日産 ノートe-POWER試乗記 日本市場に最適なコンパクトカーを目指して

日産ノートが新型にフルモデルチェンジをしたので、早速試乗してきた。このフルモデルチェンジでプラットフォームがCMF-Bとなり、ルノー・ルーテシアと共通のプラットフォームになった。またパワートレーンはe-POWERオンリーで、ガソリンモデルはラインアップからなくなっている。

ライバル比較

新型ノートが属するBセグメントサイズは、スペース効率と使い勝手の良さ、運転のしやすさなどが求められるセグメントだ。ライバルはヤリスやフィットといったあたりで、輸入車であればフォルクスワーゲン・ポロ、プジョー208、シトロエンC3、そしてルノー・ルーテシアなどだ。

国産ライバルとは価格も似たような設定で、各社220万円前後でハイブリッドが購入可能。あとは装備違いといったところだ。輸入車になるとプラス20万円以上という価格差で、いずれもハイブリッドはラインアップにない。ボディサイズではノートが最大サイズで、全長4045mm、ヤリス3940mm、フィット3995mm。全幅は3車とも1695mmと同サイズだ。

燃費を比較してみるとヤリスが圧倒的に省燃費。ノートはこのあと4WDが発売になるが、現時点では未発売のため、FFの2WDで比較すると、ヤリスハイブリッドが36.0km/L、フィットe:HEVが29.4km/L、そしてノートe-POWERが29.5km/Lというカタログ数値になっている。

Bセグメントハッチバックでは最大のボディサズとなった新型ノートe-POWER

軽い操作系

今回のフルモデルチェンジではe-POWERだけにパワートレーンを絞り、日本の市場を活性化させたいという狙いがある。欧州はルーテシアにお任せし、お膝元の日本は日産でという棲み分けなのだろう。ということで、パワートトレーンが違うとは言え、ルーテシアとはかなり乗り味も異なり、日本仕様になっていることを感じる。

自慢のメーターディスプレイだが、直射日光が入ると視認はできるという見え方だ

その代表的なフィーリングの違いでは、ステアリングの操舵フィールにそれを感じる。欧州車の多くは直進時の座りがよく、操舵したときの手応えもしっかりとしたものが多い。が、これが日本のマーケットでは「重い」という声を聞くからだ。

新型ノートはそうした操作系を軽快にすることで、クルマに乗りなれていないユーザーでも気軽に乗れるようにしたということだと思う。が、直進の座りだけはもう少し強くあってもいい気がするが、味付けの領域なので、ノートユーザーをよく知る日産の出した回答は軽いということだった。

シフト操作パターンもスライド方式になって新鮮

e-POWER

パワートレーンは1.2Lの3気筒HR12型で、現行ノートからスライド搭載されている。だが、エンジン制御は大幅に変更され、エンジンの存在を限りなく消す努力が感じられた。

モーターで走行し、1.2Lのエンジンで充電

e-POWERはモーターで走行するクルマで、エンジンを使って充電するシリーズ式ハイブリッドだ。ドライバーにしてみれば、シリーズ式なので、モーターフィールを楽しみたく、エンジンは不要な存在になる。だが外部充電するかわりにエンジンで充電をするので、エンジンは必要というのがe-POWER。であれば、できる限りエンジンの存在を気付かれないようにしたい、というのがエンジニアの想いだ。

そこで走行速度が低く、路面が綺麗な場所では車内は静かなため、エンジンが動き出せばすぐに気づく。だからそうした場面では可能な限りエンジンは始動させず、逆に高速走行などロードノイズ、風切り音などノイズが大きい走行環境では積極的にエンジンを稼働させ、充電させるという制御に変更した。

世界初の技術として、タイヤの振動から路面状況を判定し、エンジン稼働を決める制御技術を投入している。タイヤが大きく振動しているときは、路面が悪い場所だからロードノイズも発生していて、そうした状況であればエンジンを稼働させても、エンジン音だけが気になることはない、そうしたことを利用した技術なのだ。

制御変更

また、ワンペダル走行での制御も変更されていた。今回エコ、とスポーツモードで利用できるワンペダル走行では、減速は完全停止をしない制御に変更している。敢えてクリープする制御に変更し、代わりにオートブレーキホールド機能を追加搭載している。

つまり、駐車場などでクリープ走行が便利な状況なのに、以前の制御だと完全停止してしまうため、わずかに動かすような場面では少し扱いづらい場面があったわけだ。そのため完全停止を止め、クリープするように変更している。

こうした雪道でのワンペダル操作は、アクセルを抜けば減速するのでフットブレーキをほぼ不要とするので安心

実際に、この新しいほうの制御は扱いやすく、クルマに乗りなれない人にこそ有効な制御変更だと言える。また信号で停止する場合、最後はフットブレーキで停止させることになるが、新規搭載のオートブレーキホールドが機能するので、ブレーキペダルから足を離すことができる。だから、この組み合わせのほうが実用性は高いと感じた。

車両はボディ全体のボディ剛性が高く感じられ、しっかり感からくる安心感が得られる。フロントの視界もよく、狭い場所でも扱いやすい。こうした多くの制御変更がされているため、かなり、「EVらしさ」が出ていて、静粛性は高く高級に感じる場面も多々ある。

ライバルのフィットもモーターを中心に走行するモデルだが、圧倒的にEV感があるのは新型ノートだ。フィットは逆にエンジン走行しているように制御しているので、新型ノートとは真逆の考え方での制御となる。また静粛性においてはヤリスが最もにぎやかという印象が残っている。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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