スーパーGT2022 第5戦鈴鹿 SUBARU BRZ GT300 重量ハンデと戦い18位フィニッシュ

2022スーパーGTシリーズ第5戦鈴鹿「FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT450km RACE」が8月27日(土)、28日(日)に三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットで開催された。

かつての鈴鹿1000kmレースの時期で真夏の祭典と言われ、多くのファンが詰めかけるレースだったが、近年の新型コロナの影響が強く集客イベントは厳しい状況。それでも2日間で延べ2万5500人のファンを集める注目のレースとなった。

第4戦富士で優勝を飾ったSUBARU BRZ GT300

SUBARU BRZ GT300は今季、ディフェンディングチャンピオン・チームとして参戦し第4戦を終了した時点で優勝1回、3位1回と4戦中2回の表彰台を獲得している。ドライバーズ/チームともにシリーズランキングは2位と順調にポイントを重ねている。

のしかかる重量ハンデ

しかし、第4戦富士での優勝により重量ハンデが大きく加わり、ここにきてBRZ GT300の特徴であるコーナリングマシンの様子が変わってきた。

シーズン当初、GTAからのBoP(性能調整)は、エンジン出力で4%ダウンが指示され、1150kgで開発した重量に50kgのBoPウエイト搭載とされている。それでも開幕戦の岡山ではポールポジションを獲得し、さらに第2戦の富士でも2連続ポールを獲得する速さを見せていた。

今回の第5戦ではBoPウエイトは75kgで、サクセスウエイトは89kgの合計164kgの重量増となり、BRZ史上もっとも重いマシンになった。さすがにこの重さでのレース経験はチームにはなく未体験でのレースということになる。併せてパワーダウン(過給圧制限)は継続し、さらにピットに設置する燃料給油機の吐出量を制限するリストリクターまで装着されているのだ。

史上最も重いマシンで戦うことになった

改善を見せるタイヤ

このようなマシン状態で迎えた第5戦鈴鹿では、厳しいレースが予想されるが、明るい材料もある。7月に行なわれたタイヤテストで好感触のタイヤが手に入ったことだ。真夏の高路温でこれまで耐久性に課題があり、ロングスティントができていなかった。そのネガポイントが改良されたタイプを獲得しているのだ。

ダンロップによれば構造を変更した新設計のタイヤで、もともと車両重量の違うGT300規定とGT3規定に併せてそれぞれに開発を行なっていたが、今回もGT300規定マシン専用のタイヤ設計にしたタイヤを投入している。つまり、予選トップの10号車はGT3規定のGT-Rなので、同じダンロップユーザーながら、BRZ GT300とは別のタイヤ仕様ということになる。

今季からBRZ GT300のトラックエンジニアは井上氏に変わった

また重量ハンデに対しては、マシンバランスを踏まえた搭載方法のノウハウを持ち、ある程度の重さまでなら大きな影響は受けないとされる搭載方法がシミュレーションされている。さらに、マシンセットアップも今季からチーフエンジニアが変わり、新しい視点でのセットアップ方法で作り上げている点も興味深いポイントだ。とりわけコーナリング中のマシンの姿勢に着目し、ダンパー、スプリング、空力とのバランスからのセットアップなどで今季の結果に結びつけている。

厳しい予選落ち

しかし、蓋を開けてみると厳しい現実が待っていた。土曜日午前の公式練習では1分59秒488で13番手のポジション。ドライバーの山内英輝によると上半身のレスポンスが遅れてくるのでリズミカルな鈴鹿ではワンテンポずつ遅れたタイミングのコーナリングになっているという。一方の井口卓人もステアしてもレスポンスしない時間があると説明しており、マシン重量に起因すると思われる症状が出ていた。

午後の予選に向けてはマシンのセットアップを大幅に変更することにトライした。小澤正弘総監督は「ロールセンター、車高、ジオメトリーの見直しをしてバランスの取り直しをします」という説明だった。

