【日産】「シーマ」復活。5代目はハイブリッド1本で勝負

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日産自動車は2012年4月25日、5世代目となる新型「シーマ」を発表した。基本骨格の部分はフーガハイブリッドと共有するところも多いが、3000mm超のロングホイールベースを持つ専用ボディが与えられたフラッグシップセダンの復活だ。消費税を含むメーカー希望小売価格は735.0〜840.0万円。発売は5月21日 からを予定している。

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↑歴代シーマのフロントフェイス

日産では5世代目となる今回のモデルについて、「シーマ現象」という流行語を生んだ1988年の初代デビュー以来、歴代のシーマがDNAとして受け継いできた「圧倒的な走行性能」を継承しており、高い動力性能を誇りながらも快適性や安全性、優れた環境性能も兼ね備えたモデルであるとしている。なお先代のシーマは2010年8月に生産を終了しているため、約1年8カ月の空白期間を経ての復活となった。

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↑HYBRID VIP G。ボディカラーはガーネットブラック(写真下も)

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デザインは、立体的なフレームを持つビッググリルやメッキモールをあしらい、フロントフェイスの存在感が際立っている。またFR車ならではのロングノーズ&ショートデッキの美しいプロポーションと、伸びやかで優雅なサイドのシルエットも美点だろう。今回はガーネットブラック(上の写真参照)/ブリリアントシルバー(下の上段の左)/スーパーブラック(下の上段の右)/クリスタルホワイトパール(下の下段の左)/ブレードシルバー(下の下段の右)という全5色のボディカラーが設定されている。

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全車がハイブリッドシステムを搭載

次にメカニズム上では最大のハイライトが、日産では初めてのハイブリッド専用車となったことだ。日産独自の1モーター2クラッチ、パラレル方式のハイブリッドシステム「インテリジェント デュアルクラッチ コントロール」を採用。エンジンはハイブリッド専用のVQ35HR型で最高出力は225kW(306ps)/6800rpm、最大トルクは350Nm(35.7kgm)/5000rpm のスペック。これに最高出力が50kW(68ps)で最大トルクが270Nm(27.5kgm)の高性能モーター「HM34」と、高出力で素早い充放電が可能なリチウムイオンバッテリーを組み合わせている。

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↑バッテリーはリヤアクスル上に搭載されている

トランスミッションはマニュアルモード付きの電子制御7速ハイブリッドトランスミッションで、電動でポンプを作動させて油圧を発生させる電動油圧式電子制御パワーステアリングを搭載。ブレーキブースターにも電動タイプを採用した電動型制御ブレーキを採用し、もちろん回生協調もブレーキシステムに組み込まれている。これらのハイブリッドシステムの作動状況やバッテリー残量、アクセルガイドやECOドライブ インジケーター、EVオド・ツイントリップメーターなど多彩な情報を表示するメーターディスプレイも備えられている。

走りを支えるメカニズムとしては、路面からの入力に応じて2つのピストンで減衰力をコントロールするダブルピストンショックアブソーバーを装備している。これによりゆっくりとした大きな揺れと小刻みな振動の両方を抑えて、乗り心地を向上させている。また、アクセルペダルの反力とメーター内のECOドライブインジケーターの色や点滅によって、クルマがドライバーのエコドライブをサポートするECOペダルを採用している。

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また高級車に相応しいアイテムとして、吸音タイヤの採用も今回はニュースだ。これは特殊吸音材を内部に取り付けて、走行時のロードノイズや共鳴を吸収してくれるタイヤで、日産としては初めての採用になる。今回は剛性と質量を最適化したアルミホイールとともに、快適な乗り心地とロードノイズ低減に貢献している。さらにエンジン回転数に同期して発生する不快なこもり音に対して、逆位相の制御音を出力するアクティブノイズコントロールも採用。後席をより重視したチューニングを実施し、優れた静粛性を実現している。

安全・環境面では最先端テクノロジーを満載

安全性能のアップデートにも抜かりはない。レーダーで先行車を捕捉して常に適切な車間距離を維持できるようにアシストするインテリジェントペダルを採用。もちろんクルーズコントロールやブレーキアシストも最先端のシステムで、前席には緊急ブレーキ感応型プリクラッシュシートベルトも装備されている。

車線逸脱防止支援システムのLDP、車線逸脱警報のLDW、前方車両接近警報のFCW、TCS(トラクションコントロール)機能を含むビークルダイナミクスコントロールのVDCと、安全性能に関わる部分は基本的に全グレードに標準となっっている。

