【BYD】DセグサイズのPHEV「シーライオン6」が日本発売開始 価格は400万円以下

BYDオート・ジャパンは2025年12月1日、日本市場でBYD初となるPHEVモデル「シーライオン6」を発売した。なお、BYDのPHEVシステムは「DM-i(デュアルモード・インテリジェント)」という名称をグルーバル市場で使用しているが、日本市場では「スーパーハイブリッド」という呼称を使用している。

「シーライオン6」をプレゼンテーションしたBYD 自動車新技術研究院・DMシステム開発責任者のロゥ・チャオ氏(左)とBYDオート・ジャパンの東福寺社長

BYDは、日本市場ではこれまでに「ドルフィン」、「ATTO3」、「シール」、「シーライオン7」というEVを展開してきているが、今回新たにPHEV「シーライオン6」を追加し、より選択肢を拡大させたことになる。

「シーライオン6」は、グローバル市場向けの海洋シリーズの中核モデルという位置づけで2025年4月に中国で発表している。

ボディサイズは、全長4775mm、全幅1890mm、全高1670mm、ホイールベース2765mmで、グローバルDセグメントの5ドア・クロスオーバーだ。EVの「シーライオン7」よりホイールベース、ボディサイズをやや縮小したモデルで、グローバルではより大きなサイズの「シーライオン8(中国での車名は「唐」)も「シーライオン」シリーズとして存在している。

ラゲッジ容量は、Dセグメントにふさわしく425Lで、リヤシートバックを倒すと1440Lと十分なスペースを備えている。

日本市場では「シーライオン6」は前輪駆動モデルと4WDモデルがラインアップされるが、デリバリーは前輪駆動モデルが2026年1月末、4WDモデルは2026年3月頃から開始される。

この「シーライオン6」はBYDとしては日本市場初のPHEVモデルであるが、実はBYDは世界初となるPHEVを2008年に発売しており、15年間の歴史を持ち、世界で90以上の国と地域で展開し、累計販売台数は740万台を数えているのだ。

「シーライオン6」には第4世代のPHEVシステムが採用されている。BYD独自の安全性が高いLFPバッテリー、すなわちブレードバッテリーを採用し、容量は18.4kWh。そしてブレードバッテリーを囲むフレーム部は床面の構造材として使用されC2B(セル to ボディ)構造となっている。

バッテリーで重要となる温度コントロールは、冷却では業界初となる直接冷却方式としており、加熱保温は従来のような液体循環による加熱ではなく、世界初の高周波パルス式加熱を採用している。そのため寒冷時から高負荷走行時/急速充電時まで短時間で高精度な温度コントロールを実現しているのも特長だ。

充電性能は、最大6kWの普通充電とCHAdeMO規格の急速充電に対応。車外への給電(V2L)や家庭への電力供給(V2H)にも対応し、アウトドアや災害時など幅広いシーンで車両を電源として活用することができる。

そして、起動用サブバッテリーとして一般的な鉛バッテリーではなく、量産化世界初の12VのLFPリチウムイオン・バッテリーをリヤ床下に搭載している。従来型の鉛バッテリーが12kgであるのに対してLFPバッテリーはわずか2kgと圧倒的に軽量である。さらに鉛バッテリーで発生する水素ガスが発生しないことや、自己放電が鉛バッテリーの1/5で、寿命は15年間もあるなど、革新的なバッテリーである。

駆動モーターはフロント駆動用が145kW(197ps)/300Nm。4WDの場合は前後の駆動モーター合計で270kW(367ps)となる。駆動用モーターは最高回転数1万5000rpmと高速タイプで、モーター内部はダイレクト油冷式を採用。

そして、主として発電を担当するエンジンは前輪駆動モデルに1.5L4気筒の自然吸気「BYD476QC」型を搭載。4WDモデルには1.5L4気筒ターボ「BYD472ZQB」型を搭載している。

現時点で発表されている自然吸気1.5LエンジンはPHEV専用に開発され、徹底的な高効率を追求しており、圧縮比15.5と極めて高く、冷却された大量のEGRを使用。そして高負荷ではアトキンソンサイクルを行なうようになっている。

