2013年11月19日、日産は「GT-R」のマイナーチェンジを行った2014年型モデルを12月2日から発売すると発表した。圧倒的なパフォーマンスを誇るスーパースポーツカーとして認知されている「GT-R」を「今までなかったワクワクを」感を更に付加したしたモデルとされ、「GT-R」2014年モデルはパフォーマンスで妥協することなく、新たな次元の上質さを実現したという。
■2014年型GT-R
「GT-R」2014年モデルは、洗練された速さを追求した、大人が楽しめるGT-Rとしている。今回のマイナーチェンジでは、開発着手から10数年の歳月における実験の積み重ねを基礎に加え、モータースポーツ活動からのデータや世界中のユーザーの声をフィードバックさせて進化を遂げたという。
今回発売する「GT-R」2014年モデルは、新しいサスペンション・セッティングによって実現したステアリング修正の少ない高水準の安定性と、優れた路面追従性がもたらす上質な乗り心地が特徴。これらの改良により速さを追求しつつも、新たな次元の上質な走りを可能にした。さらに、2014年モデルは、エクステリア、インテリアに高級感を加えている。
ダイナミクスでの改良のポイントは、これまで以上に洗練されたハンドリングと乗り心地でスーパースポーツカーのベンチマークになるということだった。4輪の接地荷重変動を減らし、より均等に接地荷重を配分するため、スプリングのバネ定数、ビルシュタイン製ダンパーの電子制御、フロントスタビライザーのバネ定数の最適化、リンクブッシュ類の見直しなどを実施。サスペンションの有効ストロークを増やして路面追従性を高めている。
これらのチューニングにより、荒れた路面のコーナーでも確実にタイヤがグリップしてフラットな車両姿勢が保てるため、狙った通りのラインを走ることができ、ストレスなくアクセルを踏むことができるようになっている。また、微細な振動やロードノイズを抑えられたことで、上質な乗り心地と、快適で安心感のある走りを実現。高速域での修正舵の必要が少なくより向上した直進安定性により、長時間を高速で走っても疲労を最小に抑え、ウェット路でも4輪のグリップ力が高いため、不安なくブレーキを踏みこむことができ、安心感、信頼感が向上した。
ブレーキはコントロール性とペダルの踏み応えの向上を実現するため、減速Gとペダル踏力の特性を見直してチューニング。特に踏み始めから制動中期にかけて、しっかりとしたリニアな踏み応えが感じられ、よりコントロールしやすくなり、同時に誰が踏んでも最大1.3Gという大きな減速度を実現している。
軽量かつ高精度、高剛性をテーマに開発されたGT-Rのボディは、発売以降も「高精度」を追求することで進化させ、世界トップレベルの高い剛性を実現。今回発売する2014年モデルは、「さらなる上質な速さ」の追求に向け、4輪の接地荷重変動を減らし、より均等に接地荷重を配分するために、サスペンションでのチューニングに加え、ボディ全体を均一にバランスよく変形させることを目指したという。
車体のアンダーフロア周り、特にリヤ周りの部品同士の合わせ精度を高め、局部変形を抑えた結合剛性の高いボディを実現。また、これにより大きな荷重がかかったときの振動やノイズのキャビンへの伝達も抑制されている。また、人間が不快に感じる雑味のある音(500Hz以上の音)は、制振・吸遮音材を最適に配置することで抑制し、エンジンが発するクリアで力強いサウンドが強く感じられるようになっているという。
2014年モデルは、エクステリアのデザインおよび細部の仕様変更を行い、フロント、リヤのランプは、エクステリアの視覚的インパクトを高めるとともに視認性を向上させるために、大幅に変更している。「稲妻の閃光」をイメージした新デザインのLEDポジションランプによるランプシグネチャーを採用し、印象的を強めている。これにより特に薄暗い時や夜間にGT-Rのロードプレゼンスが向上。
LEDヘッドランプを新採用し、照射範囲を拡大し、視認性を高めている。4つのLEDランプユニットは、大光量のLEDハイビームと、メイン照明、遠方用照明、ワイド照明を含む3つのLEDロービームで構成されている。リヤコンビランプも、新デザインのLEDランプを採用。特徴的な4つの丸型リヤコンビランプが、切れ目のない丸いラインでリングを描き、後続車にその存在感を示す。さらにエンジン始動時には、新しいランプシグネチャーが点灯し、ドラマティック演出を行う点も新しい。
ボディカラーでは、新色のゴールドフレークレッドパールは24金ゴールドでコートされた微細なガラスフレークを混入することで、光が当たると深みのある艶の中に華やかさが生まれる。この新色を含め、ボディカラーは全7色を設定。
