【日産】新型エクストレイル コモンモジュールファミリーC/Dの第一弾デビュー

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2013年10月24日、日産・エクストレイルがフルモデルチェンジ、12月からの販売開始が発表された。その詳細をお伝えしよう。

3代目となるエクストレイルのモデルラインアップは、エンジンは2.0Lのガソリン+CVTのユニットのみで、FFと4WDがある。また3列シートも今回初めて採用さている。そして、ハイブリッドモデルが1年後に追加される予定で、それまでは現行のクリーンディーゼルモデルが併売される。やはり、国内ではディーゼルよりもハイブリッドを要望する声が大きく、3代目のエクストレイルはディーゼルエンジン搭載モデルがモデルラインアップから消えることになった。

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全長4640mm(+5)×全幅1820mm(+30)×全高1715mm(+15)で、(カッコ内は現行エクストレイル比)で、全体にこれまでより一回り大きくなり、C/Dセグメントとなっている。全車アイドリングストップ機能が装備され、JC08モード燃費は15.6km/Lから16.4km/Lというスペックになる。

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エクストレイルのポジショニングは、アウトドア志向で自己主張のあるユーザーに好まれている傾向があり、この位置を守りながら、街乗りのユーザー、無難なデザインを好むユーザーも取り込めるポジショニングを目指し、No.1の座に返り咲きたいという目標がある。商品開発コンセプトは、アウトドアスポーツを楽しむために進化し続ける本格アドバンスド・タフ・ギア(advanced tough gear)であり、初代から3代目の今回まで変わらないコンセプトだ。

他にはないエクストレイルだけの特徴として、シーンを問わないALL MODE4×4-i、使い勝手を極めた進化したラゲッジ、最強のSUVに相応しい先進の機能と環境性能という3つのユニークセーリングポイントが挙げられる。

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走りの性能では、世界初となるアクティブライドコントロールというシャシー技術を導入。エンジントルク変動を補正することで前後輪の荷重バランスを安定化させ、小さなデコボコによる路面からの振動が車体に及ぼす挙動変化を抑制する。また、大きなデコボコ道ではブレーキ付与でサスペンションのフリクションを高めて上下の動きを抑制するというものだ。同時にアクティブエンジンブレーキという世界初の技術で、コーナーでの速度調整をアシストする。CVTのギヤ比制御とあわせ、少ないブレーキ操作量で効きの良いブレーキを実現しているという。

また、コーナリングスタビリティアシストは、すでにシーマ、フーガに採用している技術で、4輪のブレーキを個別に制御することで狙ったラインをトレースしやすくするアシスト機能も搭載する。

T32_P005使い勝手の点では、防水ラゲッジは引き続き採用し、荷室の間仕切りが簡単に行なえる防水ラゲッジボードを新たに採用。上下2段にするなど便利さの向上を図っている。スペースでは後席ニースペースも現行車+90mmと大きく拡大。そして新規に設定された3列シートを用意。後方に行くに従い背が高くなるシアターレイアウトとすることで2列目、3列目からの前方視界を確保、開放感のある室内空間としている。

先進機能では、ルームミラー裏にカメラを搭載し、前方車輌やレーンマーカー(白線)を認識し「エマージェンシーブレーキ」、「車線逸脱警報(LDW)」を装備する。また、フロントに4つ、リヤに4つのソナーセンサーにより、「踏み間違い防止アシスト」機能を装備している。さらにアラウンドビューモニターの設定に加えて、駐車を自動で行なえる「インテリジェントパーキングアシスト」機能を装備する。

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さて、3代目エクストレイルのデザインコンセプトだが「Advanced tough gear」をキーワードとし、ガンガン使える進化した道具、というのを掲げている。デザインキーには「継・新・躍・剛・翔」ということばで説明している。エクステリアでは継承、躍動、新化、剛毅であり、先代からのデザインを継承しつつ躍動感溢れる力強いデザインでありつつ、新しいデザインキューを取り込むことである。そしてXのカタチをCピラー部にデザインとして取り込むなどしている。

T32_P042インテリアでは飛翔、躍動、新化がキーで水平基調のダッシュボードまわりは鳥が翼を広げ、羽ばたくイメージを取り込み、まさに飛び立つ飛翔と躍動をイメージしているという。そして、デザインには細部への拘りが必要であり、精緻を最後のキーワードにしている。それはホイールデザイン、ヘッドライトデザイン、テールランプなど細部にXのカタチを入れ込み細部まで緻密にデザインしていることを説明している。

■大きな変換点の新モジュールコンセプト

さて、新型エクストレイルでは新たな取り組みの第一弾として注目したいものがある。それはルノーと開発を進めているプラットフォームのモジュール化で、今回の3代目エクストレイルはこの新モジュールコンセプトによる新型車である。

プラットフォームはこれまでルノーのBプラットフォームでマーチを生産し、CプラットフォームではXトレイル(現行車)やキャッシュカイ(デュアリスの欧州モデル)などを生産してきたが、車輌サイズとプラットフォームを超えた部品の共通化、開発費の削減などのスケールメリットを追及した「コモンモジュールファミリー(CMF)」という造り方に変更してきている。

大きく4部位に分け、エンジン搭載部、フロントサスペンション、コクピット(主に前列の乗員が座る範囲)、リヤサスペンション&フロアという部位にわけ、これらをモジュール化して、いろんな組み合わせで対応していこうというものだ。さらに5つ目のモジュールとして電子デバイス系も車種間で共通化していく目標がある。

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今回の3代目エクストレイルではこの新しいコンセプトのCMFのC/Dセグメント用モジュールを使っての開発であり、このモジュールの適用範囲として日産は3モデルで、このエクストレイル、新型ローグ(北米用エクストレイル)+1を予定している。一方ルノーグループでは11モデルを予定し、2014年後半に発売されるエスパス、セニック、ラグナの後継車が予定されている。

モジュール戦略ではすでにフォルクスワーゲングループがMQBという名称で商品開発を進めており、小車種大量販売するグローバル企業にはコスト削減や相乗効果が期待でき、他のグローバル企業も追従が予想されている。例えば同セグメントだけで何種類もモデルがある日本のように多車種、少量販売(グローバル視点で)の場合、このMQB的開発製造のメリットは見出しにくいと言われているが、ルノーグループとの協業でそのスケールメリットが生まれるということだろう。

このことのユーザーメリットとしては車輌価格の低価格化が期待されるが、現在はアクティブセーフティなど、これまでになかった新たな新技術がこれまでと同等の価格で標準装備されるなどのかたちで享受することになる。もっとも、モジュール化はこれらの新技術開発をするために、旧来の製造方法を見直す必要が出たために生まれたアイディアだったのかもしれないが。

■日産・エクストレイル ラインアップ表
*価格は12月の正式デビュー時に発表

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日産自動車公式サイト

COTY
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