2013年11月11日、日産はスカイラインをフルモデルチェンジし、V37型となる新型スカイラインを2014年2月末に発売すると発表した。今回のモデルチェンジでは、ボディ骨格も一新され、インフィニティQ50としてまずアメリカで8月から発売が開始されており、左ハンドルモデルより6ヵ月遅れで日本で発売されることになった。
今回のモデルチェンジでV37型スカイラインは、伝統ある名称を継承しているが「日産スカイライン」ではなく、「スカイライン」となり、フロントグリルのバッジもホイール・センターキャップもすべて「インフィニティ」バッジとなってる。元々スカイラインは日本専用モデルであったが、V35型(11代目)からインフィニティのグローバルモデル(インフィニティG)となり、プレミアムDセグメントでスポーティ・プレミアムセダンとしてのポジションを確固たるものとしたという経緯がある。
スポーティセダンとしてのドライビングプレジャーや走りの性能、先進技術、デザインなど日本発のスカイラインが海外でのインフィニティの基盤になり、今回はそのインフィニティで確立したプレミアムなブランド性を日本のスカイラインに逆導入するという意図からインフィニティ・バッジがつけられているのだ。
V37型スカイラインは日産の高級車のマザー工場である栃木工場で生産され、高い生産技術と匠の技を加えることで最高レベルの品質のクルマに仕上げられているが、イメージ的には海外から里帰りした帰国子女といった位置付けになる。つまり、日本における「スカイライン」のポジショニングの再定義である。
その背景には、日産がインフィニティブランドにおいて中期計画(2017年頃)で現在の販売台数20万台を50万台まで伸ばし、2020年頃には市場占有率10%を目指すというグローバルな目標と、海外でも日本においてもドイツ製プレミアムブランド3社に正面から対抗し、シェアを拡大させる役割の尖兵と言う役割がスカイラインに与えられているからだ。
新型スカイラインの開発コンセプトは、「走るたびに胸躍る、新時代のプレミアム・アスリートセダン」で、歴代スカイラインの中で最もプレミアムでダイナミックなモデルだと商品企画本部・日本商品企画室・リージョナルプロダクトマネージャーの寺田美穂氏は語っている。したがって、従来のスカイライン同様に日産の技術フラッグシップであると同時に、世界のプレミアムモデルと正面から戦うことができる性能、品質、価値観を実現したという。
パワートレーンは、第2世代の1モーター/2クラッチ式のハイブリッド「インテリジェントデュアルクラッチコントロール」を全モデルに採用。しかも今回からFR、4WD(アテーサE-TS)のいずれもこのハブリッドシステムとしている。エンジンはVQ35HR型3.5L・V6が306ps/350Nmを発生し、モーターは50kW/290Nmで、システム総合出力364ps。燃費はJC08モード18.4km/Lを達成している。
シャシーでは、ステアリング系を電気信号で操舵するステアバイワイヤー「ダイレクトアダブティブステアリング」を世界初採用。応答遅れのないシャープなハンドリングによる意のままの走りと高い直進安定性による安心感を両立させている。ステアリングギヤ比は9.0~20.0まで自動可変制御しているという。またこのステアリングシステムとカメラを組み合わせ、70km/h以上の走行ではカメラが車線の白線に対する車両の向きを検知し、操舵を自動で微調整して直進性を高める世界初の技術「アクティブレーンコントロール」も備えている。
デザインは従来型に対し全高を10mm下げ、全幅を50mm広げたロー&ワイドのプロポーションと、鋭い眼光のLEDヘッドランプ、FRらしい躍動感と前傾姿勢を強調したスポーティなサイドビュー、存在感を強調したリヤビューなど、動物の動き出す筋肉を表現したエクステリアからダイナミック感を強調している。
インテリアは高い機能性と高揚感を、助手席と後席にはラグジュアリーで上質な快適さを追求。同時にプレミアムセダンにふさわしいディテールの仕上げにこだわったインテリアとなっている。またシートは日産が開発したスパイナルサポート・シートにより胸部、骨盤を支えることで比骨への負担を軽減する機能を備えている。
安全性、ドライバー支援システムは世界最高水準のシステムを盛り込み、約60km/hでも衝突回避が可能なエマージェンシーブレーキを始め、前方、側方、後方すべてに警報システムなどを採用することで、全方向でぶつからないクルマを目指しており、プレミアムカーの中でもトップレベルのシステム搭載としている。
なお今回の新型スカイラインの発売後も、従来型のV36型スカイラインはVQ25HRエンジンを搭載したグレードのみは併売とされる。
*新型スカイラインの詳細解説は近日中に別途掲載予定。