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さらにタイヤ空気圧警報システム(輪位置表示機能付き)やバックビュー&サイドブラインドモニター、小学校付近の安全運転ガイド、高速道路での逆走報知、安全運転支援システム(DSSS)なども装備するほか、ポップアップエンジンフード付きの歩行者傷害軽減ボディを与えられているあたりも、高級車に相応しい配慮だ。

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結果として、新型シーマでは直近の4代目シーマの280psを上回るトータル364psというパワーを発揮しながら、燃費は8.0km/L(10・15モード)から16.6km/L(JC08モード、ちなみに10・15モードでは18.8km/L)へと、2倍以上もの環境性能向上を果たしたことになる。もちろんエコカー減税制度の適用で全グレードで取得税と重量税が免税となるほか、1998年に(財)自動車工業会が出したガイドラインによるリサイクル可能率も95%以上を達成している。

室内空間の余裕は圧倒的。装備類も豪華絢爛

インテリアでは3mを超えるロングホイールベースにより、クラストップレベルの後席ニールームを実現。柔らかい触感と自然な風合いを実現したセミアリニン本革シートや、職人が純銀粉を手で刷り込む特殊加工で木目を華やかに際立たせた銀粉本木目フィニッシャーをVIP以上のグレードで採用。日産ご自慢のフォレストエアコンや、好みのステアリングポジション、シートポジションなどを記憶するパーソナルドライビングポジションメモリーシステムも装備している。

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シートには全席のクッションパッドに低反発ウレタンを採用。前席のシートクッションと背もたれからは、暖気または冷気を吹き出すエアコンディショニングシートを採用し、また助手席にはパワーオットマン機構も採り入れられている。後席には最適なリラックス姿勢と優れた乗り心地を実現するパワーリクライニングやヒーター付きシートが用意されている。

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BOSEの5.1chサラウンド・サウンド付き後席プライベートシアターシステムは、計16個のスピーカーで臨場感のあるサウンドを実現。今回は前席ヘッドレストの後部に高精細7インチVGAディスプレイを搭載し、高画質でクリアな映像が視聴可能だ。もちろん読書灯やパーソナルランプをはじめ、リヤドアガラスとリヤウインドウ(こちらは電動)にはサンシェードも備える。またリヤドアとトランクリッドには、軽く操作すれば静かに閉じてロックしてくれるオートクロージャー機能も付いている。トランクにはゴルフバッグ4個が収納可能だ。

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匠たちが納得いくまで仕上げる工程にも注目

なお今回の新型シーマでは、製造品質への取り組みも注目されるところだ。具体的に塗装工程では、よりボディ塗装表面の鮮映性が求められる濃色の車体色について、勢いのある艶やかな輝きを実現するために、中塗り後に一度生産ラインから外すことにしたというのだ。専用の特別室で熟練した塗装の匠が 1台ずつ手磨きをしてから上塗りをすることで、美しい仕上がりを実現するという手の入れようだ。

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さらに走行試験工程では、あらゆる走行シーンを再現したテストコースにて、運転席と後席に2名で乗車して実施。運転席では熟練のテストドライバーが、後席ではベテランの検査員が走行や操舵のフィーリング評価試験に加え、内装の軋み音などのかすかな異音も逃さぬよう、すべてのクルマについて念入りなチェックを行うということもやっている。

他には、生産工程での検査の最後に、特別の資格を持つ検査員により、すべてのクルマについて、入念な品質検査を実施している。熟練した検査員の目や手でのチェックはもちろん、今回から採用したデジタル測定器により、きめ細やかな検査を行うという行程を加えている。

最後にすべての品質検査が完了した後に、その証として栃木工場長直筆のサインを入れた新型シーマ専用の品質検査確認書が搭載され納車されることになる。

なお、新型シーマの価格と主要スペックは以下の通り。販売目標台数は年間1000台だが、販売担当役員によれば、今年度に限っては2000台を目指したいとのことだった。

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■シーマ HYBRID VIP G主要諸元

●ディメンション:全長×全幅×全高=5120×1845×1510mm/ホイールベース=3050mm/車両重量=1950kg ●エンジン:VQ35HR型/V型6気筒DOHC/排気量=3498cc/最高出力=225kW(306ps)/6800rpm/最大トルク=350Nm(35.7kgm)/5000rpm ●モーター出力/トルク:50kW(68ps)/270Nm(27.5kgm) ●トランスミッション :マニュアルモード付き電子制御7速ハイブリッドトランスミッション ●燃費性能:16.6km/L(JC08モード)/18.8km/L(10・15モード) ●駆動方式:FR ●サスペンション(前/後):ダブルウィッシュボーン/マルチリンク ●ブレーキ(前/後):Vディスク/Vディスク ●タイヤサイズ:245/50R18 ●乗車定員:5名

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