北米トヨタはロングビーチでグリーン水素施設を竣工し、CNな港湾事業運営に乗り出す

トヨタの北米事業体「Toyota Motor North America, Inc.(TMNA)」は、カリフォルニア州ロングビーチ港の物流拠点トヨタロジスティクスサービス(TLS)で、グリーン水素をオンサイトで生成する施設「Tri-Gen(トライジェン)」を竣工したと発表した。

これにより、100%再生可能エネルギー由来のカーボンニュートラル(CN)な港湾事業運営の実現を目指すことになる。

Tri-Genは、燃料電池発電事業を手がける「Fuel Cell Energy」社が運営しており、この施設は2.3MW(メガワット)の発電が可能な燃料電池発電所と水素ステーションを併設。畜産場の家畜排泄物や余剰食品等の廃棄物系バイオマスから水素を取り出し、燃料電池を用いて発電することで、再生可能エネルギーから水素・電気・水の3つ(Tri)の物質を生成(Generate)する。

TMNAはFuelCell Energy社からこれらの水素・電気・水を20年間購入する契約を締結した。

Tri-Genでは、1日当たりの発電量は2.3MWで、アメリカの一般家庭約2300世帯分の1日当たりのエネルギー消費量に相当する。そのうちトヨタ物流サービスで必要な分を使用する。

Tri-Genの1日当たりの水素生産量は約1.2トンで、燃料電池車MIRAIへの供給分として使用し、およそ200台以上を満タンにするのに必要な充填量に相当する。また港湾オペレーションに使用する大型商用トラックなど、他の燃料電池車両にも供給できる。

さらに水素の生成にともない、1日当たり1400ガロン(≒5,300L)の水を生成し、同港から販売店に配送する車両の洗車作業に使用。これにより、水道水の消費を年間50万ガロン(≒約190万リットル)削減することができる。

そしてTLSのオペレーション支援により、発電由来のCO2排出量を年間9000トン以上削減することが期待できるとしている。

また年間6トン以上の発電由来のNOx(窒素酸化物)排出を防ぐことにつながるほか、港湾業務での燃料電池トラックの使用により、年間42万ガロン(≒159万リットル)以上のディーゼル燃料の消費量を削減できる可能性がある。

TLSで使用されなかった余剰電力は、カリフォルニア州のBioMAT(Bioenergy Market Adjusting Tariff:3,000kW以下のバイオマス由来の発電に関する固定価格買取制度)プログラムに基づき、地元の電力会社であるサザン・カリフォルニア・エジソン社に供給され、地域の電力安定供給に貢献することになる。

なお、カリフォルニア州はアメリカにおいて、もっとも水素エネルギーの取り組みに積極的な州となっている。

Toyota Motor North America 公式サイト

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