もちろん高速タンブル流の活用を行ない、ノッキングの抑制と冷却損失の抑制を両立させるためにシリンダーヘッド冷却を重視した2系統冷却システムを採用している。そのため電動ダブル・サーモスタットと電動冷却水ポンプを組合わせて採用し、もちろん摩擦抵抗なども大幅に低減され、最高熱効率は43.04%と世界トップレベルになっているのだ。

エンジン出力は72kW(98ps)、122Nm。4WD用の1.5ターボエンジンは96kW(130ps)、220Nmを発生する。

つぎにPHEVの制御である。PHEVにもトヨタのようにTHSⅡのように従来のハイブリッドから発展させたシステムもあれば、三菱アウトランダーPHEVのように専用開発したシステムもある。BYDの場合は大容量のバッテリーを前提にEV走行をメインにしたPHEVとしている。

そのためエンジンを使用しないEV走行距離は100km(前輪駆動モデルの場合)となっており、市街地走行では約81%はEV走行が可能になっている。つまり日常の通勤や買物などの使用条件ではほぼEVとして機能する。

EV走行によりバッテリーの蓄電量が低下すると初めてエンジンが稼働し、バッテリーに充電しながらモーターを稼働させて走行するシリーズハイブリッド走行となる。高速走行ではEV走行、シリーズハイブリッド走行を行ない、加速をする場合、あるいはさらに高速走行するなど負荷が増大した場合には、エンジンが駆動直結モードとなり、同時にモーターも駆動をアシストするシリーズ・パラレル・ハイブリッドモードとなる。

これらのモードは、バッテリー残量や加速状況などの要素から自動選択されるようになっているのが特長だ。一方、動力性能は前輪駆動モデルで0-100km/hが8.5秒、4WDモデルはスポーツカー並みの5.8秒となっている。

サスペンションは、フロントがストラット式、リヤがマルチリンク式。タイヤは235/50R19サイズで、シンガポールのGiti(ギティ)製ハイパフォーマンス・タイヤ「コントロール P10」を装着している。Gitiタイヤは、アジア拠点の世界規模のメーカーで自動車メーカーへの純正納入の実績も多くある。

デザインは海洋シリーズの特長を引き継ぎ、伸びやかな横基調のフロントにシャープで存在感のある Ocean X Face(オーシャン・エックス・フェイス)のデザインを取り入れている。ボディサイドにはサイドにはボディ前後を貫くエッジ上のキャラクターラインを配し、そしてリヤは一文字の幅広いテールライトを採用し、光の演出によって立体感を強調している。

インテリアは、深みのあるブラック基調の空間とし、ブラウンのトリム・アクセントと間接照明となるアンビエントライトを配し、モダンなテイストに仕上げている。海をイメージしたフォルムのスポーツシートはホールド性も高く、フロントシートはフル電動で、ヒーターとベンチレーションを備えており、長距離でも快適な姿勢を保てる設計となっている。またステアリングヒーターも標準装備される。

センターコンソールには、クリスタルを思わせる電動シフトレバーや 2基のワイヤレス充電を配置し、上質感と機能性を両立。リヤシートは5段階のリクライニング調整が可能で、大人がゆったり座れる広さと快適性を備えている。

インフォテイメントは、15.6インチの高精細大型ディスプレイを採用し、直感的な操作性と幅広い情報の提供を可能にしている。さらに Apple CarPlay、Android Autoによるスマートフォン連携も可能。前席には 2台同時接続できるワイヤレス充電や、前後席にはUSB端子を配置するなど、毎日の使いやすさを重視。また進化したボイスコントロールは全席からの発話を認識して様々な操作ができるようになっている。

運転支援システムは、3基のミリ波レーダーと高解像度カメラを組合わせており、運転支援、パーキングアシスト、危険回避機能を備えている。

「シーライオン6」の競合モデルはアウトランダーPHEV、RAV4 PHEV、レクサス NX PHEV、RX PHEVなどが存在するが、「シーライオン6」の価格/パフォーマンスは抜群であるだけに、日本市場では脅威的な存在である。

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