BRZ GT300はサスペンション・リンクのボディ側取り付け部の位置を変更することでロールセンターを変更できるといい、なおかつ、キャンバーやキャスター、トーなどのアライメントに影響しない構造のマシンになっているいう。

こうして迎えたQ1予選では名手井口がドライブするもQ1敗退となった。1分59秒138で午前の公式練習時のタイムは上回るものの、予選B組で11位、全体では22位という下位に沈んだ。

井口卓人を持ってしてもQ1突破できなかった

抜けないレース展開

もともとパワーの絞られているBRZ GT300だけに集団から抜け出すことは難しく、抜かれないレース展開に持ち込まなければならないが、それがままならないポジションからのレースとなった。

決勝はその井口がスタートドライバーを務め、オープニングラップで7号車に抜かれるハプニングがあった。が、しかし7号車の反則スタート(フライング)でドライブスルーペナルティとなり、ポジションを落とさずレースは始まった。

こうしてピットウインドウも拡幅できたBRZ GT300ではあるが、如何ともしがたく捲土重来とはいかなかった。

第5戦は450km/77ラップのレースで2回の給油が義務付けられ、タイヤ交換に関して制限はない。最初のスティントを井口が走り終え、山内と交代する。燃料の給油とタイヤ4本交換をしてピットアウトした。路面温度も前日より高くチームはハードタイプのタイヤを選択して山内を送り出した。

山内の順位に大きな変動はなく22位。途中、他のマシンのピットインにより順位は変動するものの、山内のドライブをもってしてもマシンを抜くシーンは見られなかった。44周目にセーフティカーが入り混乱に乗じて順位を上げられるかと思ったが、逆に2回目のピットを済ませていないためラッキーは起きなかった。

山内英輝は重たいなりのセットアップの方向を見つけたいと話す

SC解除後すぐにピットに入り給油をするが、ドライバー交代、タイヤ交換はない。山内のダブル・スティントでポジションアップを狙った作戦だ。しかもタイヤ無交換作戦だ。これまでならタイヤ交換はマストだったが、新タイヤのメリットを活かした戦略と言える。

残る課題を克服できるか

結果は18位でフィニッシュとなった。優勝は前回涙のリタイヤを余儀なくされた4号車グッドスマイルのAMG GT3の谷口信輝/片岡龍也組が勝った。

こうした惜敗はある程度予想されていたわけだが、その通りになってしまう悔しさは強い。そしてこの重量ハンデは次戦のSUGOでも同様の重量を背負う。BRZ GT300が得意とするSUGOのレースをどう戦うのか課題が残ることになった。

小澤総監督によると重い状態でのコーナリングはなんとかできる手応えは掴んでいるという。ただ、SUGOはアップダウンの大きいサーキットなので、もともと絞られているパワーと重量増はダイレクトに影響するので厳しいことに変わりはないと話す。

小澤正弘総監督の頭を悩ます重量となったBRZ GT300

ドライバーの山内は、ターンインからアクセルを踏み込んだ時のバランスをなんとかしたいという話が聞けた。レーシングテクニックとして、一般的にS字などでの切り替えしにおいてヨーモーメントを消す動きというのがあるが、そうした領域の話だと想像する。

BRZ GT300はコーナリングマシンと形容されるように、ターンイン時のリヤの接地荷重がしっかりあるマシンで、だから回頭性が良いとされているが、こうした重量増になるとリヤの接地荷重が高いために遅れてヨーモーメントが発生しているようだ。そのあたりの二律背反をどう解決するのかが次戦SUGOでのキーとなると想像する。

第5戦を終えてドライバーズランキングは3位。まだまだシリーズチャンピオンは狙える場所だ。ただし、シリーズチャンピオンを狙うのであれば65点は欲しい。いやミニマムとしても60点は獲得しないと厳しいだろう。現在29.5点。優勝で20点、2位15点、3位11点なので、どこで大きなポイントが獲れるかが見所となる。


The Mortor Weekly

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