入するとしているが、この領域は関副COOの手腕に任せることになる。ただ、今回の就任会見では、具体的な新型車の投入の見通しには言及しなかった。
いずれにしても、事業目標の見直し、開発や販売の政策見直しが求められており、西川前CEOの体制下で決められた2022年度までの中期経営計画の修正は必須となっている。