BYD コンパクトハッチバックのEV「ドルフィン」の発売開始。補助金で200万円台の破壊力

BYDオートジャパンは2023年9月20日、EVモデルの日本導入第2弾となるBセグメント・コンパクトハッチバックの「ドルフィン(DOLPHIN)」の発売を開始した。

BYD 世界のEV市場を席巻するBYDの何が凄いのか

■ コンパクト・サイズのボディ
ドルフィンは、日本では初のBセグメント・サイズの5ドア・ボディという扱いやすいサイズで、全長4290mm、全幅1770mm、全高1550mm、ホイールベース2700mm。そのため都市部の立体駐車場にも収まるサイズとなっている。なお、全高は他の市場では1570mmだが、日本市場のために1550mmに抑え、最小回転半径は5.2mと道が狭い地域でも小回りが効く。

また、ドルフィンは中国市場だけではなくアジア、オセアニア、ヨーロッパへの輸出も行なっており、ボディはユーロNCAPの5つ星を獲得する実力を備えている。

その一方で、EV専用プラットフォーム、EVならではのパッケージ特性を活かし、Cセグメント・クラスと同等レベルの室内スペースを実現している。

ラゲッジ容量は345L、リヤシートを倒すと1310Lとなり、Bセグメントの常識を破るスペースを生み出している。

■ プラットフォームとバッテリー
ドルフィンのプラットフォームは、BYDが2021年の上海モーターショーで発表した「e-プラットフォーム 3.0」で、そのフロア面は構造部材となる「ブレード・バッテリー」を敷き詰めている。BYDが独自に開発したブレード・バッテリーは細長い長方体のセル形状で刀のように見えることからブレードという名称がつけられている。

このバッテリーは、コバルト、リチウム、マンガンを正極原料とする3元(NMC)系リチウムイオン・バッテリーではなく、リン酸鉄リチウムを正極原料とするリン酸鉄(LFP)系のリチウムイオン・バッテリーで、BYDが独自に追求してきたバッテリーだ。

エネルギー密度の点では3元系に比べて劣るが、製造コストが安く、しかも3元系より長寿命で、熱暴走しないという特長を持っている。そのため、BYDはセルの集積度を高めてエネルギー密度をカバーすることでEVに使用している。

またフロントに搭載されるe-アクスルもBYD内製で、モーターからインバーター、減速ギヤ、その他電気系制御ユニットなど合計8ユニットを完全に一体化した、きわめてコンパクトな世界初の「8in1」パワートレインとなっているのも特長だ。

また室内とバッテリーの温度コントロールは統合型ヒートポンプを採用し、高電圧部の比熱を吸収し、さらにバッテリーパックは直冷却、直加熱システムを組み合わせることで、寒冷地から酷暑地まで性能の低下を防いでいる。

■ EV性能
ドルフィンは、標準モデルとロングレンジの2機種をラインアップ。標準モデルはバッテリー容量44.9kWhで、航続距離はWLTCモードで400km、ロングレンジはバッテリー容量58.56kWhで、航続距離はWLTCモードで476kmとなっている。

モーターの出力は、標準モデルが95ps/180Nm、ロングレンジ・モデルでは204ps/310Nmを発生する。動力性能は0-100km/h加速は標準モデルが10.9秒、ロングレンジ・モデルが7.0秒で最高速度はそれぞれ150km/h、160km/hだ。

また充電性能は6kW普通充電でゼロから満充電まで標準モデルが7.5時間、ロングレンジ・モデルが9.8時間。CHAdeMO急速充電では90kW急速充電で、ゼロからスタートして30分間で標準モデルは304km、ロングレンジ・モデルは332kmの走行距離分を充電することができる。

外部給電は、オプションのアダプター使用で1500Wの外部給電ができる。さらにV2H機器を使用すれば家庭電源と接続ができ、災害などでの停電時には4日分の電力を車両から家庭に給電することが可能だ。

■ デザイン
ドルフィンのデザインは、元アルファロメオ、アウディを経てBYDデザイン部長となったヴォルフガング・エッガーで、海洋生物の自由さや美しさから着想を得たデザイン・フィロソフィーのもと開発された「海洋シリーズ」の最初のモデルとなっている。

エクステリアは、愛らしさと人懐っこさを感じさせるイルカのような丸みを帯びたボディラインと、イルカが海面から飛び出てくるときの躍動感を表現した2本のウエストラインを採用。親しみやすさと力強さを感じさせる。

インテリアは、滑らかで広がりのある曲線を多用してでデザインされており、モダンでダイナミックな車内空間を演出しているほか、なだらかに起伏を繰り返す穏やかな波を連想させるダッシュボードや、イルカのフィンをモチーフにしたドアノブなど、海洋シリーズのテーマが使われている。

メーターパネルはTFT LCDディスプレイ、インスツルメントパネルのメイン・ディプレイは12.8インチのタッチ・ディスプレイで、電動回転式で縦長か横長画面を選べるのが特長だ。

また装備ではアクティブ・サウンドシステムを搭載し、様々な警報音や操作音を多彩なサウンドで表現している。例えばウインカーの右と左ではサウンドが異なり、その他にも海の音を使用するなど遊び心も備わっている。

なお、右ハンドルであることはもちろん、ウインカーレバーは日本市場に合わせて右側配置となっている。

■ 安全性
運転支援システムやパッシブセーフティのために、ドルフィンは360度ビューカメラ4個、ADAS用マルチカメラ1個、ミリ波レーダー5個、超音波センサー8個を装備。アダプティブクルーズ・コントロール、レーンキープアシスト、交通標識検知、ペダル踏み間違い時加速制御など現時点の最高レベルの運転アシストを備えている。

また日本車にはない、ヨーロッパ規準準拠のレーダー式の車内幼児置き去り検知システムも装備している。もちろん車載通信モジュールも搭載されており、事故緊急自動通報(BYD E-CALL)も装備されている。

価格は下記のようになっているが、政府のクリーンエネルギー補助金が65万円となっており、さらに地方自治体のEV補助金も取得でき、東京都の場合は45万円以上の補助金になるなど、ドルフィンの価格は200万円台となり、日産サクラ以来の価格インパクトを持つEVとなっている。

価格

ドルフィン:363万円(税込み)
ドルフィン ロングレンジ:407万円(税込み)

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