【新型 エクストレイル 試乗記】新たな価値観を生んだ4代目は公道でも満足させてくれた

日産エクストレイルの公道試乗会があり、参加してきた。場所は埼玉県の長瀞町で、自然環境がたっぷりなロケーションで、タフなエクストレイルのイメージを想起させる場所だった。4代目のエクストレイルはすでにテストコースでの試乗を体験し記事掲載しているが、公道での走行は今回が初めて。実用域でのエクストレイルはどうなのか?お伝えしよう。

新型エクストレイル「G」 e-4ORCE(シェルブロンド/スーパーブラック)

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上質なインテリアに加え実用性も◎

初代から続くエクストレイルの個性は「タフギヤ」で、こうしたフィールドに来るとその魅力が増す。その一方で、4代目には「上質」という要素がプラスされて登場した。そのためかゴリゴリのアウトドア向け4WDのイメージから美しさを持った4WDに変わって見えてくるのだ。

キャンプ場ではリヤドアが90度まで開くことで、乗降性の良さもさることながら、後席からの荷物の出し入れにも一役買う。その後席は前後に26cmスライドするため、人数次第でその使い勝手がフレキシブルに対応するのも便利。

ラゲッジ容量もたっぷりだ。リヤ・スライドシートもあるため、先代エクストレイルが104Lのスーツケース2個収納だったが、新型はそれにプラスして63Lのスーツケースが詰めるサイズになった。ゴルフバッグであれば9.5インチサイズが4本搭載できる。またラゲッジルームには1500WのAC電源1口が装備され、デフォルトで電化製品を使うことも可能だ。

使い勝手がアップしたラゲッジルーム。
オプションのラゲッジトレイを敷けばさらにタフに使い方も。
リヤシートは260mmスライド可能。
かなりゆったりした空間が確保できる。

もちろんシートは撥水加工されているので、汚れや濡れに気を使うことなくタフに利用することができる。そして荷室のリヤエンドに段差はなく、重たく大きなものを運び入れたり、出したりするときもストレスなく出し入れができるという、ちょっとした設計者の気づきもある。

インテリアは全体に上質をテーマとしているだけにリビング感覚が得られるようなデザインでまとめている。センターコーンソールは上下2段に別れたデザインで、高級感も出せている。樹脂類の剥き出し部分が少なく、手が触れる部分はソフトパッドで覆うなど、上質を意識した作りになっていて好ましい。

日産独自開発のテイラーフィットを採用したブラックの内装。
オプションでタンカラーのナッパレザーもセレクト可能。
ドライブモードはオート、スポーツ、エコに加えe-4ORCEはスノーとオフロードも設定。

とりわけGグレードに採用されている人口皮革の「テイラーフィット」はソフトレザーなみの手触りで紋の間隔を指紋に近づけることでなめらかに感じるようにしているという。人口皮革のトップコートには粒子を追加して、安定した摩擦力を発生させることで「なめらか」であることを作り出しているのだ。

そして12.3インチサイズのナビモニター、同じく12.3インチのTFT液晶メーター、10.8インチのヘッドアップディスプレイなど高級車レベルの装備があり、マウスのようなシフトレバーにも「今」を反映したデザインセンスが光る。

公道でも狙い通りの乗り心地だが…

さて、公道を走行してみるとテストコースで感じた滑らかで静かな走行フィールが公道でも同様に感じられた。つまりテストコースの綺麗な路面だからという理由ではないことが証明されたのだ。路面コンディションの悪い場所でもばたつくことがなく静かに、高級車のように走る。ただ試乗車が19インチであり、テストコースでは18インチという違いがあり、正確には比較していないが、18インチのほうが乗り心地も含め、まとまっていると感じた。

エンジニアによれば19インチは多人数で荷物も相当量積載した場合でも、安心安全な走行ができるようにタイヤメーカーへ要求したということで、サスペンションなどの仕様はタイヤサイズ違いでも全く同一ということだ。また20インチを履くオーテック仕様は、逆にしっとりと走ることが可能で18インチないし、オーテックの20インチがおすすめという印象になった。

テストコースと異なり、公道では大きな旋回荷重をかけることがほぼできない環境であるが、微小舵のステア操舵に対してもきちんと反応し、過敏な動きはなく、カーブ出口での切り戻しなどでもしっとりとしたステア操舵感があるのは気持ち良い。これは電動パワーステアリングがWピニオンになったことでのチューニング効果ということだ。

e-4ORCEの効果は? という狙いもあったが、正直なところ公道走行で、しかも道幅の狭い場所が多かったこと、狭いにもかかわらず大型トラックの交通量もあることなどから、体験するまでには至らなかった。

ただ、こうした特徴はテストコースのほうがわかりやすく、電子制御された4輪ブレーキのコントロールと相まって、コーナリング中にアクセルを踏み込んでいくと、より旋回性が高くなることは実感できる。これは環境さえ揃えば、誰でもが容易にその恩恵を感じることができる性能だ。

タフさ×上質さが自然というフィールドにマッチする。

静かな走行フィールの立役者

そしてVCターボについて。可変圧縮比を持ち、1.5Lから2.8L相当の排気量変化するエンジン。それを発電機として搭載しているのだ。通常40〜50km/h程度まではエンジンが稼働せずモーターだけで走行し、その後80km/h程度まではおよそ2000rpm付近で一定の回転のまま作動している。が、その音はほぼ聞こえないのだ。

アクセルを強く踏むなど、大きな要求トルクになると、制御が変わりエンジンの回転とアクセルペダル開度がリンクしたような制御になるので、エンジン音による違和感は感じないと思う。

VCターボエンジンと高出力モーターを組み合わせた新開発のe-POWER

ちなみにVCターボの最大トルクは250Nmで従来のe-POWERエンジンの2.5倍のトルクを発生させている。その狙いは、新型エクストレイルは欧州でも北米でも販売するグローバルモデルであり、速度域の高い地域でもモーターだけで走行するために高出力発電機が必要になったというわけだ。

可変圧縮比は14.0:1から8.0:1まで変化し、市街地、郊外などアクセル開度が半分以下の時は14:1の高圧縮比で高効率を目指す。高速の合流、追い越しなどアクセルを踏み込んだ時は圧縮比を下げて、ターボの過給率を上げてパワーを出す仕組みになっている。

こうした圧縮比の変化やエンジンスピードの制御、そしてあまりエンジンをかけない、といった制御が高い静粛性、省燃費に寄与しているというわけだ。

新たな存在価値がこれからの日産を担う

スペックをおさらいするとボディサイズは全長4660mm、全幅1840mm、全高1720mm、ホイールベース2705mmでCセグメントプラス。あるいはMクラスという大きさになる。パワートレインではエンジンはVCターボで基本1.5Lターボの3気筒エンジンとフロントのモーターが150kW/330Nmでe-4ORCEのリヤモーターは100kW/195Nmという強力なモーターを2機搭載している。

駆動方式はFWDと4WDがあり、4WDはすべてモーター駆動のe-4ORCEとなっている。価格は319万8800円のFWDモデルからトップグレードの「G e-4ORCE」が449万9900円と価格的にも戦略的な設定がされている魅力的なモデルだ。

日産が進めるインテリジェントモビリティの中核を担うモデルに相応しい、新しい価値を提供したモデルで、中でも充電のいらない電気自動車とも言えるe-POWERのインパクトは強い。そしてノスタルジックなハンドリングオタクをも満足させるダイナミック性能にも満足度が高いという三拍子揃った印象の新型エクストレイルだった。


The Mortor Weekly

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