日産 新型エクストレイル 試乗記 「プロパイロット」追加で商品力を一段と向上

マニアック評価vol532
日本のミドルクラスSUVの中で、ベストセラーの座を占めているエクストレイルが6月にビッグマイナーチェンジを受け、新たに「プロパイロット」を装備して登場した。プロパイロットは日産の国内市場の基幹車種であるセレナに初めて採用されたが、第2弾も日本で販売台数の多いエクストレイルが選ばれている。

エクストレイル 20X ハイブリッド サイドビュー
エクストレイル20Xハイブリッド

もっともエクストレイルは、日本市場だけでなくアメリカ、ヨーロッパ、中国などグローバルで日産を支える重要な車種だ。日本では、ミドルクラス(Cプラス)SUVと位置づけられ、フォレスター、CX-5がライバルとなるが、販売台数でエクストレイルがトップで、2016年のこのクラスのシェアは36.5%と高い。このことからも分かるように、エクストレイルはミドルサイズのSUVではど真ん中を狙ったクルマといえる。

エクストレイル 20X ハイブリッド フロントビュー

そして今回のビッグマイナーチェンジでは、ドライバー支援システムのプロパイロットを20X、20Xハイブリッドにメーカーオプションで設定し、内外装のインテリアの質感を高め、さらに商品力を向上させたといえる。なおプロパイロットのオプション価格は、後側方車両検知機能、オートハイビーム機能とセットで14万400円となっている。

エクストレイル 20X ハイブリッド リアビュー

■プロパイロットが稼働しないケースは?

試乗したの20Xハイブリッド、20Xの2車種で、もちろんいずれもプロパイロットを装備していた。しかし、試乗した日はまれに見る豪雨に見舞われ、単眼カメラ式のプロパイロットも機能を発揮することが難しい状態だった。

エクストレイル 20X ハイブリッド コックピット エンジンルーム

ワイパーをフルに動かすような集中豪雨の天候で高速道路上では、周囲のクルマが巻き起こす水煙が多いといった状態ではミリ波レーダー式でも作動条件としてはかなり厳しいはずだ。単眼式カメラを採用しているプロパイロットは、カメラで車線、前方のターゲット車を検知しているので、カメラでの検知が厳しい条件では安全を確保するために、システムは作動しないようになっている。

エクストレイル 20X ハイブリッド ステアリングスイッチ

雨天では、間欠ワイパーが作動するような小雨の状態ならシステムは作動するが、ワイパーが連続作動する状態ではプロパイロットはシステムを起動できないのだ。

エクストレイル 20X ハイブリッド メーター

そんなわけで高速道路でのトンネル内でACCの加減速制御は短時間使用できたが、ステアリングアシストはまったく使用できなかった。

エクストレイル 20X フロントビュー
エクストレイル 20X

なお、緊急時の自動ブレーキ機能は従来通りで、80km/h以下、歩行者に対しては60km/h以下で作動するという条件は変更されない。

■試乗レポート

20Xハイブリッドは、アクセルをオフすると駆動用モーターが発電用に切り替わり、ブレーキ回生を行なうが、今回からは今までより回生量を約15%高め、回生量が増加した分だけJC08モード燃費は20.6km/Lから20.8km/Lへとわずかに向上している。

エクストレイル 20X リアビュー

ハイブリッドの走りは、軽くアクセルを踏んで加速するような場合に、モーターによる加速アシストがある分だけトルク感がある。

これに対して20Xは自然吸気エンジンらしく滑らかで市街地走行や高速道路の巡航では特に不満がない。が、1500kgクラスの車両重量なので山道での上り坂やフル乗車のなどの使用条件を考えると、もう少しトルクがほしいと感じた。

エクストレイル 20X サイドビュー

なお20Xだけは225/60R18サイズの18インチタイヤで、20Xハイブリッドを含めその他のグレードは225/65R17サイズの17インチタイヤとなり、燃費を考慮して高めの指定空気圧となっている。

しかし、いずれのタイヤでも乗り心地はかなり優れており、軽く、穏やかなステアリング・フィールということもあり、誰が運転しても、そして市街地でも高速道路でも扱いやすい。この乗り心地や自然な走りやすさは、路面に合わせてエンジントルクとブレーキを自動制御する車体振動抑制システム、トルクベクタリングなど地味ながらハイテクの合せ技もかなり効いているのだろう。

エクストレイル 20X コックピット

あえていえば路面の舗装が荒れているような時のフロアの振動感がやや強めなことと、ボディ全体の剛性感がもう少し欲しいという印象だ。

今回のマイナーチェンジで、インテリアの質感が高められ、このクラスにふさわしい仕上げになっている。また20Xは2列めシートがスライドできるので、使い勝手がさらに高められている。リアシートバックはこれまでの60:40分割から40:20:40分割になっているので、さらに使い勝手が良くなり、長尺物もうまく積載できる。

エクストレイルのボディサイズは、全長4690mm、全幅1820mm、全高1730mm、ホイールベース2705mmで、ライバルのフォレスターは全長4610mm、全幅1795mm、全高1715mm、ホイールベースは2640mm、CX-5は全長4545mm、全幅1840mm、全高1690mmで、ホイールベースは2700mmと、数値は近いもののそれぞれに特長はあるが、エクストレイルが室内容積では最もボリュームがあることは確かだ。

誰でも扱いやすい特性、乗りやすさ、室内の広さ、ライバルにはない3列シート、そしてハイブリッドモデルをラインアップしているなど、エクストレイルは商品としてソツがなく、市場でのシェアが高いことが実感できた。

日産 エクストレイル諸元表

日産 エクストレイル 価格表

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