インテリアは「Premium edition」専用オプションのファッショナブルインテリアに、新たにアイボリーを追加。ファッショナルブルインテリアでは、プレミアムな室内空間を演出するため、ドアトリム、ドアアームレスト、センターコンソール両サイド、コンソールボックスリッド、ハンドブレーキなどにカラートリムを拡大採用。ドアトリムはステッチを施した立体感のあるデザインを採用した。
またファッショナルブルインテリアは、手に吸い付くような柔らかい触感のセミアニリン本革をフロントとリヤシートに採用した。シートのステッチをより広範囲に配している。
■GT-R NISMO
今回の2014年モデルから、超高速走行を可能にする600psのパワー、300km/h時でプラス100kgのダウンフォースを発生させる画期的な空力性能と専用のサスペンション採用した「GT-R NISMO」を追加設定し、2014年2月末に日本、アメリカ、ヨーロッパで発売すると発表した。
「GT-R」に、ニスモのレーシングテクノロジーの蓄積をフィードバックしたスペシャルモデルで、同時に日産NISMOシリーズのフラッグシップと位置付けられる。なお日産では「GT-R NISMO」にさらにNISMO専用オプションパックを装着した車両でニュルブルクリンク北コースに挑戦。ミハエル・クルムがステアリングを握って量産車最速となる7分08秒679のラップタイプを記録している。
GT-R NISMOのエンジンは、専用チューニングされた3.8L・V6のVR38DETT型エンジンを搭載。最高出力600PS、最大トルク652Nmを発生する。GT-R NISMO GT3にも採用されている高効率の大容量の専用タービンを搭載し、気筒毎に点火時期をコントロールする制御の採用に加え、最適な燃料噴射量をコントロールするインジェクター駆動回路を採用。NISMOエンブレム付きの専用エンジンカバーを標準装備する。
シャシーは専用のフロント、リヤサスペンションのスプリングと特注のビルシュタイン製ダンプトロニックダンパーを備え、極限状態でも路面に吸い付くようなグリップや正確なステアリング応答性を実現する。走行中に3パターンのサスペンションモードが選択可能としている。またワイドリムのフロントホイール(20×10.0J)とサイズアップした専用の高剛性ハブボルト、専用タイヤ(前輪:255/40 ZRF20、後輪:285/35 ZRF20)を採用。さらにフロントダブルウィッシュボーン式サスペンションに専用アッパーリンクを採用し、キャスタートレールを拡大させている。また重量を低減しながらロール剛性を高めるφ17.3mm中空スタビライザーをリヤサスペンションに採用。
ボディは高負荷時でもサスペンションの精度の高い動作を確保するため、ボディ結合部には通常のスポット溶接に加え、構造用接着剤による補強を追加している。
エクステリアでは強大なダウンフォースを発生させるボディエアロパーツを追加している。NISMOは、空気の流れを分析する最新のシミュレーション技術を用い、空気抵抗の影響を調査。それに基づき、フロントにカーボン製バンパーとアンダーカバーのエアストレーキを、リヤにはカーボン製のリヤスポイラーを採用。空力性能は、風洞での徹底的な実験や最新のシミュレーション技術を駆使して開発され、ダウンフォースは300km/hで標準モデルより100kg増大。これにより、4輪の接地荷重変動を最小化し、車両の優れたバランスを確保。左右に張り出したフロントバンパーと、後方に延長し絞り込まれた形状のリヤバンパーにより、Cd値は標準モデルと同じ0.26を達成している。
ボディカラーはブリリアントホワイトパール、メテオフレークブラックパール、アルティメイトメタルシルバー、バイブラントレッドに、「NGT-R NISMO」専用色としてダークマットグレーを加えた全5色を設定している。
「 GT-R NISMO」のコックピットは、NISMOのアイデンティティであるレッドをあしらったデザインであらゆる瞬間で高質感が感じられるようになっている。人間工学に基づいて造形されたレカロ製NISMO専用カーボンバックバケットシート(欧州、日本仕様)が乗員を快適にしっかりと支え、ドライビングをサポートする。レーシングドライバーからアドバイスを受けたステアリングホイールは、レッドセンターマークとレッドステッチ付きのアルカンターラ巻3本スポークを採用。メーターパネルは専用カーボン調コンビメーターを装備。タコメーターはレッドリング付き。メーターリッドにもアルカンターラを採用している。