【トヨタ】ウィッシュ試乗記 スポーツモード搭載で見違えるような走りに!

マニアック評価vol118
走りを楽しさを再現すべくCVTを改良

トヨタのウィッシュが2012年4月9日マイナーチェンジを行い、燃費向上させつつ、スポーツドライブがより楽しめる変更が行われた。マイナーチェンジについては既報しているので、こちらを参照して欲しい。

新型ウィッシュのマイナーチェンジのポイントとして、AutoProve編集部は、主に燃費の向上と走りの楽しさが向上している点に注目した。東京・臨海地区という限られたスケールながら試乗もできたので、インプレッションもレポートしておきたい。

 

ウィッシュのフロント画像
マイナーチェンジで新色オレンジメタリックが加わり、ラジエターグリルの意匠変更がある

マイナーチェンジされた新型ウィッシュでは、エンジン制御の見直しがあり、燃費向上を図ることで2012年4月に変更されたエコカー減税に4WDも含む全てのグレードが50%減税対応した。見直された主なポイントには、内部EGRの強化、ポンピングロス低減、さらにアトキンソンサイクルの制御などがある。

EGRとは一旦排出された排ガスをもう一度燃焼室に還流する技術で、新型ウィッシュで強化されたのは、EGR取り込み量を増やしたことだ。EGRがより多く取り込まれれば、吸気で排ガスの量が多くなるため、ドライバーが求める出力に相当するフレッシュエアを吸入するためにスロットル開度がより大きくなる。結果スロットルの絞りによるポンプ損失が減るという理屈である。また、吸排気バルブの早開き、遅閉じのタイミングを見直し、より高効率に膨張比を変化させている。これらの制御変更に伴い、新型ウィッシュのエンジンは、圧縮比を10.0から10.6へとアップされた。もちろん、摺動部のフリクションロス低減もされている。

ウィッシュのバルブマチックエンジン画像

新型ウィッシュではエンジン制御の見直しにより、燃費を向上させた。具体的な数値は、JC08モードで1.8L・2WDモデルが15.8km/L、1.8L・4WD及び2.0L・FFで14.4km/L。さらに全車で「平成27年度燃費基準」を達成している。すでに認定取得している「平成17年基準排出ガス75%低減レベル」とあわせ、環境対応車 普及促進税制と自動車グリーン税制の減税措置に適合した。

ウィッシュのフロントグリル画像ウィッシュのリヤ画像

新型ウィッシュではトランスミッションのCVTにも変更がある。主として新型ウィッシュのドライバビリティの向上に繋がる変更で、運転好きにはうれしい制御変更である。スポーツモードでステップアップシフトとなるように変更され、ATに似たシフト感を得ている。

CVT車でアクセルを踏み込むと、エンジンが高回転域を保持してうなり続けるばかりで加速感に乏しい。こうした印象を補うものだ。たとえば、高速道路の合流などでアクセルを踏み込むと、新型ウィッシュはシフトダウンして加速する。さらに踏み込み続けると、シフトはハッキリとアップシフトしたように感じるセッティングになっている。

ウィッシュのダイナミックスポーツモード画像

また、GIシフト制御が加わったことも大きな変化だ。GIシフトとはコーナリング中にCVT車はエンジンの回転が下がってしまい、コーナー脱出時の加速が鈍いという点を改善するものだ。Gセンサーを利用し、クルマがコーナリング中であると判断すると、エンジンの回転は高回転側で保持され、コーナー出口で加速する際、すぐにパワーバンドに飛び込むセッティングになっているのだ。さらにコーナー進入時のブレーキング減速Gも感知し、ギヤをホールド、高回転を維持するセッティングになっている。

ウィッシュのサイド画像

運転の大好きなお父さん、ぜひお試しを!

今回の新型ウィッシュ試乗では、フラットで碁盤の目のように区画されている東京・臨海地区だったため、GIシフトのようなスポーツ制御化されたCVTを楽しむまでには至らなかったが、ワインディングであれば「お!やるなっ」という程度の感覚は容易に感じることはできると思う。

新型ウイッシュはミニバンにカテゴライズされるが、ユーザーの実際の使い方としては、3列目は普段折りたたんで荷室として利用するステーションワゴン的な利用ケースが多いという。そのため、ハンドリングにおいても乗用車感覚を求めるユーザーも少なくない。

ウィッシュのインテリア画像
1.8S 4WDオプション装着車のインテリア

初代ウィッシュは、トヨタ86の開発責任者でもある多田哲哉氏が責任者を務め、開発段階ではサーキットテストを多用した。メディア向け試乗会も筑波サーキットで行おうとしたほど。当初からスポーツ指向のモデルだったことがわかる。

その証拠に、エアロスタビライジング・フィンというパーツが三角窓付近に取り付けらている。86にも同じようなパーツが取り付けられているのだ。パーツとしては実に小さいものだが、コーナリング時の姿勢安定のためのエアロパーツである。60km/h程度でもその違いが誰でも感じられるということなので、ぜひ体験してみたいパーツだ。

さらに新型ウィッシュは、ドライバビリティ向上のためにスポット溶接の部位を増やしている。その数はフロントドア開口部やリヤタイヤの前部、リヤバックドア下部などボディ30数か所にもおよぶ。当然、ボディ剛性をあげるためのもので、スタビリティ、アジリティといったものへの貢献度が高いチューニングが施されたということだ。

ボディ剛性が変化すればサスペンションのセッティングにも影響が出る。よりダイレクトに路面からの入力が伝わるので、乗り心地の変化やハンドリングの変化が出てくる。このあたりもサスペンション全体のセッティングが見直されチューニングされている。

ウィッシュのフロント画像
新色サテンブルー

ウイッシュは今回のマイナーチェンジで、外観の意匠変更、インテリアの質感向上だけにとどまらず、ドライバビリティをより上質に変更していることがわかる。運転は大好きだけど、家族がいるのでスペースの広いミニバンでなければならないお父さん、一度試乗してみることをお勧めする。

ウィッシュの価格表画像

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